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平穏な高校生活  作者:
1/18

入学式

一度消去した作品です。読者の方にもっと楽しんで頂けるように試行錯誤した作品です。それでも、至らない所はあると思いますが、今後も色々頑張って行くので、よろしくお願いします。

『今日はこのような式を開いてくださってありがとうございました』


 人々は出会う。


『新入生代表、本郷ほんごう ひかり


 例えそれが、高校という小さな場所であったとしても。


『次は在校生代表からの挨拶です』


 恋愛、挫折、不満……色々な事を抱えた者が。


『在校生代表兼生徒会会長の──』


 自分では分からないうちに人は交差する──。




「俺たちも、もう3年か」

「そうだな」


 4階の自分たちのクラスから、今現在行われている入学式を見ていると自分たちが3年だということを、改めて実感させられる。


「お前の知り合いも今年入ってきたんだっけ」

美香みかの妹だ」

「あの人の……」


 俺たちが2年の時、ある噂が流れた。

 学年でも成績が優秀で有名な新垣あらがき 美香が、今俺の隣にいる五十嵐いがらし じんを教室内で恐喝していた、と。


「懐かしいな。恐喝事件」

「余計なことを思い出させるなよ」


 その噂が流れてから……まぁ、【新垣様親衛隊】なる物から、仁は追いかけ回された。

『新垣様がそんな事をする訳がない。あの男が嫉妬してテキトウな噂を流したんだ』という理由のもと、新垣さんが止めに入る1ヶ月の間仁に平穏は訪れなかった。


「っと、入学式終わったんじゃないか?」


 仁の言葉を聞き、体育館を見ると人だかりが出来ていた。

 多くの生徒が制服を着ているというより、着せられているかのような初々しさがある。多分新入生達だろう。


「それじゃ、行きますかね。生徒会長の元に」




「そーいや、何で呼ばれたんだ」

「さぁな」


 昨日。つまり、3年になってからの初めての登校日。

 仁が1人、先に帰ってしまったので俺は1人悲しく帰り支度をしていた。

 そんな時、俺のクラスに1人の女子生徒が入って来た。


 --------------------


「いたいた。やっと見つけた」


 身支度も終わり、俺は教室の出口へと向かう。

 今日はせっかくの午前授業だ。家に帰って何をしようか……と考えていると、出口を塞がれた。


「待ちなさいよ」

「すみませんが、そこをどいてくれませんか」

「人が呼んでるの分からない!」

「どなたかに用なんですか?でも、出口を塞ぐのは良くないかと」

「あなたよあなた!佐伯(さえき) (とおる)!」

「佐伯さんですか?おーい、佐伯さーん、この人が呼んでますよー」


 俺は教室を振り返り、佐伯という人物を呼ぶ。

 ただ、何故だろう。クラスメイトが俺の後ろの人を見て、青ざめているのは。


「さーえーき!人をおちょくって、楽しいっ?」


 肩を掴まれ、俺は強制的に出口の方へと身体を向けさせられた。


「そうですね……人をおちょくるのが楽しいかと聞かれたら、分からないと答えますね。ただ……」

「ただ?」


 俺は満面の笑みを浮かべ、言葉を続ける。


「生徒会長をおちょくるのは、めちゃくちゃ楽しい」


 俺はその言葉を言い終わると同時に、生徒会長による渾身のアッパーにより撃沈した。




「いってぇー……何するんだよ、生徒会長」

「あなたが人をバカにするからでしょ!」

「楽しいんだから、しょうがないだろ!」

「逆ギレ!?」


 この学校の生徒会長。

 その生徒会長様が俺にいったい何用だ。


「ちょっとお願いがあるの」

「デートか?それはちょっと……」

「ち・が・う・わ・よ!」


 生徒会長が頭を抱え初めてしまった。

 よっぽど疲れているのだろう。


「やっぱり、生徒会の仕事は忙しいんだな」

「あなたのせいよ!」


 今日も元気な生徒会長様でした。


「んじゃ、俺は帰るな」

「あ、うん……じゃなくて!」


 生徒会長は俺の襟首……は、背の関係上持てなくて俺の上着のはじを持つ。


「なんだよ」

「お願いがあるって、言ってるでしょ」

「だから、デートは勘弁」

「違う!」


 流石に生徒会長の堪忍袋が切れそうだ。


「手伝って欲しいのよ」

天誅(てんちゅう)を?」

「そこで、男手が欲しくてね」


 あ、とうとう俺の事を無視し始めた。


「どうせ、あんた明日暇でしょ」

「人聞きの悪い」


 聞きもしないで、人を暇人扱いしないで欲しいな。


「え?用事あるの?」

「いや、ないけどさ」

「殴るわよ」

「悪かった……から、その拳を下げてくれ……」


 すぐに手を出すのは、良くないと思うんだよな。


「はぁ……暇なら明日、もう1人誰か連れて学校に来て」

「明日って、休みじゃねーかよ」

「それじゃ、明日宜しくね」

「お、おい」


 生徒会長は俺の言葉を無視し、教室を出て行ってしまった。


「明日か……仁でも誘うか」


 --------------------


「なんで、俺を巻き添えにした……」

「どうせ、暇だろ」


 体育館へと続く廊下を歩きながら、何故今日ここに来たのかを説明した。


「確かに暇っちゃ、暇だったけど」


 そんな話しをしていると、向こうから生徒が歩いて来る姿が見える。


「新入生か?」

「上履きの色的にそうだろ」


 この学校は上履きの色で、学年が分かるようになっている。


喜多村(きたむら)さん、早く」

「う、うん」


 喜多村?

 横を通り過ぎた新入生の口から聞こえた『喜多村』という苗字……どこかで……。


「おい、享」

「ん……あぁ」


 多分、気のせいだろう。

 俺に年下のしかも、女子の知り合いなどいないし。


「早く行かないと、生徒会長様がうるさいからな」

「そうだな」


 仁に急かされ、俺は考える事を辞め体育館へと向かった。


「喜多村……か」


 それでも、『喜多村』という苗字が俺の中で何故か引っかかっていた。

早くて今日、遅くても明日の夜には続きを



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