【花に託した~・小話】 栞
『花に託した想い』の空白の数年間の間にあったかもしれない出来事。
超短いです。500文字ないですから…ヾ(--;)ぉぃ
「先生っていつもその栞を愛用しているよね」
生徒の何気ない一言に俺はこの栞をくれた彼女のことを思い出す。
「これは俺の大切なものだからな」
「恋人からの贈り物?」
生徒はニヤニヤしながら栞に触れようとしたがその前に取り上げる。
ブーブー文句を言いながらもニヤニヤしている生徒に小さくため息をつく。
「そうだな、とっても大切な人からのプレゼントだ」
ふと彼女の笑顔を思い出す。
この花のように控えめに笑う彼女の笑顔が俺は好きだった。
「あ~あ、そんな顔見たら先生のファン確実に減るね」
「そんな顔?」
「スッゴく愛しいって顔してる。先生のそんな表情初めてみた」
「…………」
丁度その時、予鈴が響いた。
「ほら、早く教室に戻りなさい」
「はーい!ねえ、先生」
「ん?」
「いつか聞かせてね。そのナデシコの花の栞の送り主とのロマンスを」
生徒を追い出し、栞を教科書の間に挟む前に軽く撫でる。
準備室の窓から空を見上げると青空が広がっていた。
「ロマンスと言えるほどのモノはなんにもないんだけどな…………でも、俺はナデシコの花じゃなくて、君を撫でたいって思ってしまうんだよな」
俺の呟きは誰に聞かれる事もなく空に消えていった。
ユリが留学してから帰国するまでにこんなことがあったかもしれないという話。
本当はもうちょっと長かった(2000文字くらいあったかな?)けど、意味不明なことを言い出したのでざっくりとばっさりと切ったのでかなり短くなりました(笑)