ラウラのなみだ
ラウラは、もうフラフラでした。雪のつめたさが、からだじゅうをおそいます。ふるえるからだをまるめて、つもる雪をつめたくなった手で、はらいのけながら、それでもあるきつづけます。
そうして、やっと女王さまのもとに、たどりつきました。女王さまのとなりに、ユーリもいます。
けれど、ユーリはラウラを見ているのに、ぜんぜん気づいてくれません。
心が、くもってしまっていました。
女王さまは、ラウラを見ると、おどろいたように言いました。
「おや、めずらしい。この森に、おきゃくさんが、くるなんて」
ラウラは、こごえて、たおれそうになりながら、女王さまに言いました。
「ユーリを返して。たいせつな友だちなの」
けれど、女王さまはラウラを、じっと見つめると
「おまえは、わたしになにをくれるんだい? ただで返すわけには、いかないよ」
と言いました。
ラウラは、もうおかざりラウラではありません。身につけていたかざりは、ぜんぶあげてしまいました。はいていたくつも、ありません。着ていた服も、なくなりました。
女王さまにあげられるものなど、何ひとつのこっていないのです。うすい下着いちまいでは、どうすることも、出来ません。
ラウラは、女王さまの前でひざまずくと
「ごめんなさい。もう、何も持っていないの。だけどおねがい。ユーリを返して」
そう言って、おおつぶのなみだを、ながしました。
すると、どうでしょう。
ラウラのなみだが、キラキラとかがやく、ほうせきになって、ラウラの目のまえに、たくさん落ちてきたのです。
ラウラのなみだを見た女王さまは、おどろいたように目をまるくすると
「いいだろう」
と、ほほえみました。
「男の子を、返してやろう。おまえは、私にいちばんいいものをくれた」
そう言うと、女王さまはユーリの頭に、手をかざします。
すると、ユーリがラウラに気づきました。心のくもりがとれたのです。
ユーリは、うすい下着いちまいのすがたの、ラウラを見ると、おどろいてラウラの元へと、走りだしました。
「さあ、はやくお帰り。私の気が、かわらないうちに」
女王はそう言うと、ラウラにあたたかそうなマントを、なげました。
ラウラが、そのマントをうけとると、女王さまがパチンとひとつ、ゆびをならします。
そのとたん、そこにいたラウラとユーリは、女王さまの前からきえてしまいました。




