解決?
本当に、遅れてすみませんでした!
事故にあい、片足を失い絶望を感じながらも喜多村さんの両親に『ありがとう』と言われ、喜多村さんを助けた事に対しての後悔はなくなった。
それでも、はい立ち直りました、と行くわけもなく俺は退院後、すぐに学校に行けなかった。
そんな俺を見兼ねた光は、朝、学校へ行く前に。そして、部活が終わり自分の家に帰る前に俺の家へとやって来た。
光から見たら、罪滅ぼしの一つだったのかもしれない。それでも、また俺が普通に高校生活を送れるのは光のおかげだと俺は思ってる。
「──だから、もういいんだよ……」
元々、光に対しては微塵も恨みなんてない。それどころか、完全じゃなかったとはいえ立ち直らせてくれたのは、光のおかげでもある。
そんな光が、これ以上何を償うんだよ……。
「で、でも!……佐伯の一生をダメにした分を私はまだ全部返せてないのっ!」
「なんで……」
光が言った言葉。俺は、それに似た言葉を昨日も聞いた。
「なんで……なんで、光の口からもそんな言葉が出て来るんだよ!」
「さ、佐伯?」
俺は自分で、自分の口を止める事が出来ずにいた。
「光も喜多村さんも何も悪くないのに、なんで……なんでそんな事を言うんだよ!俺は喜多村さんにも光にも、恨みどころか俺を立ち直らせてくれた事に対しての感謝しかないんだから……」
肩で息をしながら、俺は喋り続けた。
「だから……だからもう、俺の事で何かを背負い込むのはやめてくれよ……」
全てを吐ききった俺は襟を掴んでいた手を緩め、手を離した。
「……」
光はと言うと、途中から顔を俯かせていた。
俺は、椅子の背もたれに寄りかかり光の答えを待った。
──2分、5分。
2人の間で沈黙が続く。聞こえるのは、店内にある時計のカチ、カチという秒を刻む音だけ。
俺は、耐えられなくなり声をはっする。
「ひか──」
「佐伯」
俺とほぼ同時に、光も俺を呼んだ。
「佐伯の言いたい事は分かった」
「な、なら──」
「でも、それでも……私が佐伯に何も返さなくていいなんて思わない」
「だから、俺は光に何かをして欲しいなんて思ってな──」
「最後まで聞いて」
光は、俺を真っ直ぐ見つめながら俺の声を遮る。
「私が佐伯にしてる事を重荷なんて感じた事もないし、今後もそう感じることはないと思う」
「……」
「それでも、佐伯の意思を無視してあれこれするのはおかしい事も分かってる」
「……」
「きっと、佐伯のことだから、変に色々な世話をされるのも嫌なことも分かってる」
「……」
「だから、今決めた」
光の覚悟を感じる。
俺は姿勢を正し、光の覚悟を受け取る。
「少なくても高校を卒業するまで、私は佐伯のお願いを可能な限り、何でも聞く」
「……うん?」
なんで、そうなった?
「えっと……佐伯も男子だし、色々とあると思うけど……その、初めては会長が良いとかあるけど……」
「ま、待てっ」
「分かってる!何でも聞くって言っときながら、条件を出すのは変なことぐらい分かってるから」
「い、いやいや。そうじゃなくて!」
さっきまでの、シリアムードはどこ行ったんだ……。
「で、デートなら大丈夫だから!会長も許してくれると思うから!」
「いいから、少し黙ってろ!」
冷めたコーヒーを一気に飲み、俺は頭を抱えテーブルに突っ伏した。
「さ、佐伯?」
「もう……本当、なんなんだよ」
さっきまでのシリアムードからの、今の状況。
もう、笑うしかないよな……なぁ?
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