表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/51

怪事件

それは、ありふれた幸福の中で起きた。

たくさんの笑みの中、笑顔の似合う遊園地だった。


遊園地。そこは夢の形をしてる。

子供達の夢が姿を与えた場所。

だから、時代が変わっても、

ここは夢の場所であり続けるのだろう。


いくつもの巨大な遊具、歌って踊る動物たち。

少女時代に私が大好きだった

タレ目のクマさんはもういないけれど、


当時の私が彼に抱きついたのと同じように、

愛娘がツリ目のオオカミさんに

抱きついて離れない。


「ふふ......誰に似たかなんて、

聞くまでもないわね」


まるで子供の頃の私を見ているみたいだもの。

爛漫な性格、目尻のほくろ、

スカートが嫌いなスポーツ少女。


やれやれ本当に

どこまで似てしまったのだろう。


「ねぇパパあれ乗ろう!?

もう一回あれ乗ろ〜?」


亭主の腕に飛びついて愛娘が指を指す先に

あるのはこの遊園地最恐と言われる絶叫マシン。


愛娘の笑みとは対照的にやつれたような

亭主の苦言。


「えぇ!?もう3回目じゃないか」


でも、そんな弱々しい講義があの頃の私に

通用するもんですか。ほらね?


「むー、まだ3回だよ〜」


可愛くほっぺの膨らんだ娘が亭主の周りを

トタトタと回り始める。

やれやれ本当に元気なものだ。


「まだって......こりゃあ4回でも

許してくれなそうだなぁ」


状況を察した旦那はすでに青くなっている。


やれやれ、だらしがないと言いたい

ところだけれど最恐絶叫マシンの三連続に

耐えたのだ。合格としようか。


「分かったわ。じゃあ次はママといきましょう」


愛娘の手を握り、

ふと思い付き亭主を振り返る。


「アナタと出会ったのが

大人になってからで良かったわぁ」


だって、この娘はまるで私の生き写しだもの。

間違っても、私たちが幼馴染だったりしたなら

恋仲にはなれていなかったと思うから。


「ええ!?どういう意味だい!?」


亭主の垂れた眉に苦笑しながら、踵を返す。

面と向かってそんな事、言えるわけないでしょ。


「ふふ、休憩にはちょうどいいクイズよ」


「わーい!!ママ早くねぇ、早く〜」


「はいはい。今行くわよー」


小走りで愛娘を追いかける。

愛娘に手を引かれ急かされるように歩く。


遊園地は夢の形をしていた。

子供の夢は、家族の幸せ。

だから遊園地の形、それは幸せの形。


「!......美穂?どうしたの?」


私の手を引いていた美穂が突然、立ち止まる。


「あの人......変」

「え?あ......」


美穂の指の先にはベンチにうずくまる

1人の男性がいた。


男は俯いたまま、頭を抱えていた。

その口からは涎が垂れていて、

その量はベンチの下に溜まるほどだ。


(なにあれ、気持ち悪い......)


それが真っ先に思った事。

そして、美穂の手を引いてここを離れよう

と思ったのだけど、美穂の体が動かない。


「美穂?どうしたの!?」


「だってあのおじちゃん、苦しそうだよ」


「あ......」


言われて、初めて気づいた。


そうだ。気分の悪い人を見つけたんだから、

まずは係員さんに報告するべきだ。


「そうね。じゃあ係の人を連れてくる

から美穂はここにいてね」


「うんっ!!」

「よしっ!良い子ね」


本当、なんて良い子なんだろう。


今も、気分の悪いおじさんに自分から

話しかけている。


「おじちゃん、大丈夫?」

「うぅうううぅ......」


私に似ているなんて随分な間違いだった。

この子は私よりずっと良い子だ。



「うぅぐぅグググググゥ」



ずっと良い子で、こんな子達が集まるから

ここは、夢と幸せの形をしているのだろう。


「おじちゃん?」



【バクン】



「え?美穂......?」


突然のことだった。

なにより、予想もしないことだった。


誰かが言っていた。

人は、全く予期しない事を視界に

入れることが出来ないらしい。


だから、

係員さんを連れた私の視界からは

突然、美穂が消えた様に見えた。


「あ......あれ?美穂?どこに行ったの?」


「う......うぁー!!なんだ!!なんだあれ!!」


隣の係員がうるさいよ。


なんだって言うの。


私は美穂を探さないといけないのに。


えっと、さっきまで美穂はここにいたよね。


体調の悪いおじさんの手前で

私を振り向いていた。


それで?突然係員が叫んだのね?


なにを?


あぁ、そっか。


おじさんが化け物だったからね。


そりぁ叫ぶよね。体は人なのに、

あの顔はまるでオオカミみたい。


あぁ、ここのマスコットも

ツリ目のオオカミだっけ?


じゃあそのリアル版ってところかしら?


うぅん、あまり可愛くないわね。


目つきが悪いし、

口元が赤いのが良くないわ


なんで赤いのかしら?


あら?よく見ると地面も真っ赤、


まるで血溜まりのような。


血溜まり.....誰の?


......あぁ、なんだ。そうだったの。


この赤が、美穂だったのか。








「幸せ....,.どこにいっちゃったの?」







夕方、緊急速報が流れた。


「速報です。T市の遊園地で殺人事件が

発生しました。容疑者の男は顔が狼のように

変形し、意思の疎通も困難との事。

以前発見されたコウモリの羽を

生やした少女との類似性が疑われております」


それは、コウモリの羽を生やした少女、


月影真央に対する不信を煽る種火。


感染の疑惑、類似の事件、殺傷事件の発生


そして、近隣で揶揄される魔王という名。


ただの噂や陰口のはずだったそれらは、

時とともに着実に広まり、いつしか、


常識となっていた。


月影真央は"魔王"であり、

人に感染する"魔物化"を扱い手下を増やす

危険な存在であり"人ではない"のだと......


お詫び申し上げます。

しばらくネガワールドが、続きますと

お伝えしましたが、よく考えたら


この作品のプロローグ期間は、、、

ほぼネガワールドでした!!


(*´Д`*)ギャーーーー(*´Д`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ