ふたりでいっしょに
気がつくと、ふたりは森の入り口にすわりこんでいました。女王さまのならしたゆびが、ふたりをここまで運んだのです。
ユーリは、女王さまからもらったマントで、ラウラをつつむと
「たすけに来てくれて、ありがとう」
と、おれいを言いました。
ラウラは、はずかしそうに、かおを赤くしながら
「どうして、私のなみだが、ほうせきになったのかしら」
と、首をかしげました。
ユーリは、わらってこう言います。
「ラウラの心はきれいだから。小さなころ、お友だちのお話がおわらなくて、トイレが、がまん出来なくなったぼくに、水をかけて、たすけてくれたよね」
そうなのです。
あのときラウラが、ユーリに水をかけたのは、ユーリのしっぱいを、かくすためでした。
そのせいで、ラウラがきらわれものになったのに、小さなころの内気なユーリは、そのことが言えませんでした。
そしてラウラも、けっしてそのことを、だれにも言いませんでした。
けれど、ユーリはもう、小さなころのユーリではありません。
ユーリは、力づよく立ち上がると
「にかいも、ぼくをたすけてくれて、ありがとう。ぼく、もどったら、ちゃんとみんなに言うよ。ラウラは、わがままじゃないって。ラウラはいじめっこじゃないって」
そう言って、ラウラに手をさしだしました。
「さあ、いっしょに帰ろう」
ラウラは、ユーリの手をとると、立ち上がりました。うれしいような、こそばゆいような、へんな感じです。
ラウラはユーリに言いました。
「ずっと、友だちでいてくれてありがとう」
ユーリはラウラに笑いかけます。
「これからも、ずっといっしょだよ」
こうしてふたりは、手をつないだまま、ゆっくりと町へ帰っていきました。




