4-2: 「静養と成長」
アーカルムへの旅を共にすることを決めてから数日が過ぎていた。
リバンスは窓の外を眺めながら、ミストヘイブンの穏やかな街並みに目を向けた。
体の痛みは依然として残っていたが、少しずつ良くなっていることを実感していた。ルーンの献身的な看病のおかげで、ここまで回復できたのだろう。
「ルーン」
リバンスは部屋の隅で本を読んでいた彼女に声をかけた。
「ありがとう。君のおかげでずいぶん良くなったよ」
ルーンは本から顔を上げた。「いいえ。でも、まだ完全に回復したわけじゃないでしょう?」
「ああ」リバンスは頷いた。「でも、もう大丈夫だ。食事だけ運んでくれれば、あとは自分でなんとかできる」
「そう」ルーンは本を閉じた。
「じゃあ、私はアーカルムへの道順を調べたり、ドミナージュの情報を探ったりしてくるわ」
リバンスは微笑んだ。「わかった。気をつけてな」
ルーンが部屋を出ていくと、リバンスはゆっくりとベッドに腰を下ろした。
(さて、これからは回復に専念しつつ、能力の確認もしておかないとな)
彼は飛空艇で購入した回復薬を手に取り、一口飲んだ。苦い味が口の中に広がったが、同時に体の痛みが和らぐのを感じた。
そこから数日間、リバンスは回復薬を飲みながら静養に努めた。その合間に、彼は自分の能力、複写再現について確認を始めた。バルザックとの戦いで起こった異変が、まだ彼の心に引っかかっていたのだ。
バルザックとの戦いで見せた予想外の力。通常では考えられないほど多くのペーストを連続で行い、さらには当初コピーできなかった強力な重力魔法まで使えるようになっていた。この急激な能力の向上に、彼は戸惑いと期待を感じていた。
(なぜ、あの時はあんなことができたんだろう...)
命の危険、そしてルーンを守らなければという強い思い。リバンスは、自分の感情の高まりが能力の強さに影響を与えるのではないかと考えた。しかし、それを自在にコントロールすることの難しさも感じていた。
部屋にあるものを使って複写再現を試していると、コピーできる個数やコピーしておける時間、ペーストした後の持続時間などに向上が見られた。
能力を使うたびに襲ってくる頭痛は、まだ完全には回復していない体を思い出させたが、自分の可能性が広がっていく感覚に、リバンスは静かな喜びを覚えた。
そして、彼の思考は自然とルーンへと向かった。
彼女の多彩で強力な魔法と自分の能力を組み合わせれば、単に威力を増すだけでなく、様々な戦術の可能性が広がるはずだ。その期待に、彼の胸は高鳴った。
こうして、静かながらも充実した1週間が過ぎていった。




