仲良くしたい
入学して数日。
僕もそこそこクラスに馴染んできていた。
初手の自己紹介はやばい奴で行った僕だが、その後の関係は良好。僕から話しかけに行くことはあまりないが、みんなは近くで会話をしていれば僕やメリーにも話しかけてくれる。メリーはあんまり喋んないけど。
たった十人しかいないクラス。できれば仲良くしたい。
「男子集合!!」
昼休みが始まった瞬間。
アリアが教室後方で叫んだ。
「えー。俺飯食いてぇんだけど」
「我も”贄”を摂取しなければ……」
デリヴェとキュナが教室を出ようとする。
しかし、アリアはバン!と力強く机をたたいた。
「うるせぇ!!男子は全員集合だ!!あとで奢ってやるから!!」
必死な形相だ。一体何があったのだろう。
まぁ僕には関係ない話である。今日の昼食は何にしようか……。
「当然、ヒューマも来い!!あと、恐れ多いのですがフェトム様にも来ていただけると光栄です!!」
あぁ、僕も強制招集ね……。
僕はちらっとメリーを見る。
メリーは何食わぬ顔で立ち上がり、ドアの方へ向かっていった。
……まぁ、一日くらい一緒にご飯食べれないぐらいなら……これだけ必死なアリアも初めて見るし。
あとでアリアに奢ってもらうことにしよう。
教室の後ろの隅っこ。そこに、僕・アリア・フェトム・デリヴェ・キュナ・モードの男子全員が集合する。
「昼飯奢れよ」
「王であるこの俺を招集するとはいい度胸だな」
地べたに座るアリアの周りを囲うように座る僕たち。
「集まってくれてありがとう。実は、お前らに相談があるんだ……」
アリアは口を開く。
「俺は、女子と仲良くしたい……!」
瞬間、キュナは激しく頷き、それ以外の僕たちはどうでもよさそうに白けた顔をする。
「分かるのだ!分かるのだ分かるのだ分かるのだ」
狂ったように頭を振るキュナ。
「……まぁ、飯奢ってくれるもんな」
モードは自分に言い聞かせるように言う。
うーん。こんな話だったらメリーとご飯食べればよかったな。
「キュナ~!やっぱお前は分かってるな!」
アリアはキュナに抱き着きつく。
「その他のやつらはふざけてんのかぁ!!」
そして急速に僕らの方を向いて怒鳴り散らした。
温度差が怖いよ……。
「ふざけるも何も……なぁ?」
デリヴェは促すように僕たちの顔を見た。
「普通に接すればいいだろ」
「王である俺が何を気にする?」
「意識しすぎはキモいですよ」
僕たちが口々に言う。
「はぁぁぁぁぁ!?」
すると、アリアは切れて立ち上がった。
「テメェら何言ってんだよ!!相手は女だぞ!?おにゃのこなんだぞ!?なんでそんな当然みたいな顔できるんだよ!」
大声でそうまくしたてるアリア。
僕はこの話の内容を女子に聞かれたくないなぁと教室中を見渡した。
よかった。幸いなことに女子は残っていない。
「多分気にしすぎなのがダメなんですよ。同じ人間なんですから、別にそこまで……」
「はいでたぁぁぁ!!同じ人間理論!!性別がちげぇんだよ!!お前みたいな全員ただの肉塊としか思ってねぇやつには分かんねぇだろうな!!」
アリアが大声で僕をまくしたてる。
別に肉塊とは思ってないんだけど……。
「そういえば、一番許せねぇのお前だったわ!ヒューマ!!」
アリアは僕を指さす。
許せない?ボクは別に何も……
「テメェ初日から俺らの前でのろけやがって!!毎日毎日トゥメルトさんといちゃいちゃしてるし、当てつけか!?あぁん!?」
アリアは僕に暴論をぶちまける。
別にイチャイチャしてないよな?僕って。普通に喋ってるだけじゃ?
「一緒に居るだけですよ」
僕が言う。
「いや。確かにいちゃついてるな」
しかし、そこにデリヴェが横槍を刺した。
「いちゃいちゃしてる」
モードも同意する。
「ずるいのだ!!」
キュナまで……。
いちゃいちゃとか、そんなことできてるわけないじゃん。あの塩対応見てるでしょ?みんな。
「フェトムさん、言ってやってください」
僕は隣の席に座っているため事情をある程度知っているであろうフェトムに助け船を求める。
「……みなからすれば、そうなのだろう」
フェトムは目を伏せながらそう言う。
僕は見捨てられたのだ。
そんなぁ……僕だってできればメリーといちゃいちゃしたいよ。
「じゃあ、全員の意見は一致したな!!」
アリアは僕を指さす。
「昼休みの間中こいつを観察して、女と仲良くするするテクを盗むぞ!!」
「えぇ……」
かくして、僕は昼休みの間クラスの男子全員に観察されることとなった。
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