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俺のコピペが世界を変える!  作者: 滋賀列島
第2話「異能の探求」
6/27

2-2: 「試運転」

リバンス

妹の治療費を稼ぐために都会へやってきた青年。冒険者として登録はしているが、魔法は使えず、体力も人並み。洞窟(どうくつ)での依頼(いらい)中に特殊な「複写再現(コピー&ペースト)」の能力に目覚め、自分の役に立たなさに悩んでいた彼の人生が大きく変わり始める。まだその能力の全貌は理解しておらず、これからの冒険で少しずつその可能性を探っていくことになる。


グレン

リバンスと行動を共にする冒険者の一人で、リーダー格として振る舞っている。(ほのお)を操る魔法を使い、剣技と組み合わせて戦うが、実力はそれほどでもない。リバンスを雑用係として見下し、自尊心を保っているが、今回の依頼(いらい)での失敗と仲間の死によって動揺している。


ウルス

ギルドのマスター(ますたー)を務める大柄で屈強な男性。かつては歴戦の冒険者として名を馳せていたが、今は一線を退き、後進の育成に力を入れている。優しい口調で接するものの、その言葉には力強さと威圧感が感じられる。今回の依頼(いらい)での事件について冷静に対処しつつも、リバンスの新たな能力に警戒心を抱いている。


グレンの仲間たち

グレンと行動を共にする冒険者たちで、彼と同じようにリバンスを見下している。今回の依頼(いらい)での失敗と仲間の死にショックを受けており、ギルドに対して不満を抱いている。

 ギルドの応接室には緊張感が漂っていた。グレンが怒りに満ちた顔で話し始めた。


「俺たちは、ギルドの依頼で小型モンスターの討伐に向かったんだ。洞窟(どうくつ)の中でモンスターを倒していた時、不意に激しい地響きがして、突然落盤が起きた! 退路が塞がれてどうしようもなくなり、仕方なく奥へ進んで行ったら、目の前にあのサラマンダーが現れたんだ!」


 グレンの声には、アクシデントに見舞われたことへの動揺と怒りが滲み出ていた。


 ウルスは眉をひそめ、「あの洞窟(どうくつ)にそんな危険なモンスターが現れることはありえない」と低い声で言った。


「でも現れたんだよ!まったく信じられない…俺たちは全力で逃げたが、一人がやられてしまった。俺たちは必死だったんだ。結局、なんとか逃げ延びたが…」


 グレンは悔しそうに言葉を続けるが、そこで言葉を詰まらせる。


 ウルスはそんなグレンの様子を見て、リバンスに目を向けた。「リバンス、何があったんだ?」


 リバンスは緊張しながらも口を開いた。「実は…あの時、俺に不思議な能力が目覚めたんです」


「不思議な能力…?それはどういうものだ?」


 リバンスは深呼吸をし、続けた。「俺の能力は『複写再現(コピー&ペースト)』といって、目の前の物や技をそのままコピーして、好きな時に再現できるというものです。ただ…まだ自分でもよくわかっていなくて、どうしてこの能力に目覚めたのかも、全然…」


 ウルスは目を見開いた。「そんな魔法(まほう)スキル(すきる)は聞いたことがない…。それで、その能力を使ってサラマンダーの攻撃をしのいだのか?」


 リバンスは一瞬ためらった後、説明を続けた。「この能力を使って、なんとかサラマンダーの攻撃を防ぎながら隙を見つけて逃げることができたんです。本当に必死で、どうにかこうにかやり遂げたという感じで…」


 ウルスは少し驚いた様子を見せながらも、真剣な表情で頷いた。「なるほど、そんなことが…」


 ウルスは深く息を吸い込み、「事情はわかった。まずはギルドの事前の調査が不十分であり、それにより犠牲者が出てしまったことを謝罪する。今回の件はギルドで改めて調査する」と謝罪の言葉を述べた。


 だが、その言葉にグレンは怒りを爆発させた。「謝罪で済む話じゃねぇだろ!こっちは仲間が死んでいるんだぞ!」


 ウルスは冷静にグレンを見据え、「その気持ちはわかる。だが、冒険者になった以上、いつどんな時でも命の危険があることを理解してほしい。それが納得できないというなら、冒険者をやめた方が良い」と強い口調で返した。


 グレンはウルスの言葉に一瞬たじろいだが、悔しさを抑えきれず、「くそ…こんなギルドなんか信じられるか!」と捨て台詞を残し、部屋を飛び出していった。彼の仲間たちもそれに続いた。


 リバンスも立ち去ろうとしたその時、ウルスが彼を呼び止めた。「リバンス」


 振り返ったリバンスに、ウルスは静かに言った。「お前のその能力は非常に珍しいものだ。しかし、使い方を誤れば大きな危険を伴う。くれぐれも注意して使うんだ」


 リバンスは少し驚きながらも、ウルスの言葉に頷いた。ウルスの凄みがかった忠告に、彼は改めて自分の能力を知る必要があると再認識した。


「はい、わかりました。気をつけます」


 リバンスは心中でそう思いながら、宿へと戻っていった。


 宿に戻ったリバンスは、すぐに自分の能力を試すため、草原へと向かった。


 草原にたどり着くと、リバンスはウサギ型の小型モンスターを見つけ、能力を試し始めた。手をかざして「複写再現(コピー&ペースト)」を行うと、目の前に全く同じウサギ型の小型モンスターが現れた。


「本当に…できるんだ」


 リバンスは驚きと興奮を感じながら、次々とモンスターや岩をコピーし、ペーストしていった。その中で、いくつかの重要なことに気づき始める。


「まずは…コピーしたものは、どうやらオリジナルと全く同じらしい。技や魔法も、見た目も、完全に再現されている」


 次に、リバンスは試しにウサギ型モンスターをもう一匹コピーしようとした。しかし、頭に鋭い痛みが走り、コピーがうまくいかない。


「どうやら、今の俺には同時に2つまでしかコピーできないみたいだ…それ以上は無理か…」


 また、コピーしたウサギ型モンスターはしばらくするとふっと消えてしまった。リバンスは時計を確認し、消えるまでに約10分かかったことを知る。


「どうやら、ペーストしたものの持続時間は10分程度のようだ…」


 リバンスはさらに試すため、岩と小型モンスターを並べて同時にペーストし、消えるまでの時間を確認した。どちらも同じ時間で消えることを見て、持続時間が物の大きさや種類に関係ないことを理解する。


「持続時間は物の大きさや種類に関係なく同じか…」


 さらに、リバンスは岩をコピーした後、しばらくして感覚が薄れていくのを感じた。「どうやら、コピーを保持できる時間も限られているようだ。これも5分くらいか…」


 次に、リバンスはスキルや魔法をコピーして試してみた。小型モンスターの技をコピーしてみると、それは簡単に再現できたが、どうやら体力と精神力をかなり消耗するようだった。


「簡単な技でも、使い続けると疲れる…大きなものや強い魔法なら、もっと疲れるんだろうな」


 こうしてリバンスは、自分の能力の範囲と限界について少しずつ理解していった。


 ふと前方に中型のモンスターが現れた。リバンスはそれを見て、新たな挑戦の予感を感じた。


「…あれも試してみるか」


 リバンスは心の中で決意を固め、緊張と期待を胸に、中型モンスターに挑む準備を始めた。

能力の深堀回でした。よくわからない方は聞いてください。(?)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ウルス、冷静で器の大きさを感じさせる人物ですね。 でもリバンスの能力を警戒してるようですね。 リバンスがどのようにコピペ能力を 生かして行くのか楽しみです。 シンプルな能力だけど、 使い方…
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