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私の、創世記。  作者: 皐月リリ
第三章、許されざる怠惰。
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第七十二話、ただいま。


共鳴の饗宴(グラ・シンフォニア)!!」


大鎌と二刀によって放たれる同時攻撃。

相手は同時に相手をしなくてはならなくなり防ぐことすら難しい。


「よし、入った!!次いくよ!」

「ええ!あなたに合わせるわ!」

「いくよ…!」


鎌に紅の炎が立ち込める。


緋炎の百合花(ヒペリカム・リリ)!!」


迫り来るアルの腕を斬り落としまた中核に一撃。

一瞬アルの動きが止まり、蹌踉めく。


「花合・夢想花!!」


レイの二振りの刀が翼や肉を斬り開き、核を丸裸にする。


「ベル!!」

「了解ッ!ちょっと大人しくしててよ、アル!!魂喰の鎖(カテナ・アニマヴォラ)!!」


ベルの鎌が形を変え、光り輝く紫の球体になる。

一瞬太陽のように力強く輝いた後、猛スピードで鎖が発射される。

黒い鎖はアルの体を突き刺し、絡め取り、拘束する。身動きが取れなくなったところへベルが距離を詰め、渾身の一撃を放つ。


「これで止め!!夢喰…」


『雖後>雖後>雖後>雖後>!!」


核の中央に巨大な眼が出現する。

その眼が瞬きした瞬間、ベルの体が吹き飛ばされる。


「くっ…!うわっ…!?」

「お嬢様…!」

「ベル…!」


その体が遠くに飛ぶ前に誰かに掴まれ止められた。


「…!アリエ!亘希くん…!」

「あの核を破壊すればいいんですね?」

「僕たちも手伝わせてよ!」

「…ありがとう…!よし、私も張り切っちゃうぞー!」


『驍ェ鬲費シ∵ュサ縺ュ?√d繧√※縲ょ勧縺代※縲よカ医∴縺ヲ?!!』


咆哮と共に露わになった核から無数の腕が向かってくる。

大半は斬れたが全部は捌ききれない。


「あーもう!じゃあ魔法で…」

「…!いえ、大丈夫です。」

「えっ?」


こちらに向かってくる無数の腕とベルの間に黒い稲妻が光る。

次の瞬間、腕は既に斬り落とされていた。


「亘希くんに近づかないで…!」


助けてくれたのは黒龍だった。

その目は鋭く怒りに満ちていた。


「助かった…!ありがとう黒龍さん!」

「い、いえ、ベル様。騎士として当然のことをしただけ、です…。」

「ううん、本当に助かったよ、ありがとう、黒龍さん!」

「〜〜〜……!!ひゃ、ひゃい…。」


彼女はそう顔を赤くしていった。


突如頭の中に声が響く。


『もしもし、もしもし。聞こえるかしら。』

「レイ!?どうやって話しかけてるの?」

『テレパシーよ。大抵の神ならできるわ。相手への情報漏洩を防いだり、離れていても情報交換をしたりと色々役に立つの。』

「ふ〜ん、どうかしたの?」

『もう一度、連撃するわよ。もう再生しかかっている。再生し切る前に決着をつけるわ。』

「分かった。…じゃあ、始めよっか。アル救出大作戦を!!」

「おー!」


一人少なかった。


「ねぇ、アリエ〜、アリエも返事してよ〜。」

「…いえ、あなたのネーミングセンスが壊滅的だったので若干引いてました。ド直球すぎます。」

「えっ、なかなか傑作のつもりだったんだけど!?っていうかそこは空気読んで返事してよー!下手っていうのは認めたくないけど、もし、ほんとーにもしもの話だよ?もし本当に下手だったとしてもそれくらいいいでしょー!」

「はいはい、おー。」

「声が小さいよっ!むぅーー…。もういいや、じゃあ改めて…アル救出大作戦、スターーート!!」

「おーーー!」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



あらゆる方向から触手が飛んでくる。

それをみんなで協力して防げる攻撃から防いでいく。


「お嬢様は左を!私は右をやります。姉様と亘希さんは援護をお願いします!」

「了解!でもレイは?」

「自由に動かせてほしい、とのことです。一斉攻撃の準備ができたら連絡してほしいと。」

「ふ〜ん、なるほど?まあいっか。」


攻撃が一度止む。その眼はキョロキョロと動きベルたちを探している。見つかれば戦闘開始だ。


突撃準備。


まだアルは動かない。


緊張が走る。


敵と味方で眼と眼が合う。


そして静寂は途切れた。


『蠕悟ー代@縺ァ貅€縺溘&繧後k窶ヲ�シ√□縺九i驍ェ鬲斐r縺吶k縺ェ�シ�』


その声と共に放射状に生やされた腕がまとまってこちらへ向かってくる。


「突撃!!」


ベルの掛け声と共にみんなは駆け出す。


「ベスビオ・インパクト!!」


ベルの起こした爆発で迫り来る触手を焼き払う。

すぐに火は触手の再生と共に消える。だがそれでも時間稼ぎには十分だ。


煙が晴れ、前が見えるようになった時にはベル達はすでに目玉の目の前にいた。


「隙あり…です!落水・門越え!!」


素早く鋭い突き技。もう避ける術はない。

なす術なく貫かれた瞳にさらなる攻撃が映る。


「黒閃・煉獄斬!!」

「僕も…!えっと…」


みんな技名を言っていく。僕も何か…何か…。


「…神子の槍(ベルゼ・ランス)!!」


咄嗟に考えついた技で目の前の敵を斬りはらう。

すぐに恥ずかしくなり顔が赤くなる。


「うんうん、さすが私の契約者。いい技だったよ?でもなー、(ランス)は主に突き刺すものなんだよなー。ププッ…。」

「い、いいでしょ!即興で考えたんだから!」

「ふーん、即興で考えて私の名前が技名に入るんだー?ふーん?なんでだろうねー?何を考えたのかなー?」

「からかわないでよ!…ベルの役にたつ槍になれたらなって思って…。その…。いや、なんでもない…。」

「私の役に…。ふ、ふーん、そうなんだ…。…その…ありがと…。」

「う、うん、どういたしまして…。」


二人とも顔を赤くして目を逸らす。なんとも焦ったい空気だ。


「…もう!追撃が止まってますよっ!!ちゃんとしてください!」

「そ、そうだった…!」

「全く…腑抜けてますね…。」

「違うしっ!腑抜けてなんかないし!全部この目玉が悪いんですー!」

「いや目玉に責任転嫁しないで…。」


ベルは頬を膨らませて目玉に向き直る。


「悪いことはぜーんぶこの目玉のせいだから。成敗しなくちゃね…!」

「まあまるっきり肯定はできませんが…同感です。」

「ま、そういうことで!行くよ!アルを…返しなさーい!!」


金に染まった鎌を振りかぶり突進する。


そうベルが突撃した瞬間天から閃光が走る。

閃光の中のレイと目が合った。もう言葉はいらない。

後は、トドメを刺すのみ。


呪喰の刃(デュランダル)!!」

「風月・花鳥の舞い!!」


二人の最大威力の攻撃。防御のために固めた触手も虚しく破壊されて一閃された。

目玉は真っ二つに斬り落とされ、大量の血が吹き出す。そして灰になって消えた。

能力の支配から外れたアルは地面にゆっくりと下降を始める。


「アルッ!!」


ベルが咄嗟に間に入ったおかげで地面との直接衝突は避けられた。


「よかった…!生き…てる…!」


アルの心臓はその胸の中でドクドクと音を立てている。息もしているようだ。


「よかっ…ぐっ!」


足が…痛い…。

さっきまで何ともなかったのに。目の前がチカチカする。


戦いの疲労が一気に来たのか。

そう気づいた。


突如ベルの衣装が光り輝いた。

次の瞬間ベルの衣装は全て光の粒になって消えてしまった。頭についていたティアラも、もうない。

戦いは、終わった。もう今は必要のない『暴食』の力が熱が冷めるように消えていく。


意識が朦朧とする。

一応自分の胸を触るが傷は塞がっていた。


「ベル!」

「お嬢様!」


自分を呼ぶ声が遠くに聞こえる。

ああ、もう駄目だ。意識が持たない。ああ…でも…


生きててよかった…。


「ちょっと…寝る…。」


ベルはアルに体を預け、そのまま意識を失った。







それからどれくらい経っただろう。

再び目が覚める。アルの体温が心地良い。


「お嬢様…!起きられましたか?」

「ん〜、後5分〜…。すぴー。」

「私はあなたのお母さんじゃありません。ほら、起きなさい。」

「何だよも〜。もう少し寝かせてって言って…。」


起き上がったベルの目には既に起きていたアルが映る。


「おはよう、ベル。」

「ア…ル…?アル…アル…!アル、アル!」


その勢いのまま、ベルはアルに飛びつく。


「心配してたんだからッ!もしあの核を壊してもアルは帰って来ないんじゃないかって!ずっとずっと…怖かったの…!本当に怖かった…。ううっ…ううっ!」


ベルの目から耐えきれなくなった涙がこぼれ落ちる。


だが、まだ泣いては駄目だ。まだ言いたかった言葉を言えていない。


「おかえり、アル…!」


それを聞いてアルもにっこり微笑んで言う。




「ただいま。」

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