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リーネ編完結です。

「……一度今わかっていることをまとめて、リスト化しましょうか」

そう言ったルリアーナは部屋に置いてあったメモ紙とペンを持ち、これまでに判明したことをさらさらと書き始めた。


君となの登場人物に転生してきた人一覧

・君とな無印

 ヒロイン:シャーリー…転生者、今はルカリオを追ってクローヴィア?

 悪役令嬢:イザベル/中村鈴華…転生者(ストーカー事件被害者)、ハーティア

・君とな2

 ヒロイン:カロン…転生者?処刑済み

 悪役令嬢:ルリアーナ/野田芽衣子…転生者(ストーカー事件被害者)、ディア

・君とな3

 ヒロイン:リーネ/中村美涼…転生者(ストーカー事件関係者)、スペーディア

 悪役令嬢:アナスタシア…不明

・君とな4

 ヒロイン:ルナ…転生者、多分クローヴィア

 悪役令嬢:アデル/石橋秋奈…転生者(ストーカー事件被害者)、クローヴィア


「うん、こんなもんか」

シリーズ毎のヒロインと悪役令嬢の転生者か否かと現在地(ルリアーナたちはメインの在籍地)を書き込み、ルリアーナは「どう?」と4人にそれを見せる。

なお、男性陣2人は暇だということでルリアーナがメモを書いている間に王宮探検に出掛けた。

「はい」

リストを見ていたアデルが授業中のように手を挙げて発言の許可を求める。

「ルナが転生者ってなってますけど、そうなんですか?」

自分が関わっていた人物の横にあったその文字にアデルは驚いていた。

そして自分が知らないことをルリアーナが知っていたことにも。

「ああ、言ってなかったかしら?」

ルリアーナはそういえば言った記憶がないと苦笑し、アデルに頷いて見せる。

「アデルちゃんの話を聞いた時、この子も転生者だって気がついたの。だからライカ様の魅了を解いた後に私はルナに忠告しに行ったわけ」

「そうだったんですか…」

ルリアーナの話にアデルは「ほえー」と感嘆ともつかない声を漏らし、再びリストを見る。

「あの、カロン、さん?『処刑済み』ってなってますけど…」

イザベルはこれ聞いてもいいのかなという顔で、恐る恐るカロンの名前を指差す。

自分が経験した『国外追放』よりも重い罰を与えられた人がいたことに驚いたのだろう。

「ああ、カロンは多分、転生者だったんだと思う。私が転生した君とな2ってびっくりするくらい簡単に全員を攻略できちゃうから、逆ハーエンドでも試してみようと思ったんじゃない?でも、巻き込まれないようにしてた私に冤罪着せようとしたから断罪返ししたんだけど、そのせいで処刑されちゃった」

てへ、ルリアーナ失敗☆

ルリアーナはそう言ってわざとらしいほどおどけて見せる。

それはイザベルに気を遣わせないための配慮だったが、実際然程惜しいとも思っていなかったことも大きい。

それに、助けられる機会があったのに助けなかった自分が処刑されたことを悔やむのは何か違うとも思った。

「…私は自分がヒロインだったと知った時にも驚いたけど、悪役令嬢がアナスタシア様だってことにもびっくりしてるわ」

リーネの方はリストに書かれた悪役令嬢の名前に驚いていた。

アデルのお陰で判明した君とな3の悪役令嬢だが、リーネには信じられないことだった。

「どちらかというとグレース様の方がそれっぽかったのに」

「ってことは転生者の可能性が高いわね。具体的に聞いてもいい?」

リーネの証言に、ヒロインと悪役令嬢であること以外にゲームシナリオと異なる動きをする者は記憶がなくても転生者である可能性が高いと考えていたルリアーナは彼女に詳細を求める。

「えっと、アナスタシア様はスペーディアの王子ガイラス様の婚約者で、でも王子には全く興味がなさそうな感じで必要最低限の交流しか持たない、いつもつまらなそうな目をした人だったわ」

「つまらなそう?」

顎に人差し指を当てて記憶を呼び起こすリーネの言葉に早速引っ掛かりを感じ、ルリアーナはその言葉を繰り返した。

「うん。でも王子はアナスタシア様が好きで、生徒会室ではいつもどうしたら彼女に振り向いてもらえるかって話ばっかりだった」

「……王子は、婚約者なのでは?」

リーネは首肯を返しながら続きを話したが、今度はアデルの呟きに「そうなんだけどね」と苦笑を返す。

「彼は好きでもない相手と政略結婚させられるのは可哀想だから、少しでも好きになってもらいたいって必死だったの」

王子、いい人過ぎるでしょ?と呆れ混じりに言い苦笑を深めた。

「でも結局彼女の態度はあまり変わらなかった。だから最後の賭けとして彼に婚約破棄するって言ってみたら?って言ったの」

「え?なんで?」

「いや、そう言ったら彼女の反応で王子のことどう思ってるかわかるかなって。そしたら彼女、あっさり同意して、あろうことか私との未来を応援するって言い出したの」

「……ああー、そりゃ理由はどうあれ王子と親しくしてたらそう思うか…」

「そうなのよ。で、アナスタシア様は婚約破棄されたと思って今は領地でのんびり過ごしているらしいわ。実際は破棄されていないけど…」

「なるほど」

一通り話を聞き終え、ルリアーナはアナスタシアの横の『不明』を二重線で消し、『転生者?』と書き換え、現在地として『スペーディア』と記した。

「…まあ、今わかってるのはこんなとこか」

ルリアーナは改めてリストを眺める。

そして「よし」と頷くと、

「話を聞きたい人の内2人がクローヴィアにいるっぽいし、先にこっちに行って話を聞いてきましょうか」

紙に現在地がクローヴィアと記されている2人はシャーリーとルナ。

彼女たちもこの事件について何か知っているかもしれないと考えたルリアーナは話を聞くため、次はクローヴィアへ向かうことを決めた。

読了ありがとうございました。

次こそ本当にシャーリー編…!!(7話くらいまで間違ってリーネ編をシャーリー編で上げてたので)

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