1/1
2026年
体育倉庫で二人きり、男女が向かい合い、話をしている。
「私を狙ってたの?」
「そうじゃなくて、お返しのためだよ」
男子がポケットから小さな菓子を取り出す。
「ささやかなお返しね」
「これが普通なんだけど」
女子はそっとそれを受け取る。
「もっと、大胆でいいのに」
「僕はあんなこと絶対にしないからね」
男女は見つめ合う。
「二人きりなのに?」
「か、考えすぎだよ……!」
女子が男子の腕を掴み、そのまま思いきり引っ張る。
二人とも体勢を崩し、マットに倒れこむ。
「チャンスだよ?」
「僕は……」
女子は下から、期待して目で見つめている。
男子は上から、その目を逸らす。
「いくじなし」
女子が男子の体勢を崩すと、立場は逆転する。
「逃げるなんて選択肢、ないから」
この出来事は、二人だけの秘密。




