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平穏な高校生活  作者:
18/18

お出掛け

「先輩!おはようございます!」

「……おはよう」


 昨日、喜多村さんと一緒に登校すると約束した事を思い出しながら、喜多村さんと学校へと向かった。


「そーいえば、昨日。伊波先輩から『土曜日は空けといてねっ!』ってメールが来たんですけど」


 喜多村さんは、俺にそのメールを見せてくれた。

 文字でしかないのに、伊波の元気が伝わってくるのは、ある種の天賦(てんぷ)の才なのだろうか。


「土曜日……まぁ、明日なんだけど。俺と光……今の生徒会長な。それと伊波と喜多村さんとで出掛けようって話しになってな」


 まぁ、喜多村さんに関しては伊波のせいなんだが。


「先輩と……ですか?」

「喜多村さんの件は伊波が勝手に決めたことだから、予定とかあったら無理にとは言わないけど」

「だ、大丈夫です!全然暇してます!」

「そ、そう……」


 ほんと、喜多村さんは元気だな……それと、伊波とこーゆ反応が似てるんだよな。


「先輩とお出掛け……」

「光と伊波もいるけどな」


 そこからは珍しく喜多村さんも静かになり、そのまま昇降口で別れた。




 翌日。

 学校の最寄り駅から2つ隣の駅。そこに、10時集合となった。

 伊波1人だけ住んでいる場所が違く、それを考慮して現地集合となった。


「10分前行動という言葉を知らないのか、あいつらは」


 只今の時刻は10時12分。

 100歩譲って、伊波は離れてるからまだ許すとしても、喜多村さんと光は俺と同じ最寄り駅のはずなんだけどな。


「……」


 暇だ。

 かと言って、いつ来るか分からないから何処かの店に入る訳にもいかないし。


「あ、いたいた!おーい、センパーイ!」


 誰かが来るまでどうしようかと考えていると、駅前に元気な声が響いた。


「……この声は」


 声のした方を見ると、手を振りながらこちらに走ってくる見知った顔があった。


「おはようございます!佐伯先輩!」


 やっぱりか。


「伊波……お願いだから、大声で人を呼ぶのをやめてくれないか……」


 校内ならまだしも、外でこのボリュームで呼ばれると恥ずかしくてたまらない。


「そんなことより!」

「そんなことって……俺の中では、結構重要なことなんだけど」

「どうです!私の服!」

「服?」


 伊波に言われ、視線を頭から足下へとゆっくり動かす。

 今日は比較的暖かく日差しもあるためか、伊波は薄着だった。下はジーパンタイプのショートパンツ。上は薄いシャツとその上にパーカー。

 これをどうか、と聞かれても……。


「うん……まぁ、似合ってると思うぞ」


 としか、言えないよな。


「やった!佐伯先輩に褒められた!」


 本人が満足なら、それで十分だしな。


「あれ……部長とさっちゃんはまだなんですか?私が最後だと思ってたのに」

「あぁ、そうそう。悪いんだけど、喜多村さんに連絡してくれないか?どーせ、光は年がら年中マナーモードだから、気付かないと思うし」

「了解です!」


 これで、何とかなるだろう。

 しっかし、本当何をしてるんだか。


「あっ、さっちゃん?今どこー。あ、うん。あー、それは大変だね〜……分かった。佐伯先輩にはそう言っとく」

「喜多村さん、なんだって?」

「それがですね、人身事故で電車が止まってるみたいなんですよ」

「それでか……」


 人身事故か……それなら、しょうがないか……ん?ちょっと待て。


「伊波……お前、電車で来たんじゃないのか?」

「え?私は自転車ですよー」

「そ、そうか……」


 ま、まぁ……伊波の最寄り駅からなら1時間ちょっとあれば着くしな……不可能じゃないよな。


「……お疲れ様」

「休みの日はどーしても運動量が減っちゃうので、丁度良い運動になりました!」


 スポーツ少女の(かがみ)だな。


「それで、先輩。どうします?」

「どうするって何が」

「さっちゃんが言うには、もう少し動くのに時間がかかるみたいって言ってました」

「あー……そうだな」


 昼にはまだ早いし、かと言ってここでずっと待ってるのも退屈だし……しょうがない。


「先に、色々回ってくるか」

「え?」

「だいたい買う物の目星ぐらい付けといた方が楽だしな」


 そうと決まれば、行くか。


「ほらー、置いてくぞ」

「あ、待って下さい……先輩とデート」

「……はぁ」


 出た。伊波がたまになるピンク状態。

 そんなにデートしたいなら、早く彼氏でも作ればいいのに。結構、人気あるはずなんだけどな。


「ま、いっか。ほら、行くぞ」

「あっ、はい!」


 俺は伊波を連れて、駅前を後にした。

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