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プロローグ《キメラ幼女と出会った俺!》

 ラミア、ケンタウロス、ハーピー、人魚、アラクネ……挙げればキリが無いが、とにかく、俺は所謂『モンスター娘』って奴が大好きだ。何が好きって、人間の身体とモンスターの身体が、一つの身体の中に共存している神秘、とでも言おうか。ラミア、つまりは下半身が蛇の女の子だが、あるいはドラゴン娘だとか、柔らかな少女の肉体に爬虫類の鱗が合わさった、アンバランスな魅力。ケンタウロス娘の、少女でありながら巨大な体躯、その筋肉質な脚は美しい。人魚やスキュラなどの魚介系モン娘のヌルヌルした粘液、磯の香りを想像するだけで、ヤバイ興奮してきた!


「……モン娘になりたい」


 そんなモンスター娘達が登場するアレな漫画を読んでいたら、そんな願望がつい口から出てしまった。モン娘ハーレムに憧れるとかそんなレベルじゃない。もはや自分自身がモン娘化したい程の、これはもう末期症状である。

 そんな俺だったからこそ、アイツに出会えたのだろう。いや、この際、偶然だろうが何だろうが構わない。いっそ、アイツの正体とか目的すらも、どうでもいいと言ってしまおう。アイツは俺を利用しているだけだろうが、だったら俺もアイツを利用してやるだけだ!


「俺は、モン娘になったぞーッ!」


◆   ◆


 時間は少し遡る。モン娘になりたいなんて考えるような人間である俺が“そんなモノ”を発見したならば、何かを期待して近づいてしまうのは当然の事であろう。世間的には普通の学生である俺が、学校の帰りに発見した“そんなモノ”、それは巨大な『箱』だった。ビルなんて無いような田舎の、通学路近くの雑木林の奥に、その白い『箱』はあった。

「……UFO?」

 モン娘だけじゃなく宇宙人もイケる俺。変なワクワク感に心臓バクバクだ。昨日までは何も無かったはずの場所に現れた『箱』。その周りをぐるりと一周する。ちょっとした小屋みたいなサイズだな、などと思っていると、目の前の壁だった部分が、自動ドアのようにグニョンと開いたではないか!

「マジか……マジか!」

 宇宙人に人体実験とかされたいなーなんて常日頃から考えているような人間ならば、きっと躊躇う事なく入って行ったことだろう。つまり、俺は躊躇う事なく入って行った訳だ。外からだと六畳くらいの広さに見えた『箱』だったが、中は異常に広かった。かなり長い薄暗い廊下を進むと、奥に光が見えた。期待に胸を高鳴らせ、小走りになる俺。そして俺は、アイツと出会った。


◆   ◆


「キメラ、幼女……!?」

 真っ白な広い部屋。そこにいたのは、様々な生物のパーツがくっついたような、小さな女の子であった。眠っていたのか、目をつむり横になっていた幼女は来客に気づき起き上がる。起き上がると、その姿が良く観察できた。ベースとなる幼女は、白い長い髪の女の子である。ハーピーのように両腕は羽根で、トカゲのような尻尾が生えている。脚は魚のような鱗で覆われており、頭には猫耳(他の動物かもしれないけれど)と来たもんだ。ちなみに全裸である。キメラ幼女は寝ぼけまなこで俺を見て、ニヤリと笑い、舌っ足らずにこう言った。

「我は百獣の女王なるぞ! 貴様の身体、我に捧げよぉ!」

 言うが早い、両腕を広げた幼女の身体は、一瞬で青緑色のスライムと化してしまった。そして宣言通り、スライム幼女は俺に覆いかぶさり、俺は。

「う、うわぁぁぁああああ!!!!!!?」

 歓喜の悲鳴を上げ、俺はスライムに捕食されてしまったのであった。


挿絵(By みてみん)


◆   ◆


 常日頃から俺は、スライム娘に吸収されたいなーなどと考えている。あのジェル状の身体に纏わり付かれ、ゆっくりと融合していくのって、憧れるじゃん? 俺今、夢叶ってる最中じゃん? ふわふわとした感覚。そして、次第に意識がはっきりしてくる。

「ん、あぅ」

 喘ぐような、女の声。それを目覚ましに、俺は起き上がった。

「あれ、俺、スライムに食われ、て……え? えぇ!?」

 覚醒した意識。しかし事態が飲み込めない。何故って、俺が喋ると女の子の声がするんだもん!

「やっと起きたか。貴様の身体は我の物だからな! 使わせてもらうからな!」

 俺の口が勝手に喋る! しかも女の子の声で! 不思議!

「も、もしかして『百獣の女王』様?」

 どうやら俺は今、さっきの白い部屋にいるらしい。しかしキメラ幼女の姿はなく、俺一人だ。俺は、勝手に喋る自分の声に尋ねる。

「その通り、我と貴様の肉体は融合しているんだぞ!」

「融合!? マジで!?」

 ここで初めて、俺は自分の身体を見る。……ワーオ。

「マジか……マジか!」

 正直に言おう。俺には女体化願望もあります。いやまぁ、モン娘になりたいなんて考えてるんだから、そりゃ当たり前だろう。一応言っておくが、ホモではない、断じて! で、自分の身体を見た訳だが、胸に二つの膨らみがありました。

「マジか!」

 良く分からないけど夢が叶ったよ!

「ふふっ、困惑しているな。しかし我が目的を果たすまでは、元に戻すつもりはないんだぞ! まぁ、それまで貴様の身体がもつか戻すなんて勿体ない!」

 口は一つなので、当然『百獣の女王』の台詞を遮る形になってしまった。

「良く分からないけどありがとう! 女王様!」

「え、あ、うん? ああ、構わんぞ!」

 こうして、お互いに訳の分からぬまま、俺達は出会ったのだった。夢なら覚めないで!


プロローグ:おわり

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