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【最後の召喚・小話】 ホシマツリ~秘されていた願い~

前回アップした小話に書き忘れたものです。

肝心な部分が抜けていた[PC]ヾ(ーー;)


ジュリが二度とこの世界に来ることがないと言われて初めての『星祭り』の日。


『星祭り』という行事が始まったのはここ数年である。

しかし、ジュリと特に親しかった者達はジュリの世界の行事を聞いていた(聞き出した?)ので7の月の7日は天に住まう夫婦の一年に一度の逢瀬の日だということを知っていた。

そして、その日に特別な飾りを作ることも…………


魔導士協会のとある部屋の隠し扉から小さな箱が発見された。

隠し扉を見つけたのは偶然だった。

たまたま見習い魔導士が部屋の掃除をしていた時に足を滑らせ壁に手を当てた時に何かしらのスイッチらしきものを押してしまい、今まで誰も知らなかった扉が出現したのだった。

協会長のルカジオは封印の術を解き、箱のふたを開けた。


箱の中には真っ黒い紙が数枚入っていた。


そのうちの一枚を取り、太陽の光に翳したルカジオはすぐさまは幼馴染であるチェルソ・ノズ・バッリスタに連絡を取った。


チェルソはルカジオから連絡を貰いすぐさま魔導士協会へと駆けつけた。


「ここにジュリがこの国にいた時に『星祭り』の日に飾っていた飾りがある」

黒い紙をチェルソに渡すルカジオ。

チェルソは首を傾げながら紙の裏表確認している。

「ただの黒い紙ではないのか?」

「その紙に見覚えはない?『星祭り』の日にジュリが部屋に飾っていたモノに似てない?それに、ただの紙をジュリが厳重に封印の術を掛けた箱にしまうと思う?」

「…………」

「それに、光に当てると文字らしきものが浮かび上がる。でも僕が知っている文字ではない。多分、ジュリの世界の言葉だと思う。僕はジュリの世界の言葉は読めない。チェルソ、君なら読めるはずだ」

「黒い紙に黒い墨で書かれていて読めない」

黒い紙を光に当てたチェルソも文字らしきものを認識したが、黒い紙に黒い墨で書かれているため上手く読み取れない。

「僕が紙の色を変えれば読めるよね」

「まあ、文字をしっかり認識できるのなら読めるが……」

真剣な表情なルカジオにチェルソは小さく頷く。

「ジュリがこの国にいた時、一人、なにを星に願っていたのかを僕は知りたい」

「それはただの好奇心か?」

「それもあるけど、僕たちはジュリの事を何も知らない。ジュリが何を思い、何を願っていたのか。数年一緒にいたけど、僕はジュリ本人からジュリ自身のことを一度も聞いたことがない。いつも、悲しそうな笑みを浮かべはぐらかされていた」

ギュッとこぶしを握り悔しそうに表情を歪めるルカジオ。

「僕たちはジュリにこの国を救ってもらった。だけど、僕たちはジュリに何もしてあげられなかった」

窓の外を見つめるルカジオにチェルソも窓の外を見た。

窓の外は真っ青な空が広がっていた。



「わかった。ルカジオ、紙の色を変えてくれ」

黒い紙をテーブルの上に並べるチェルソ。

「私もジュリのことは何も知らない。いや、知ろうとしなった。ただ、あれ以上傷ついてほしくなくて遠ざけていたから……私もジュリが何を願っていたのか知りたい」

「それが君の傷を抉る結果となっても?」

「今更それを言うか?」

苦笑するチェルソにルカジオは頭を下げた。

「謝罪はいらない。どんなことが書かれていても傷がふさがることはないからな。さあ、始めてくれ」


チェルソに言われ、ルカジオはテーブルの上に並べられた黒い紙から色素を抜いていった。

これはジュリがしみ抜きとして利用していた術をもとにルカジオが応用した術である。

意図したモノの色だけを抜き取るものだ。



次々と浮かび上がってくる文字にチェルソは静かに涙を流していた。

「チェルソ?」

「『魔獣被害が減りますように』『民が平穏に暮らせる世になりますように』『誰もが笑顔を浮かべる国になりますように』……これらに書かれているのは皆、この国に関する事ばかりだ」

「な!?」

「ジュリに関する事はこの1枚だけ」

一枚の紙をチェルソは大事そうに持ち上げた。

「『大好きなあの人がいる元の世界に帰れますように』……日付はジュリがいた最後の年だが……7の月を迎える前にジュリは元の世界に帰っている」

チェルソはそういうと炎を呼び出し、その紙を燃やした。

「チェルソ!?何やっているんだ!」

「ジュリの本当の願いは叶ったんだ。これは残しておくべきじゃない」

「…………」

「ジュリが心からの願い事は他に知らせる必要はない」

紙がすべて燃えカスとなるとルカジオは小さなため息をついた。

「僕と君だけが知っていればいいってこと?」

「後世に伝える必要もないことだろ?『真の神子様』の願いはこうやって残っているんだから」

残った願い事が書かれた紙をルカジオは箱に戻す。

「これは彼女に渡しておくよ。きっとまた楽しい話を書いてくれるだろうからね」

「ああ。出来上がったら私にも読ませてくれ」

「きっと彼女のことだから一番最初に君に献上すると思うよ」



ジュリの願い事の件は本にされることはなかった。

オルガ=ライター(本の執筆者)が面白味がないと一蹴したのだった。

「そもそもこの願い事が本当にジュリが心から願っていた願い事だと思う?本当にこの国のことを願っているのならこの国の文字を使うだろう?私たちが知らない文字で書かれているし、あの偽神子様が見るかもしれないのに本当の願いを書くと思う?書くとしたら『元の世界に帰りたい』とかじゃないの?もっともその願いを本当に書いていたら相当ジュリの心は壊れかけていたんだろうね。あの子は常に偽神子様に隙を与えないように神経張り巡らせていたから本当の願いなんて書かないだろうよ」

彼女の言葉を聞いたルカジオは苦笑するしかなかった。

自分達よりも接する機会が少なかった彼女の方がジュリのことをよくわかっていると知ったからだ。



その後、箱にしまわれた願い事が書かれていた紙はルカジオの手で燃えカスにし、夜空に放った。

燃えカスは風に乗り空高く舞い上がり、淡く光った後、夜空に消えていった。



ということで、前回の小話で書き忘れていた『ジュリの願い事』に関する小話でした。

ジュリが願う事って『元の世界に帰りたい』一択だと思うんだよね。

また、そこらへんの小話(裏話?)は構想がまとまったら書こうと思いますが……

いつになるかな~...( = =) トオイメ



実は今回の七夕話は息抜きに『結ばれたイト~』設定で書こうと思ったのですが翼パパが暴走したので『最後の召喚』設定に変えちゃいましたテヘヘッ(*゜ー゜)>

構想時間2時間くらいですかね~だからかなり設定が穴だらけだったりするヾ(--;)ぉぃぉぃ


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