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第十二話《人魚はまさに『姫』の名に相応しいモン娘だ!》

 ケンタウロスが最も知名度の高いモン娘だろうと言ったが、『人魚』の知名度も同じくらい高いだろう。しかし人魚、マーメイドの知名度の高さは、モンスターとしてではなく童話のヒロイン、プリンセスとしての物ではないだろうか。悲劇のヒロイン人魚姫の物語は、きっと誰もが知っている。人間に恋し、人間になった人魚姫。俺なら人魚のままで大歓迎なのに、なんて本人には言えないね!

 童話はさておき、モン娘としての『人魚』の話だ。人魚とは、半人半魚、人間の上半身に魚の下半身のモン娘である。下半身が魚という事は、きっと魚のような生臭い匂いがしたりするんだろう。魚介系の生臭い匂いも、それが人魚の体臭だと思うとむしろアリだから不思議だね! アリというか興奮する! エロい! そして水中で生活している人魚の身体は、きっと粘液でヌメヌメしているに違いない。人魚の生臭い粘液。文字だけでもう、もう!

 描く人によってはエラがある場合もあって、首筋や肺の辺りにエラの裂け目があるのだが、それがまたセクシーである。エラに指とか入れたら怒られるかなぁ。エラの裂け目の縁を指でなぞって『くすぐったいよ〜』とか言われたいなぁ。指といえば、これも描く人によるが、手に水かきがある人魚もいる。指の間の膜も、これまたセクシーだ。

 人魚はハーピーと同じく産卵する系のモン娘だが、魚の卵なのでイクラみたいな感じだろうか。俺は、人魚の産卵シーンを見てみたい。そう、卵を産む瞬間をね!

 人魚に関しては、少しばかりモンスター成分が多めでも良いと思っている俺。下半身が魚なのはもちろんだが、上半身の肌が青かったり、鱗で覆われていても構わない。むしろその方が良いかもしれない。いや、人間に近いタイプも好きだし……迷う!

 人魚の血肉を喰うと不老不死になるとかいう伝説があるが、卵ならいざ知らず、カニバリズムは遠慮しておこう。あ、でも、人魚の入ったお風呂は良いだしが出てて美味しそう! 人魚スープ!


◆   ◆


「どうして貴様は、この短時間でスライム化を制御できるようになってるんだ!」

 現在、スライム娘に変身した俺は、身体の形を崩す事なく活動できている。ぴょんぴょん跳びはねながら、床に飛び散ったアルラウネの蜜を回収している所だ。

「ほら、難しいヤツをクリアしちゃうと、前のヤツが何か簡単に感じちゃうみたいな、そんなヤツですよ〜」

「うん? やっぱり良く分からんが、しかしスライム化をコントロール出来るのなら、他のモン娘への変身もたやすくなるだろうからな、悪い事じゃないぞ」

 話している内に集め終える俺。さっそく頂こう!

「うふふ、あまーい、おいしー」

「暴走してようがしてまいが同じか貴様!」

「あ、女王の事が好きなのも同じですよ。じょーおーあいしてるー」

「……うむ……うむ」

 精神世界で見たもじもじするキメラ幼女を思い浮かべながら、ペロペロと蜜を舐める俺。さてと、食べ終わったので次の変身に取り掛かろう!

「アルラウネで暴走したのに躊躇いとか無いんだな、貴様」

「あたぼうよ!」


◆   ◆


「女王! 水が無いと人魚が泳げません!」

「しかしなぁ、無いものはないぞ」

 Tシャツの端っこを結びへそ出し状態にして、いざ『モードマーメイド』という所で重大な事に気づく俺!

「くっ、こうなれば、床でピチピチするしか道はないのか……ッ! それはそれでエロいか……!?」

「諦めるという道は無いんだな。あ、そうだ」

「何か良い案が!?」

「うむ、またそれか、といった感じだが、スライムの粘液を利用できるかもしれないぞ」

「なんと!」

 女王のアイデアは、スライム化をモノにした今の俺だからこそ可能なものだった。ナイスタイミング俺!

「して、どうすれば!?」

「まず両腕だけスライム化させる」

「はい!」

 半スラ状態で一息つく事なく、一気にスライム化させる。両腕がひんやりする感じが気持ちいい。

「あとはひたすら、腕から粘液を出し続けるんだぞ。スライムの塊を作るんだ」

「イエッサー!」

 俺は両腕を前に突き出し、手の平から波動を出すイメージで粘液を放出させる。むずむずする感覚を伴い、両腕からジェルが吹き出し床に垂れる。

「はぁぁぁあああ!!!!!!!」

 無駄に熱い叫び声を上げながら、放出を続ける俺。スライムの塊はだんだんと大きくなり、やがて俺の身長の三倍程の高さになる。

「ん、形、変えられるかな?」

 試しにコントロールしてみる。すると見事、ぐにょんと4m四方の立方体が完成した!

「まさか、こんなに上手くいくとは驚きだぞ。次に、内側のスライムだけ水分を多くするんだ。出来るか?」

「出来るかどうかじゃねぇ、やるんだよォ!」

 無駄に熱いテンションでチャレンジする俺! ん? 難しいな。内側だけ固まってない手作りゼリーみたいなイメージで、ソイヤッ! ブルンとスライムの塊が大きく揺れた。

「おぉ、凄いな貴様。本当に出来たぞ!」

「マジか!」

 俺特製スライムプールの完成である!


◆   ◆


「いっくよー!」

 俺は今、スライムプールの上に立っている! いよいよ『モードマーメイド』に変身だぜ!

「やり方は、今更説明するまでもないが、まずは下半身をスライム化させて魚の尾びれを作るんだぞ!」

「はい! 変身! 人魚ッ!」

 軽くジャンプしてお尻からスライムに着地する俺。ポヨンとしてウォーターベッドのようだ。そして、ラミアに変身した時と同じく両脚を上げてスライム状態にし、更に魚の尾びれに変える。溶けた両脚が魚の形に変化していく。自分の身体が変わっていく様子は、何度体験してもゾクゾクするね!

「ふぁ、うふふ」

 スライム状態から戻すと、鱗が銀色に輝く美しい尾びれが姿を現した。触ってみると、ラミアの鱗とは違うしっとりとした感触があった。少女の身体から魚の身体へと変わる境目に指を這わせると、ヌルンとして気持ち良かった。

「んっ、ほほう」

 ピチピチとヒレを動かす。やはりラミアとは違う、泳ぐ為の下半身。新鮮だ!

「次に肺だな。水中で呼吸できるように、身体の内側だけ変える」

「なるほど、内側だけ、内側だけ……けほっ。できた、かな?」

 胸の辺りに違和感があった。たぶん大丈夫だろう。ついでに手に水かきを作り、準備は整った!

「いざダイブ!」

 スライムプールの上の部分だけ水分量を増やし、ズルンと水に落ちる俺!


◆   ◆


 優雅という言葉がこれほどまでに似合うとは! 人魚はまさに『姫』の名に相応しいモン娘だ! プールの中を自在に泳ぎ回る俺! 美しい! 何故こんなにも絶賛しているかって? それはね!

「本当に驚いたぞ。まさかスライムで鏡まで作るなんてな」

「ふふーん、好きこそモノノケ上手なれ、ですね!」

「そう、だな?」

 二度目である! さておき、俺はプールの内側の壁を鏡のようにする事に成功したのだ! 全身を映し、人魚を堪能する俺! この身体のラインが、もう、ああ、褒める言葉が足らないぜ!

「あ、そうだ」

 プールから顔を出していた俺は、潜ってプール内を一周する。

「おい貴様、プールの水がスライムに戻り始めてないか?」

「あ、はい。戻しました」

「え、何故だ? 泳ぎにくくなるぞ?」

 再びプールから顔を出した俺。粘度を増したプールの水、もとい、スライムの粘液が、人魚の肉体に絡み付く。

「エロいでしょ?」

「……」

 おっ、引いてる引いてる! ともあれ、ただでさえヌメヌメな人魚の身体が、更にスライムでヌルヌルで、うっひゃあ!

 泳ぎ疲れた俺は、スライムプールの上に仰向けで寝そべり、尾びれをピチピチさせる。全身粘液まみれでマジエロい。

「スライム……ヌルヌル……人魚……うふふ」

「分かった、貴様、基本的に暴走状態なんだな」

「もう女王〜、い、ま、さ、ら☆」

「相変わらずうざい!」

 一応補足しておくが、今の俺は美少女なんだからねっ! それを踏まえて見れば、うわっ、自分で言ってて興奮してきた!

「……さて、そろそろ人魚も終わりにするか。このスライムの片付けだが」

「まだ終わりじゃないですよー」

 ぽっこりと膨らんだお腹をさすりながら俺。

「お楽しみはまだ残ってますよー……うへへぇ」

「……相変わらずキモい」

 マジなテンションだったが気にしない! 次回、産卵人魚編! 続く!


第十二話:おわり

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