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極悪リンゴの絶対領域  作者: 奈流おっ空
4/8

第3話 異世界系女子

受験勉強のせいで全然すすまねえ!

早く受験終わらせたいですねえ……


「ふつ……まし……?」


一体どういう字を当てるのだろうか。

俺の中2脳が稼働し始めるが、分かるのは『魔師』の二文字だけ。どこかで聞いたことがある様な単語だが、なにぶん馴染みが無いため分からな。

それともう一つ分かったことは、この子が何かとんでもなく次元の違う話をしているということ。

なるほど……。これが俗に言う電波ちゃんか。


「ちょおっと待ったーー!!」


と、今まで空気だったヒナが、つんざくような声と共に、俺と彼女との間に割って入る。


「どういう状況かよく分からないんだけど……何でクロくんは見ず知らずの人に告白してるの?頭の中パッパラパーなの?」

「それはその……アレだ。勢いというか何というか……何でもありませんスンマセン」


お前にだけは言われたくない、と思ったが、ぐうの音も出ないくらい正論なので、甘んじて受け止めることしかできなかった。

言い訳をさせてもらうとしたら……仕方のないことだったんです。彼女の絶対領域があまりにも絶対領域だったのがいけなかったんです。


「それと……」


今度は、先程から微動だにしない純白の彼女に、ヒナの矛先が向く。何かグリン!とか変な音が首からしていた気がするが、その問題に触れると『どうでもいいわー!』とか言われて、逆鱗に触れかねない。

MK5(マジで開戦5秒前)なこの状況で、極悪目つきの俺は、それに似合わず萎縮していた。

これが女同士の争いというやつなのだろうか。だとしたら末恐ろしい。

ニコニコと、笑顔を浮かべながら攻撃を開始しようとするヒナには、ヤンデレのそれを感じる。

資質あるよ、あんた。


「あなたは一体誰?いきなり現れて、私の幼馴染兼未来の花婿を横取りしようなんて、そーは問屋が卸さないんだから!」



………………………はい?



「え、ちょちょちょちょっと待って。いつから俺はお前の結婚相手になったんだ?」

「昔から」

「えらいザックリしてるな」


少しわけがわからないので、記憶の糸を手繰り寄せる。

そもそも、こんな状況下で惚気話じみた事をやるのは如何なものなのだろうか。

えーーっと…………?ヒナのニーソを盗んだあの時からでもない。ヒナが絶対領域をこれ見よがしに見せつけてき出したあの時からでもない。


「…………あ」


……思い出した。

その昔、それこそ5、6歳の頃だが、こいつはよく俺に、『将来はクロくんと結婚するんだー!』とか言っていた。

それに対する返事が何だったのかは言った本人である俺も憶えてはいないが……なるほど、その言葉は未だ継続状態なわけだ。


「何年も前の話をよく忘れてねーのな、お前……」

「初心忘るべからず、てね!クロくんへの愛を忘れたことは一度もないよー!」


何か違うし大声で言うかそういうことを……。

何ともこっぱずかしいことを言ってくれやがったヒナに呆れつつ溜息をくれてやると、今度は彼女がこの変なピンク色の雰囲気を断ち切るように切り返してきた。


「ウォッホン!!……私の名前はビオラ=カメーリィヤです。あとあなたの幼馴染兼未来の花婿ではなく、玄汰さんは私のダーリンになったことが今しがた決定しましたので悪しからず」

「ぐぬぬ……」


ダーリンて……。確かに俺の方から告白したのは確かだけど、こうも早くに決めていいのかお嬢さんよ。

いや、俺はいいのよ?全然構わんのよ?あの夢想領域(アヴァロン)を拝める訳だし?願ったり叶ったりというか?そりゃあ毎日がエブリデイってもんですよ。

もっとこう……両親との相談とか色々あるもんじゃないですかね。

そんな呑気なことを考えていると、ヒナの首と彼女の首がスーッと流れるように、こちらに回転する。

次は俺に問いただすというのか……。

ぶつけ合ったお互いの矛は、切れ味が落ちるどころかより一層鋭さを増している気がした。

一体全体俺にどんなことを聞いてどんな答えを求めるのか。

勘弁願いたいな、と表には出さずに心の中で密かに嘆息。


「「クロくん(玄汰さん)はどっちを取るの(取るんですか)!!」」


…………はっはっは。

まぁ半ば予測していたけど、本当にそんなことを聞く奴らが現実に存在していたとは。

信じられん。マジで信じられん。

ギャルゲーの主人公達はこういう修羅場を潜り抜けてきているというのだから感服する。

非常に答えたくない問いだが、聞かれたからには答えないわけにはいかず、仕方なく答えようとするが、なかなかそれが難しい。


「……えーっと……」


しばし悩んで。


「祓魔師って……なに?」


答えるのが面倒なので、質問に質問で返してみたら。


「「質問を質問で返すなーー(返さないで下さい)!!」」

「デスヨnアビニョン!!」


美少女2人から、正論と強烈なボディーブローを貰いました。

本当にありがとうございます。









それからしばらくして、2人の怒りと俺の痛みがそれぞれ収まって、治まったところで、元いた寺の軒下で3人落ち着いての話し合いが始まった。


「……先ほどは取り乱してしまい、申し訳ありませんでした」

「い、いいよいいよー。私も悪かったんだし……」


女子同士の仲直りってのは、意外と早いらしく、2人はお互いに笑い合いながら話をしていた。

俺に謝罪は、なんてことを考えたが、きっと期待するだけ野暮だろう。こういう場合、謝罪が無いことがテンプレというものだ。

というか、美少女2人が笑いながら話しているのと、ビオラの絶対領域を見ていると、そんなことはどうでもよくなってきた。


「改めて、自己紹介させていただきますね。私は、ビオラ=カメーリィヤ。アキセイ管理者育成学校高等部からやってきた者です。ビオラとお呼びください」

「アキセイ……?」


アキセイとは、また聞いたことのない。それに、管理者とは何なのか。

ヒナも理解出来ていないのか、頭上に?マークが大量に浮かんでいるようだ。

管理者、と言うからには何かを管理するのだろうが……一体何をどう管理するのだろうか。

名乗られたはいいが、謎のプロフィールの所為で、ますます怪しい人物に思えてきた。


「あ、すみません。玄汰さんや雛罌粟さんには、聞きなれない単語が多かったですよね。まずはそこから説明します」

「……あれ?私、名前言ったっけ?」


ヒナがポロリと口にした疑問に、確かにそうだ、と同意する。



「玄汰さんのことを調べる過程で、雛罌粟さんの名前が出てきたのです。雛罌粟さんは玄汰さんに1番近しい人の内の1人ですから」


なるほど、身辺調査というやつか。

ならば父さんや母さんのことも知られているし、血縁関係は大体調べられていると考えるのが当然かもしれない。

しかし……自分のことを探られるのは何だか妙な気分になる。なんというかこう……ストーキングされている気分というか…されたことないけども。


「それじゃあ、クロくんのことなら何でも知ってるの?」

「何でも、というわけではないですけど……そうですね……」


うーん、と顎に指を当てて、ビオラは唸り始める。

流石は美少女というものか。どんなポーズでも似合ってしまうのは羨ましいものだ。

しばらくして閃いたのか、ポンと手を叩くと、そのクールそうな雰囲気に似つかわしくない得意気な顔で、こう切り出した。


「先週の日曜日に、玄汰さんが不良グループに絡まれたこととか」

「……あるぇー?」


好きな食べ物とか、趣味とかが出てくると予想していたのだが意外にも、あまり触れて欲しくないプライベートな部分に切り込んできやがった。

タラリと冷や汗を垂らす玄汰を無視して、ビオラは言葉を続ける。


「その後に睨み殺して罵詈雑言を浴びせて精神的に殺し、挙句の果てには相手の学校側に喫煙とカツアゲをしていたことを報告した後に、『お前らが自分でやったことなんだし文句ねーよなぁ?それ以上その牛の糞のような声を出すんだったら、目ん玉ひん剥いて頭をケツの穴にぶち込んでバッグにするぞ』と、もうどっちが悪者か分からないくらい相手の心をへし折りましたよね?」

「……………」


現実を見たくないので目を逸らしました。

一字一句間違わず言えたことに感心するとかではなく、ただ単純にビオラに対して恐怖を抱いていた。

確かにその時は、あまりの暑さでストレスがマッハだったので、いつもなら流して逃げるものをボッコボコにしてやったわけですが……。


…………いやー。


「怖いわ」


俺の率直な感想に、ヒナもうんうんと首を縦に振って同意している。

ここまでくるとストーカーの域を越えて、何か別の領域に踏み込んでいるのではないだろうか。

世の中には、警察を呼ばれる寸前のところまで好きな相手に言い寄り、彼女をゲットした人間もいるが……流石に俺はOKを出せる程の良心を持ち合わせいない。


「言っておきますけど、ストーキングではありませんよ?監視ですよ、か・ん・し」

監視(ストーキング)?」

監視(ストーキング)か」

「変なルビを振らないでください!私は正当な理由で玄汰さんを監視していたんです!」


声を荒げて否定するビオラの姿は、俺が持っていた『クイーンオブクールビューティ』という印象を根底から覆すようだった。

それにしても……そう監視監視と言われると変な気持ちになるな。いや、見られて興奮するとかそういうのではないが。


「悪い悪い。んで?何でビオラは俺を監視していたんだ?」

「そーだよ!答えによってはふん縛ってブタ箱にぶち込むことになるよ!」

「お前はちょっと静かにしてろ……」


相変わらずキャラの定まらないヒナに溜息をくれてやる。

するとビオラは、『今更何を言っているのか』とでも言いたげな顔で、こう続けた。


「それなら先程も申し上げました通り、祓魔師になって頂きたいのです」

「祓魔師、ねぇ……」


ようやっと漢字を当てることができた。

『魔』を『祓』うと書くのだろう。アニメだったか漫画だったがで、そんなのを見たことがある。

確か、陰陽師やらエクソシストやらの類だったと思うが………そんな奇天烈な話を信じろと言われても無茶がある。


「それが存在するのかどうかはさて置いて……何で俺なんだ?こんな目つきのクッソ悪いのに頼んだところで得なんて無いだろうに」


そんな奇怪なものに、彼女は俺を選んだ。陰陽師の末裔とかならまだしも、地方に住むこの一般ピープルな俺に、だ。


「それに、だ。アキセイって何だ?管理者育成学校って?」


ビオラに対しての疑問が次から次へと立て続けに出てくる。

何もかもが謎な人間を信じろというのは無茶な話だ。彼女の夢想領域は本物だと信じているが、それは彼女自身を信じている理由にはならない。


「……そうですね。それらにお答えするには、一から説明した方がいいかもしれませんね」


そう言うと、その白雪の様な髪を軽く振り、ホゥと息を吐いた。

蝉の声が止み、風の音だけが耳をくすぐる静寂の中、ビオラは静かに口を開く。


「私は……この世界の人間ではありません」

「ほ?」

「……………」


ヒナはその告白の意味が分からないのか、はたまた理解が追いつかないのか、素っ頓狂な声を上げる。

俺としては、ここまではぶっちゃけ予想の範疇。

電波ちゃんという可能性も大いにあり得ることだが、彼女のことを全く知らない俺の身辺調査をしているというのは些かおかしい話であり、何か裏があるのだと考えるのが妥当だろう。

ただ単純にストーカーだという可能性もあるのだが……。

話は変わるが、これは100人を対象に調査をした時の話である。野生の絶対領域を持つ者は、8割の確率で性格も良い。同志たちが汗と血涙を流しながら調べた結果なので、間違いない。

それに加えて、彼女は夢想領域(アヴァロン)の持ち主。


嘘なんてつくわけがない。


それを踏まえた上で俺は、ごく普通の人の話を聞くように、自然に返した。


「ふーん……それで?」

「へ?驚かないのですか?引かないのですか?」

「驚いてないと言えば驚いてないかもしれないし、引かない。そりゃあ確かに、最初は電波ちゃんかとおもったさ。でも生憎と、俺は宇宙人やら幽霊やらは信じる人なんでな。アニメや漫画大好き不思議なことが起きればいいなーとか願ってたりしちゃう俺としては、世界間を飛んできた人間がいたところでそいつは結局宇宙人と同じじゃねーのかなってな。平行世界とか言うならまた別の話だが」

「……………」

「……うん?ちょ、恥ずかしいから何か反応してくれ……いや、してくださいお願いします」


まくし立てるように自論を話したら呆然とされたでござる。

自分の方が引かれたのではないかと思い、その目つきに似合わぬ慌てっぷりを発揮してしまった。

ビオラは二、三度目をパチパチとさせた後、我に返ったような表情を見せる。


「え、えっと……すみません。絶対引かれると思ったので。こういうのって、何言ってんだコイツって思われるのがテンプレだと聞きましたから……」

「聞きましたからって……一体誰に?」

「担任の先生に」

「えらい適当な先生だなオイ」


先生ェ……一体全体生徒に何を教えてるんですか。

つい先程まではシリアスな話が続くのかと思っていたのだが、なかなかそうはいかんらしい。

未だ戸惑う彼女と慌てる俺の心を鎮めるために、何故彼女に対して引かなかったのか、その理由をもっと俺なりの言葉で説明することにした。


「まー……アレだ。格好つけたこと?をベラベラぬかしたけど要は、野生の絶対領域を持っている奴は性格も良い」

「え?」

「そんでもってビオラは夢想領域(アヴァロン)を持ってる。嘘なんざつかないだろってこった。俺みたいな目つき悪怪人が言ったなら即警察行きだろうが……。そういうわけで……これが、俺がお前の話を信じた理由」

「はぁ……」

「……何か微妙な反応だな」

「す、すみません。ただ……」

「ただ?」


そう言うと彼女はクスリと笑い、そこらの男子…いや、世界中の男性をオトせるであろう女神のような微笑みを俺に向けた。


「玄汰さんらしいな、と思いまして」

「っ……!!そ、そうか…?」


恥ずかしいことに、目を思い切り逸らしてしまった。声も裏返ってたし……恥ずかしい限りである。

自分でも顔が紅潮していくのが分かる。おそらく今の俺は、その名字に恥じない程真っ赤になっていることだろう。


「フフ……どうしました?顔が紅くなってますよ?」

「いや……これは……その……あの……」


ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてにじり寄ってくるビオラに対し、チラチラと横目で見ながらみっともなく後ずさり。

階段上になっている軒下の下段にいるビオラは、必然的に俺の方を向くと上目遣いになる。

これがまたなかなかにヤバく、理性的な何かが弾け飛んで行きそうになるのを、ビオラの絶対領域を見ながら何とか堪える。

全国一千万ニーソの諸君!今こそ我に抑止力をっ……!!


「そう緊張なさらなくても……さぁ、こっちを向いt「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」ちっ」


ビオラの白魚の様な指が、俺の頬に触れる寸前のところで、我に返ったかの様なヒナの驚愕の声が響く。

た……助かった……。ビオラが舌打ちしたようか気がしたけど触れないでおこう。


「ビオラちゃんってこの世界の人じゃないのぉ!?」

「「…………えー………」」



今さらかよ、と。

ただただ出てくるのは、そんなツッコミ。

多分ビオラも俺と同じ気持ちなのだろう。


「すごいよ!」

「へ?」

「すごい!別の世界の人なんてそうそう滅多にいるものじゃないよー!」


そりゃあ滅多にいないでしょうよ。

特別天然記念物でも見るかのような目で、さっきまで俺に触れんとしていたビオラの手をグッと掴み、自分の三つ編みと一緒に上下に激しく揺らすヒナに、ため息をぶつける。


「……おいヒナ。そろそろ離してやれよ。ビオラの手が千切れんぞ」

「え?うぉわぁ!?ごごごごめんねビオラちゃん!もげてない?千切れてない?」

「え、えぇ……まあ……」


ビオラの肩や腕をペタペタと触るヒナの姿は正に、『いそがしい奴』という言葉がピッタリだ。


「えーーっと……?どこまで話してたっけか。あぁそうそう。お前が胃世界から来た云々の話か」

「すごいよねー、うん。異世界から来た、なんてホントにすごいよねー。ゴイスーゴイスー」


お前はそれしか言えんのか、と。

話を軌道修正しようとしたのだが、どうにもヒナがいると調子が狂ってしまう。

こいつに悪気が無いのは分かっているが……歳が重なるごとに、こいつのノリとテンションについていけてない自分がいる。歳が重なると言っても、たかだか10と余歳のケツの青いガキが何感慨深くなってんだ、というものだが。


「それでー?ビオラちゃんは、クロくんに『祓魔師』っていうのになってほしいんだよね?」

「えぇ、その通りです。是非ともなっていただきたい。今ならペア旅行券もお付けしますよ」

「どこの通販だよ」

「まあ!何てお買い得なのかしら!」

「お前も乗らんでいい……。ハァ……」


右に左にボケが飛び交うのをツッコミながら今日何度目ともしれない嘆息。

珍しくヒナが話の音頭を取ったと思ったらこのザマだ。まさかビオラがボケをかましてくるとは誰が予想しただろうか。


「……それで?祓魔師ってーのは、一体何なんだよ」


これ以上話が逸れるのも困りものなので、無理矢理話の進路を元に戻す。


「あぁ、その話ですか」

「なんだ、その話かー」


まるでどうでもいいような話の様に対応されたが、俺としてはどうでもよくない

というかヒナは乗らんでいい。


「あのなぁ……今から俺の人生を左右するかもしれない選択をするんだぞ。説明ぐらいは受けとかねーと不安で仕方ないわ」

「玄汰さんは大人しく、私に従えばいいんです。犬のように」

「犬!?」

「そうです。あなたは、絶対領域の犬です」


なんとも訳のわからない称号をいただいたが……絶対領域の犬、か。

悪くない。

チラッ、チラッ、とその美しい絶対領域をこれ見よがしにビオラが見せつけてくる。

本当に犬になってしまいそうだ。


「ほーれほれほれ」

「わ……ワンッ」

「……何をやってるのかな、かな?」


はっ!? 俺は一体何を………。

ヒナのジト目と不機嫌そうな声に現実へと引き戻された。

危うく本当に犬になるところだった。一瞬なっていた気もするが……。


「それで?祓魔師の説明、でしたっけ」

「そう!それだよ、それ!そんな奇妙奇天烈奇々怪々摩訶不思議なものに私の婿を任命するなんてどーゆーことなの!」

「字面だけ見たら中国語みたいだな。あと何でお前の婿になることが確定してんだ」


晴れ後土砂降りとも言えるような不安定な話の進み方に不安を覚えながらも、ようやっと話が進んだことにほんの少しだけ安堵を覚える。


「うーむ……一つずつ説明するのは手間ですし、ここで説明しても信じてもらえない可能性がありますからね……。いやでも胃世界から来たということは信じてもらえましたし……」


しばらくの間独り言のようにそう言うと、白セーラーのスカートを軽くはたきながら立ち上がる。

そして階段を下りると、雪のような髪と美しいセーラー服のスカートを見えるか見えないかのラインで翻し、こちらを向いてこう言った。


「実物を、見てもらいましょうか」


ふむ……。


白、か。



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