禅問答
今の子どもってどんなモノが欲しいんだろう?
よくわからないなぁ。
サンタクロースはサンタクロースのプレゼント専門店で迷う。
もっと社会情勢を知る努力をするべきだったな。
もっと新聞や本を読むべきだったんだ。
いや待てよ?
新聞や本を読むことが今の子どもの趣向を知ることに役立つのか?
そもそも今の子どもはサンタクロースを信じているのか?
もっと私は公の場に出ていくべきなのか?
そもそもなぜ私は子どもにプレゼントを与えているのだろう?なぜ見返りもないのに私はプレゼントを与えているのだろう?なぜ誰も私に見返りをくれないのだろう?
そもそもなぜ私は生きてゆけるのだろう?そうか、毎年年末に給与が与えられるのか。しかし一体誰が私の銀行にあれほどの大金を振り込んでくれているのだろう?まぁこれが見返りといえば見返りか。サンタクロースの私が禅問答とは。ふふ。あれこれ考えてても仕方がない。私には口があるのだ。店の人に素直に聞こうではないか。
「すいません。今の子どもはどんなモノを与えれば喜びますか?」
低い椅子に座って新聞を読んでいた店主は、小さな丸眼鏡を外してサンタクロースを睨みつけて答えた。
「ダウンジャケット」
彼はいつも私を助けてくれる。