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俺のコピペが世界を変える!  作者: 滋賀列島
第2話「異能の探求」
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2-1: 「帰還と報告」

リバンス

無能な冒険者として周囲から見下されている青年。魔法も使えず、戦闘でも役立たないため、パーティでは雑用を担当している。病気の妹のために治療費を稼ごうと都会にやってきたが、思うようには稼げず、悩む日々を送っている。依頼で訪れた洞窟での戦闘中に「複写再現(コピー&ペースト)」という特殊な能力に目覚め、その力を使って自分の可能性に少しずつ気づき始める。


グレン

リバンスを雑用係として使い、自身の依頼をこなしている冒険者。剣と魔法を使うが、リバンスを見下す言動が多い。自身の冒険者としての能力には自信があるが、実力はそれほど高くない。洞窟でのサラマンダーとの戦闘で仲間が命を落としたことに動揺し、ギルドに報告する際には怒りを露わにする。


ウルス

ギルドのマスターで、歴戦の冒険者。大柄で屈強な体躯を持ち、落ち着いた性格である。冒険者たちのトラブルを冷静に対処し、信頼されている。グレンたちの報告を受け、本来そんな危険度の洞窟ではないため、事態を調査することを決める。過去にはやんちゃだった一面を持つが、今では後進の育成に尽力している。


グレンの仲間たち

グレンと行動を共にしている冒険者たち。彼らもまた、リバンスを見下し、雑用係として扱っている。洞窟での戦闘後、初めての恐怖と絶望を味わい、動揺を隠せないでいる。

 洞窟(どうくつ)からの脱出(だっしゅつ)は、リバンスとグレンたちにとって命懸けのものだった。地響(じひび)きと共に崩れ落ちる岩壁の中、何とか無事に外へと脱出(だっしゅつ)した彼らだが、その代償は決して小さくなかった。サラマンダーの尻尾(しっぽ)の一撃で仲間の一人が命を落とし、残された者たちの表情には疲労(ひろう)絶望(ぜつぼう)が色濃く刻まれていた。


 リバンスは無言で周囲を見渡す。グレンをはじめとする仲間たちも、無傷ではいられなかった。皆、擦り傷や打撲(だぼく)を負い、服もボロボロに破けている。それでも何とか命だけは助かった。それが唯一の救いだった。


「行くぞ、町に戻ろう」


 グレンが低い声で言い、仲間たちはうなずいた。リバンスもまた、その言葉に従うようにして足を動かす。しかし、その足取りは重く、誰もが先ほどの恐怖(きょうふ)と失った命の重さに囚われていた。道中、誰も言葉を発することなく、ただひたすらに歩き続けた。


 やがて、夕方(ゆうがた)になる頃、ようやく町が見えてきた。疲れ切った体を引きずるようにして宿屋(やどや)に戻ると、皆はそれぞれの部屋に籠る。リバンスもまた、自分の部屋に戻るが、彼の心中(しんちゅう)には一つの感情(かんじょう)が渦巻いていた。


「俺の中に、あの時目覚めた(ちから)…あれは一体…?」


 リバンスは手のひらを見つめる。洞窟(どうくつ)の中で、確かに何かが自分の中で目覚めたのを感じた。無意識のうちにサラマンダーの攻撃をコピーし、同じ技を放ったあの瞬間。それは、まるで神から与えられた贈り物(おくりもの)のように感じられた。


 リバンスはその感覚(かんかく)を確かめるために部屋の中を見渡し、目に留まったのは小さな木製(もくせい)の椅子だった。彼は慎重に椅子に手をかざし、心の中で「コピー」と念じてみる。すると、彼の手に微かな光が集まり、その瞬間、椅子の形が頭の中に鮮明に浮かび上がった。


「これが…コピーしたってことなのか?」


 リバンスは不安(ふあん)興奮(こうふん)が入り混じった表情で、次に「ペースト」と心の中で呟いた。すると、目の前に同じ形の椅子がもう一つ現れた。驚きと喜びが彼の中で渦巻く。


「本当にできる…俺の力だ…!」


 彼は目の前に二つ並んだ椅子を見つめながら、これからの自分に少しだけ希望を見出した。リバンスはそう自分に言い聞かせ、わずかながらも希望を胸に宿のベッドに身を横たえた。


 翌朝(よくあさ)、リバンスが目を覚ますと、昨夜コピーした椅子が消えていることに気づいた。部屋を見回し、もう一度同じ場所に椅子を探すが、やはり見当たらない。


「まさか…時間(じかん)が経つと消えてしまうのか?」


 彼は疑問(ぎもん)に思いながら、再度椅子に手をかざし、コピーしようと試みた。しかし、その瞬間、一階からグレンの怒鳴り声が響いてきた。


「リバンス!いつまで寝てるんだ、早く降りてこい!ギルドに行くぞ!」


 その声に驚いたリバンスは、急いで身支度(みじたく)を整え始める。試したかったことはひとまず後回しにし、彼は階段(かいだん)を駆け下りた。


 ギルドの建物はいつも通り(にぎ)わっており、冒険者(ぼうけんしゃ)たちの声が飛び交っている。リバンスとグレンたちが受付に向かうと、グレンが怒りを抑えきれず、受付嬢に向かって怒鳴り始めた。


「あんな危険な依頼だとは聞いていない!仲間が一人死んだんだぞ!」


 その声に、周囲の冒険者(ぼうけんしゃ)たちが何事かとざわつき始める。ギルド内の喧騒(けんそう)は一瞬にして静まり、視線が一斉にグレンに集まった。何が起こったのか、誰もが興味津々(きょうみしんしん)で耳を傾けている。


 受付嬢は困惑(こんわく)した表情でグレンを見つめるが、すぐにギルドマスター(ギルドマスター)のウルスが現れ、間に入った。


「落ち着け、グレン。ここで騒いでも何も解決しない。とにかく、事の詳細を聞かせてもらおう」


 ウルスは落ち着いた声で言いながら、リバンスとグレンたちを別室(べっしつ)に案内した。その背中には、大柄で屈強(くっきょう)体躯(たいく)から感じられる威圧感(いあつかん)があったが、その目はどこか優しげで、彼が歴戦(れきせん)冒険者(ぼうけんしゃ)であることを物語っていた。

名前の由来コーナー!

1.リバンス

本作の主人公ですが、「Rebirth(再生)」と「Advance(進化)」を組み合わせた造語で、新しいものへの進化や再生を意味しています。リバンスが無能から最強になりえる能力に開花した流れを表すほか、能力自体のニュアンスにも近いものがありますね。


2.ウルス

今回出てきたギルドマスターですね。ウルスの名前の由来は、ラテン語の「ウルスス(ursus)」から来ています。「ウルスス」は「熊」を意味し、その名の通り彼の大柄で屈強な体躯と、優しさの中にも力強さを持つ性格をイメージしています。過去のやんちゃな一面もありつつ、今では頼りになるギルドマスターとしての存在感を表すために、この名前を選びました。


3.グレン

適当です。正直構想初期では初手の洞窟で死んでもらう予定でした。

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