第八話 幼い頃の記憶
アンジェリーヌは幼い頃、『ロック・ジャーキー』に来て迷った経験があるーー。
『えーん、えーん……』
幼い女児ーーアンジェリーヌが寂しくなって泣いている。
散策に出た際、穴に落ちてしまった。怪我はないが、帰り道がわからない。一人では心細い。
ーーくらい
ーーこわい
………………あ、なにか変な思い出が頭に浮かんでくる
………………わたし? わたしーー私!?
アンジェリーヌは思い出す。
アンジェリーヌには、日本という国で生きた記憶があった。
ーーただ、幼いアンジェリーヌは記憶が受け止めきれず、混乱する。
『頭……いたい…………』
苦しむアンジェリーヌーー。
チカチカチカ
とーー、アンジェリーヌに点滅する光が近付く。
一つではなく、無数の小さな光。
『……妖精?』
アンジェリーヌが次いで見たものは、一際輝く大きな光。
七色に輝く光ーー。
『ーーもう大丈夫よ』
『もう大丈夫?』
『あなたは、日本の記憶が戻ったばかりで、精神が不安定になっているの……』
『に……ほん……』
アンジェリーヌの頭が痛む。
『大丈夫よ。私が記憶を一時的に封じてあげる』
『こわい……』
『大丈夫……。あなたが成長するまで、見守ってあげる』
『ほんとう……?』
『本当よ。近くに、いてあげる。私の名前は【チカ】』
『チ……カ…………』
『私も、あなたと同じだから』
『同じ……』
『そう……。日本人、だから』
『日本人…………』
ーーそれから少しして、アンジェリーヌは付添いの者に発見された。
ドワーフたちもいた。道案内をしてくれていたようだった。
思えば、ドワーフに助けてもらうのも二回目だ。
少しだけ、お返しをしたいーー。