キキョウ
ねえ――
あなたは雨が好きかしら?
そう……
ワタシは、どちらかといえば好きよ
だって雨が、ワタシの色を変えさせてくれるから――
綺麗かしら? あら、あの子に目移り?
ふふふ♪ そんなに焦っても咲いてなんか上げないわよ?
雨が続くわね、ワタシの肩に雨宿りしていいのよ。
ほら、下から覗けば滴が万華鏡のよう――
これもすぐ散るから、頭のシャッターに残しておいてね
そうしたら、来年はもっときれいに咲かせてあげるから――
そう言っていたのに、桔梗は今年を待たずに枯れてしまった……。
僕が水を与えすぎたせいなのか。それとも、害虫たちにやられてしまったのか。
それはわからないけれども……。
未練からか、今年も花屋に桔梗が並ぶと買ってしまう。
今度は枯らさぬように、枯らさぬようにと。
ほんのちょっぴりだけ願いを込めて――。