試験
王立魔法学園合格に向けてするべきことは単純。勉強と魔法の練習だ。
目の前の机の上にあるのは山のように積まれた参考書。
街の本屋で買ってきたものだ。
しかし……勉強か。甘ちゃんな人生を歩んできた僕に勉強の仕方なんて……
あ。
なんだ、この記憶。
毎日勉強してて、何もない時間が不安で気が狂いそうになっている記憶。
なんだ……?なんでこんな必死なんだ?
まぁいい。この記憶のおかげで勉強のコツは分かったぞ。
勉強のコツ、それはどれだけ勉強以外のことを考える時間を消すかだ。
幸いなことに、学ぶべきことはたくさん、基礎から応用まである。
魔法に至っては実技まで。
しかし、何から手を着けるか……うーん……よし、じゃあまずは参考資料の仕分けでもしよう。
基礎的な知識と、難しそうな知識。そして基礎的な問題と、難しそうな問題。
本当は適切な学ぶ順番があるんだろうけど、それは仕方ない。ある程度効率が悪いのは時間でカバーだ。
次に一日の予定を立てる。
適当にざっくりと。
綿密な計画は守らないといけないという義務感が発生するから嫌いだ。
「……よし、こんなもんかな」
食事の時間は決まっているので、食事の時間は固定。
で、大体風呂に入る時間と睡眠する時間……一日に必要なことって意外と少ないな。
よし。
これから入学試験まで、僕は勉強以外をしない。
時間が足りない。圧倒的に。
他の受験者は子供の頃から勉強をしているのだ。それに並べるようになるには、ただひたすらに勉強をするしかない。
僕は早速基礎と思しき知識の書かれた参考書を手に取る。
重。図鑑かよ。
王立魔法学園の入学試験までに、最低でもここにあるものは全部やらないとな。試験のレベルが分からないし、やりまくって損はない。
僕は参考書を開いた。
そして、最初の一文を読む。
えーっと、魔法の使用において最初に行う動作である魔力放出という行為だが……
「うん、訳わかんねぇ」
道のりは厳しそうだ。
一体どれほどの月日が経ったのだろうか。
多分、気が狂っていたと思う。
毎日勉強だけをしてきて、何もしていない時間はなかった。
努力はした。あとは結果を残すだけ。
今日は試験当日。
そして、目の前には王立魔法学園の門。
僕は堂々とその門をくぐった。
周りには上級貴族がぞろぞろと歩いている。
なんとなく、すぐ近くに居る人の胸につけられたバッチを見てみた。
偶然だろうが、僕でも知ってるような超有名貴族の家紋がきざまれている。
……僕はスノーベル。下級貴族だ。
本来よりもかなり上の位置で戦っているんだな。
その実感が僕に焦燥感を与える。
周りのみんなはどれだけ勉強をしてきたのだろうか。どれほどの努力をしたのだろうか。
不安だ。
……いや、大丈夫。僕なら受かれる。そのぐらい頑張った。
案内に従い、王立学園の校内を歩く。
試験を受ける会場には何百人もの人間で溢れかえっていた。
全員がライバルだ。
だが、負けるわけにはいかない。
席に着き、筆記用具を取り出す。
新調はしなかった。これが一番手に馴染む。
「試験はじめ」
試験監督の合図で僕は問題用紙をめくる。
”魔法発動の手順において、最適なものを選べ。”
大丈夫、まだ分かる。
僕は順調に問題を解き進めていった。
そして、最終問題。
それを解き終わり、僕は一旦ペンを置く。
あぁ、なんだ。
めちゃくちゃ簡単じゃないか。
何個か見直しが必要な点はあるが、面白いように問題が解けた。
時間がたくさん余ってしまうほどに。
僕は見直しをした。
何周も。
「やめ」
試験監督の声で僕は見直しをやめる。
いける、いけるぞ。この調子なら。
二科目目、三科目目も順調に問題を解き進める。
全部知っている。解ける、解けるぞ。
気持ちがいい。
不安点はほぼないまま、筆記試験を終えた。
そして、魔法の実技の試験。
これが一番心配だな。
僕には魔法の才能がない。魔法を使うのに必要な魔力が平均程度しかないからだ。
だから、足りない才能を技量と知識で補う。
「あの的に魔法を当ててください」
魔法実技の試験監督が十メートルほど先の的を人差し指で指さす。
あの的に届かせるなら魔法の勢いが大事だな。なら僕が扱える魔法で一番勢いをつけれるの風魔法が最適だな。
魔力を絞る。霧散しないように高密度に。使う魔法はシンプルなやつを。
これ以降の実技のことも考えてなるべく魔力消費を抑え、でも最低限では心配だから微かな余裕を持ちつつ……
「風弾」
パン
的に魔法が当たる。
「お、いいね」
試験監督が声を漏らした。
よし。
魔法の試験でも、僕は監督の指示した以上の結果を残した。
感触は良好。
正直、受かったのは確定だと思っている。
……だが、周りのレベルが計り知れない。
特待を取らなければ、合格したとて通うことができないからだ。
特待は成績優秀者の上位十名のみ。
ベッドの上。僕は合格結果だけを考える。
どうか特待を。
メリーの隣に、立つ権利を……。
僕は緩やかに眠りにつく。
悪夢だった。
そして、時は流れて合格発表の日。
家に一通の手紙が来た。
家のリビングで僕は手紙を開ける。
合格
特待生
次席
「っしゃ!!」
僕がガッツポーズをとる。
「おー!やるじゃないか!」
「すごいね!まさか特待になるなんて……」
父と母も僕をほめる。
「ぱちぱち~」
よくわかっていないであろう妹も一応祝ってくれた。
特待だ。
それも、次席。
僕は、無事に王立魔法学園に通う資格を手に入れたのだ。
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