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親友かついでどこに行くんですか?あ、途中廃棄処分でしたか?

 アルファーナ・リリーの身柄を保護したと、ピアスについている伝達器によって聞き取ったウォルフは、


「……すごい偶然にも程があるよ。まぁ、それよりも、ウィリアムが暴走しないか……まぁいいか」


と、ファルト領は砂漠と石の地帯で砂嵐も多い。

 ナムグは暑さと砂に弱い為、フェルト行きの為に竜に乗っている。

 竜の制御をする人々に、


「よろしく」


と声をかける。

 そして、ゴーグルをつける為に眼鏡を外す。

 ゴーグルを身に付け、目を伏せた。




「何だってェェ‼」


 耳元に聞こえる声にウェイトは叫ぶ。


「フィア‼アルファーナを助けたのか?」

『うん。ローバートと言う乗獣にも、危害を加えていたシェイズ子爵の子息をぶん殴っといた』

「あいつかぁぁ‼あの程度のレベルで、俺やルーにはヘコヘコしやがって、カイに嫌がらせをしようとしやがったから、ルーに絞めさせたが、その前に、乗獣だけではなくアルファーナにまで‼」

『あのね?ウェイト兄様。ファーの傷は幾つかあって、数日間眠らせておく必要があるんだって、それに、乗獣に暴力を与えていたことによって、騎士団総本部からエージャの代わりに、グラン伯父様とセインティア伯父様が行くんだって。僕は後からファーとルード伯父様と行くからね?待っててね?』


 その言葉にウェイトは、


「ちょっと待てぇぇ‼ファーって誰だ?」

『ファーは、アルファーナのことだよ。僕のお友達。フィアって呼んで貰ってるの』


フィアの発言に、


「フィアは、フィアは可愛いが、何で、私より先に仲良く……‼こ、こうなったら、今からでもシェールダムに帰還する‼」

『あ、ファーはね?金髪だよ。栗色に近い落ち着いた色。でね?瞳はね、シェールダム・ブルー(王家の青)じゃなくて、優しい濃紺。それと今はね、長距離の一人旅で疲労困憊で眠たそう。あ、はーい‼父様。ごめんね?ウェイト兄さま。ファーが眠くて泣いちゃいそうだから、姉様と3人で一緒に寝るね?お休みなさい‼』

「ま、待て‼」


ぶちっと通信機が向こうから切られ、


「……ファーがフィアと仲良し……。しかも添い寝‼悪い虫ではないが、納得行かない‼」

「納得しろよ‼もういい加減にうざい‼」


とキレたルーは、


「もう、俺は向こうの部屋に行く‼」

「待ちやがれ‼あの、がらくただらけの部屋はどうするんだ‼」

「お前やっとけ!」

「やるか~‼お前の好きな巨乳のお姉さん方のポスターとか、あちこちに隠しているつもりの本とか、俺が片付ける意味がない‼」


ウェイトは言い放つ。


「あのポスターのお姉さん方より、私の方がドレスは似合う‼胸よりもマナーだ‼美しい仕草に会話に衣装‼脱げばいいってものじゃない‼」

「お前のポスターなんかいるか‼」

「当たり前だ‼それよりも品がない……こう言う女性こそ、ドレスに身を包んで、チラッと見せる方が美しいし、気になってしぐさを見たいとか思うようになるのに……上半身だけではあるがオールヌード……続きが見たいとは思えないな」

「お前のせいで、恋人ができないんだ‼責任とれ‼」


 まじまじと見るウェイトを追い出し、扉を閉めたルーの声に、真顔で、


「下心ありのお嬢様たちとお茶会でもするのか?話題もないし、お茶の種類もお菓子の名前も知らない、はっきり言えば、お前は外見美男子、内面残念男‼」

「ぐくぅ~‼お前に言われたくない‼女装男‼何でお前の主催するお茶会はレディの山なんだ‼」

「下心ないし、私は、マナーレッスン教室を主催しているんだ。レディの仕草の美しさ、話の振り方や上品に御断りする方法とか、こう言うことは教えておいて正解だ」


胸を張る。


「それよりも、そんなにグラマーな女性を見たいなら、ルゥ姉上に頼め‼あっさり脱いでくれるぞ‼」

「その前に、シルゥ叔父上に殺されるじゃないか‼」

「それ位の苦難がないと、お前の妄想は絶ちきれん‼やれ‼行ける‼何なら今から行くぞ‼」

「ギャァァァ……‼死ぬ‼本気で死ぬ‼」


 担ぎ上げたウェイトは、真顔で、


「暴れたら夜の金の森のどこかで落とす‼大人しくすれば、ルゥ姉上とフィアに飛び蹴りと兄弟連携技‼どっちがいい?」

「どっちも嫌に決まってるだろうが‼このバカが‼ウギャァァ……」


ルーは、面白そうについてきていた自分の乗獣に乗せられ、着いていくはめに陥る。


「何で、こいつは変なんだ……」


 呟いたルーに、ウェイトは、


「お前の親友になった時点で、変人だ‼この顔だけ男め‼何人のレディを泣かせたんだ?最近は……」

「な、何のことかなぁ?」

「お前の女性遍歴は逐一報告済みだ。安心しろ‼シルゥ叔父上に絞められる前に、マディ兄上に絞められる‼」

「な、何だってェェ‼か、帰る‼帰るぞ‼」


戻ろうとしたルーに、乗獣が体を倒し始める。


「な、何するんだ‼帰るんだよ‼倒したらバランス崩れて……わぁぁ‼」

「行かないと、落とすって言っただろう?私とお前のナムグは双子で、意思の疎通ができる。これを利用しない手はない‼と言うことで、行くぞ‼」


 ルーにとっては地獄の旅路となったのだった。

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