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第一章タケダ
最初の記憶は体育祭に遡る。
あれは俺の出場した、クラス対抗リレーだった。俺は運動は苦手な方ではなかったのもあり、リレーのアンカーを務めることとなった。
中学3年生の最後の体育祭でもあった。
あの時、違うクラスの俺を応援してくれた女子の中にミサキはいた。友だちになって欲しいと言われて間もなくである。
「タケダ君、頑張ってー」
ミサキだ。違うクラスの俺の応援なんかして、大丈夫なんだろうかと思った。友だちになったのだから大丈夫か。
そう思えないところは大いにあったが、応援されて悪い気にはなれない。
「負けられない・・・か」
自然と俺の口から、そんな呟きが漏れ出た。
クラス対抗リレーは、体育祭の最終種目である。現在のクラスの順位は、学年2位だ。リレーで勝てれば、大逆転で、学年トップで優勝だ。
スタートが近づいて来た。
ちょっとドキドキする。
第一走者がスタートの準備をしている。
合図のピストルが鳴ろうとしている。
緊張が高まる。
「位置について、よーい」
その一声の後にスタートのピストルが鳴った。