①
思いつきで書き始めてみたお話です。
この一話だけで終わるかもしれないです。
その日は真夏日でカンカン照りだった。
エアコンが効いていない屋内の競技場で、うだるような暑さで頭から汗が顔に垂れてきて、目に入って染みてきてたのを覚えている。
名前が呼ばれると、後ろにいる先輩から「頑張ってこい」と背中を押されたのを覚えている。
ジャンプ二回して、股を開き、肩を入れる。試合前の自分のルーティーンだ。こうすると、気持ちが高ぶってくるのだ。
審判の「両者!前へ!」という声とともに、床に貼られてあるテープまで足を進める。
面から見える相手の顔が見える。目が強張っている。怯えているのか、高ぶっているのか、わからない。ただ、自分も身体の底が熱くなってくるのを感じた。
礼して試合が始まった。足を思い切り蹴り上げて相手の腹に蹴りをぶち込む、「バシンッ!」といい音がして審判が旗を上げた。開始早々1本目を取ることができた。
再び元の位置に戻り、再び審判が再開の合図を取る。相手は1本取られ焦っているのか、少し乱暴に攻めてくる。
避けつつ、間合いを測る。近すぎても遠すぎてもダメ、落ち着いて自分のゾーンを確認する。
相手が踏み込んできて殴りかかってきた。それを捌いて避けようとした瞬間、相手は抱きついてきた。
この競技、パンチやキックだけではない、抱きついて相手を倒すこともルール上大丈夫だ。
態勢を崩され、相手が上にのしかかる。足で腹を蹴り上げて脱出しようとするが、がっしり掴まれて抜け出せない、俺は場外に抜け出そうともがくが、相手はがっしり固めて動くことができない。この苦しい時間が続いて審判が「待て!」の号令をかける。
また元の位置に戻るが、肩で息をしているのを感じた。先ほど組まされたことで大分体力が削られてしまった。
うまく、息を整えることができないまま、また審判が「始め!」と声を出す。今度相手は思い切りタックルしてきた。また態勢が崩れ、頭から落ちていった。床に頭を叩きつけられた後、相手が1本決めるために俺の面を殴ったことまでは覚えていた。
気がついたら俺は病室にいた。どうやら俺はあのまま倒れてしまったらしい。病室には、監督と先輩がいた。
気がついて、頭がはっきりしてくると悔しさが込み上げてきた。頭から倒れてしまったことや相手に組まれて体力が削られ、判断が鈍った自分の未熟さに悔しさが込み上げてきた。
監督と先輩は負けた自分を罵ることはせず、むしろ慰めてくれた。しかしこの優しさが自分には辛かった。
何の格闘技かは名義しませんでしたが、恐らくわかる人にはわかると思います。
ここからどう進めるかまだ何も考えていない。