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第35話:『絶滅戦姫♡ビッグファイブ!』

「ぐるあぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁあああああっっっっっ!!!」


 親と思しきティラノサウルスの怒りは最高潮となっていた。

 一際大きく咆哮すると、反射した声が360度から小雪(こゆき)たちの身体を揺さぶる。


 攻撃手段は鉄すらも砕くと言われている大きな顎と、リーチが短い代わりに強力な力を持つとされる小さな前脚、推定全長15m・推定体重7tの尻尾から放たれる、圧倒的な物理攻撃。

 表面はトリケラトプスや外敵に襲われないようにするために、硬質な鱗に覆われている。


「来ます!!」


 まずは一撃。

 一発当たれば確実に肉塊となる必殺の一撃が尻尾から放たれる。


削穢(さえ)さん!」

「……承知しました」


 撫霧(なでぎり)の後ろに回り込むと、その小さな身体にのしかかるトン単位の衝撃を受け止める。

鉄心(てっしん)石腸(せきちょう)】は鋼にも負けず劣らない防御力を誇るが、そのスキルを持つのは平均的な女子高生とほぼ同じ体重を持つ少女。攻撃が当たった時の反動で吹き飛ばないようにするために『(Strength)』を発動中の小雪が小さな背中を支える。


「頼むぜ小雪!お前が持ち堪えてくれないとあたしたちまで道連れだからな!!」

「わ……、かっ、てる、よっ!!」


 ざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざり――。

 衝撃が押し殺せずに足が後ろへと引き摺られていくが、撫霧を盾にして確実に止まっている。


 つまり、親分ティラノは尻尾での攻撃に集中していて、防御は手薄になっている状態だ。


「はあああああああああああああ…………」


 龍ヶ崎(りゅうがさき)は身体に満ちた力を右の拳一点に集中する。


 那羅(なら)延天(えんてん)から軽く受けた説明によると、『ビッグファイブ』一回目のガンマ線バーストにちなんだ探知能力、二回目の氷期にちなんだ氷属性攻撃、三回目の大規模な火山噴火にちなんだ地面を爆発させる攻撃、四回目の地殻変動による火山活動にちなんだ炎属性攻撃、五回目の小惑星衝突によって地球を覆った砂塵にちなんだバリアの展開ができるらしい。


 が、それよりも大きな力の根源がある。


 それは、自分や味方を守りたいという強い思いだ。

 自分や味方がピンチになるほど体内を巡る力が強くなっていく。


 そして一気に駆ける。

 一気に跳ぶ。


 身体能力まで強化された龍ヶ崎は足のバネだけで数メートルの高さを軽々と跳び、恐竜の胸の部分へと斜めに突き刺さる。


「ぎゃぅふっ!!!」


 強力な拳が捻じ込まれたことにより肺から中途半端に空気を吐き出した恐竜は苦悶の表情を浮かべると、その巨体があっさりと地面を離れて空中へと投げ出された。後に、ずずん――。という重い音と、大量の土煙が遅れて発生する。


「とどめです!!」


 青い力を手に充填させると、今度は氷の力を収束させる。


「ええと、何か凄い吹雪い!!」


 地面に伏した巨大恐竜に氷の力をぶつける。


 ぺきぺきぺき。

 何だかアニメチックに身体全体が氷柱に覆われると、全長15mのティラノサウルスは完全に動きを止めた。

 ティラノサウルスがトカゲのような変温動物なのか、それとも鳥類のような恒温動物なのかは意見が分かれているが、これほどの強力な冷気を浴びれば恒温動物でも助からないだろう。


「凄いよひびきちゃん!技名はダサいけど!!」

「もうちょっと後で真剣に考えましょう。技名もスキル名も」


 残された四体の恐竜へと振り向く。


「どうしますか?!これでも私たちと戦いますか?」

「ぐる…………」


 例えばハイエナなどの社会性の高い動物は、群れのリーダーが「無理だ」と判断した時やリーダーがやられた時、種の生存を優先するために撤退するという。


 親・親玉・もしくは群れの実力者が斃れたことでティラノサウルスたちに焦りの色が浮かび、じりじりと後ろに下がっていく。


 しばらくもしないうちに四体の恐竜は(きびす)を返し、洞窟の外へと消えていった。


「……どうしますか複野(おちの)さん?……追って殺しますか?」

「あのデカいの二体ほどではないけど、それに匹敵する強さを持った奴が四体もいるんだよね……」


 小さいモノを二体、大きいモノを二体斃したわけだが、それでもここまで苦戦したのだ。今の実力や装備では勝つのは難しいかもしれない。


「……しかし、あの残ったモノたちも始末しないと、このダンジョンの完了報告は行えませんよ?……もう一度入口に戻って立て直すよりも、このまま討伐してしまうのがいいのではありませんか」


 洞窟の中を通ってここまで辿り着くのに約一日。

 しかも、比較的安全な道を通って、だ。


 一度帰ってもう一度来るのだとしたら、ダンジョンの出入口まで到達するのに一日。

 出入口から東尋坊まで『|奇術師《The Magician》』を使ってワープしなければならないため、CT(クールタイム)を待つのに一日。

 再出発して洞窟の中で一日。


 ここまで辿り着くのに計三日以上かかることになる。なるべくならこの場で全て解決してしまいたい。


 ジャングルの中を突き進んで出入口まで往復する手もあるのだが、恐竜たちに奇襲させるリスクを抱えながら道なき道を進んでいくことに、果たしてメリットはあるのか否か。


「行きましょう!複野さん!!」


 この場で一人、希望と力に満ち溢れた女性が白い手袋に包まれた手を強く握る。


「この場で斃してしまいましょう!今の私ならいけそうな気がします!!」

「その必要はないわあ♡」


 大きく開かれた洞窟の入口に一人の女性が立っていた。


 羊のような白っぽい巻き角が側頭部に生えた頭。

 猛禽類のように鋭い黄色い瞳と黒い結膜。

 陰部は覆っているのに臍だけが露出した黒いボンテージ服のような服装。

 艶やかな質感があるのに好き通るような青さをした肌。

 髪のように垂らされた悪魔のような色と形をした尻尾。


「久しぶりね♡。あなたたち」


 ぺたぺたと生足で歩きながらこちらに向かってくる。


 マイニー。

 機械神がそう呼んでいたもう一人の黒幕である。

 突然ですが今回は「リングフィットアドベンチャー」の話を!


「リングフィットアドベンチャー」は、メインストーリーが全23ワールドあるのですが、メインストーリーをクリアすると、エクストラフィットネスと言って、雑魚敵やボスのレベルがアップした状態のステージ1からリスタートとなります。それが全部で二回繰り返されるので、ステージ数は全23ワールド×三回で69ワールドですね。


 藤井は一日10分、週2~3回くらいのペースで「リングフィット」をプレイしていたのですが、先週、遂にワールド69のラスボスを撃破しました。

 三周目終わった後でも何かしらの遊べる工夫をしてくれるのかな……、と思っていたら本当に終了で、その後に新しいステージが出現するといってようなこともありませんでした。


 ステージは全ワールドで完全クリア。

 ミッションも裏ミッションまで攻略してクリア率100%。

 コスチュームの収集率も100%。

 宝石類の収集率も100%。

 スムージーの種類もレシピも100%。


 ……というわけで、約4年間のプレイの後に完全クリアを達成してしまったので、運動する機会を失ってしまいました。今後はサブロムを立ててプレイするか、ショップで買える「力ドリンク」と「守りドリンク」をドーピングして攻撃と防御とプレイヤーランクをカンストする旅に出ようか検討中です。

 素材集めと金策のために同じステージばかりを周るのも暇だし、サブロム始めようかな……。


 ちなみに、この約4年間鍛えた結果としては、


・筋力……学生時代から運動経験ゼロだったので、やってないよりかはまし、くらいには付いた。

・肩凝り……しなくなった。

・猫背……ほぼ解消。

・反り腰……治ってはいないけど、トレーニング次第では治せる。

・腹筋……割れず。トレーニング次第では割れる。

・持久力……やる前とは比較にならないほど付いた。


 と、言った感じです。

 藤井の場合は運動不足を解消するためにまったりやっていただけなので、運動時間を増やしたり、運動負荷を上げたりすれば、もっと効果は見込めるかと思います。

 医師などによれば、「一日40分週一回」が理想だそうですが、藤井のやっていた一日10分週三回でも効果が出てるみたいなので、無理なく続けたい人は毎日少しずつやるのが理想かも?



 ではまた!これからもよろしくお願いします!!

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