おかざりラウラ
おかざりラウラは、この町いちばんのおじょうさまでした。いつもきれいな服を着て、からだじゅうに、きれいなかざりをつけています。小さなころから大切にされて、花のようにそだてられました。町のおとなたちからも、ちやほやされています。
けれど、まわりのお友だちが、ラウラをきらいになったのは、それが理由ではありませんでした。どちらかといえば、それは、後からついて来た理由なのかもしれません。
ラウラが、もう少しちいさな子どもだったころのことです。
この町には、ユーリという男の子がいます。キラキラかがやく金のかみの毛と、すきとおるような碧い目のきれいな男の子です。
小さなころは、とても内気で、いつもお友だちのかげから、まわりをのぞくような、そんな男の子でした。
お友だちは、そんなユーリがかわいくて、ユーリをまもるように、いつもユーリのそばで遊びます。
ある日のことでした。
いつものように、女の子たちにかこまれて、話をしていたユーリに、とつぜんラウラが頭からバケツで水をかけたのです。
水びたしになったユーリは、おどろいてラウラを見つめます。
そんなユーリをにらみつけながら、ラウラは言いました。
「うるさいから、あっちにいって」
この日の夜、ユーリは熱をだして、二日ほど寝こんでしまいました。
ラウラが、みんなからきらわれるようになったのは、この日からです。
みんなは、口々にこう言います。
「おかざりラウラは、わがままラウラ」
「おかざりラウラは、いじめっこ」
けれどラウラは気にしません。
平気なかおで、今日もひとり。
きれいな服と、たくさんのかざりを身につけて、冬告げ鳥を見に、港へと出かけます。
冬告げ鳥は、町に冬が来ることを、しらせる鳥です。
この鳥が町へやってくると、風の向きがかわり、町のはずれにある吹雪の森から、雪がながれてきます。
こうして、この町の冬が、はじまるのです。