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【2】動き出した日常

 部屋をでるとすでに朝食が準備されていた


「おはようエレナ」

「おはようエレナ、今日も元気そうだな」

「おはようイリス、ウィル! ウィルの作った朝ごはんは今日も美味しそう!ありがとう」

 この家には私とイリス、ウィル、馬のポリスの家族3人と1頭で暮らしている

「あ、ウィル。今日は午前中ポリスに乗って少し散歩をしてから、いつも通り庭の手入れをする予定なのだけど良いかしら?」

「ああ、分かった。それなら俺は軽く一人で稽古をしてから街に行ってくる。午後ポリスを連れて行くから終わったら教えてくれ」

「わかったわ」

 ウィルには魔力はないが剣と弓の扱いは長けている

『趣味だし役に立つから』と言い毎日欠かさず鍛錬している

この家は街から離れている森の中にあるため、実際に街に向かうまでに出くわす動物の対応には役立っているようだ

「エレナ、今日は天気も良いしポリスを連れていくなら、結界を少湖の方まで広げてあげようか?今日は薬草を煎じる為に小屋にいるから、少しだけなら行っても良いよ」

「え! 本当に? イリス大好き!」

 イリスは魔女の子孫らしい。イリスの先祖が国から逃げたため隠れて暮らしているそうだ

 


 朝食を食べ終わり、ポリスに乗り散歩をする。

「ポリス、今日は少し遠くに行っても大丈夫だからね」

「ヒヒン!」

「ふふっご機嫌ね」

 散歩をしながら久しぶりに見た夢のことを思い出す

(そういえば……お母さまが言っていた呪いって何の事なのかしら?なぜ魔法を使ってはいけないのかしら?)

 小さい頃は御伽噺が大好きだったから魔法について母に尋ねる事もあったのだが、5歳の時に母を亡くしてからは魔法について聞くこともなくなっていた。

(私も使おうと思えば使えるのよね……でもお母さまは白の一族でも無さそうだし何で私だけ使えるのかしら?……帰ったらイリスに聞いてみよう)


 散歩が終わりウィルを呼びに庭に向かうと、汗を流しながら剣を振るう姿が見えた

 普段は茶色の髪色が太陽の光にあたりガーネット色に見え、綺麗で見惚れてしまう

(今まで気づかなかったけど、ウィルの髪色って光に当たるとより綺麗だわ。整った顔に似合ってるわね)

 そんな事を考えていると、薄っすら緑がかった目と合う

「散歩は終わったのか?声をかけてくれたら良いのに」

 そう言いながら水を飲み始める

「ごめんなさい、見惚れていて。ウィルの髪色って光に当たるとガーネット色に見えてとても綺麗ね!普段とはまた違ってこちらも素敵に見えるわね。あと瞳の色はやっぱりイリスと少し似ていて綺麗だわ!」

 ウィルがゴホゴホと何故かむせながら照れている

「どうした? ポリスとどんな悪い事をした? 怒らないから言ってみろ。まさか結界の外に出たのか!?」

「何もしていないし、出てもいないわ。真っ先に悪い事なんて失礼ね。思った事を言っただけなのに」

「いや、普段そんな事いわないだろう。いやここ10年くらいはそんな可愛い事言われたことないな。今日は雨がふるのか? 傘を忘れないようにしねぇとな……」

 素直な気持ちを伝えただけなのに本当に失礼な人だわと、じとっとした目をしてやった

「……でも確かにそうね。最近はあまり伝えていなかったかもしれない。もしかすると今日久しぶりにお母さまの夢を見たからかしら?」

「!! そうなのか……ああ、アルテアの夢か。なるほどな。そうか、良かったな」

 安心したような優しい顔をするウィルを見て今度はこちらが恥ずかしくなった

「……確かに目の色は昔から言っていたよな」

「そうね。髪は初めて気づいたけど」

「まあ、実際は誰の子かは知らないけどな」

「イリスとお母さまの子でしょ??だって2人が育ててくれたのだもの。間違いないわ」

「ははっ そうだな、アルテアにも感謝しているよ」

 ウィルは自分の両親がわからない。物心がついた時からイリスの所にいるらしい

「そう言えばウィルの武器ってどこで手に入れたの?」

「ああ、剣はイリスに貰ったよ。弓とかは街の奴に貰ったな。毎日色々と手伝っているし、鉱石もあるからな。それにしても……本当に今日は珍しい事ばかり聞いてくるな。昔に戻ったみたいだ」

「え? 小さい頃の私ってそんなに質問ばかりしてた?」

「ああ、好奇心旺盛だったよ。アルテアの夢を見てまた戻ったのかもな」

 それは良いことなのか?と思ったが、ウィルが優しい顔をして頭を撫でるから、自分の中では良いことだと思う事にした



 夕食時、エレナが作った料理を皆で食べながら昼間気になった事を口にしてみる

「イリス、質問しても良いかしら? 魔法を使うと呪いを生むというでしょう? その呪いって何なのかしら…私も一応使えるはずだけど、お母さまは白の一族ではないわよね? なぜ私だけ使えるのかしら?」

イリスは驚くような仕草をしながらも、ゆっくり答えてくれた

「呪いについては私にはわからない。昔アルテアが御伽噺の本を読んでくれただろう?それが呪いに関してはすべてだよ」

「そっか、それならそもそも呪いが本当かも分からないってことね」

「……呪いは本当だよ。何が呪いかは分からない……だが、先祖からも呪いはあると言い伝えられている。だから私も魔法は結界しか使っていない。結界も使わなくても良いのだけど、エレナとウィルに何かあっては困るからね……」

 そう、私も白の一族に見つかってはいけない。だから基本は結界の外には出られない。出るときは必ずウィルと一緒にいることが条件だ

「イリスは優しいわ。本当にありがとう、感謝している」

 にこりと笑いイリスは続ける

「アルテアは魔法を使えたはずだよ。使わなかっただけ。薄紫といっても白の血筋を引いているからね。ただ、白の一族にいたかまでは分からない。本人から聞いていないからね。この家にもある日突然来たからね。」

 イリスの発言に今度はエレナが驚いた

「そうだったの? 知らなかったわ。でも魔法も使えたなら白の一族にいた可能性もあるのね……気を付けないと。でも何でお母さまが魔法を使える事、教えてくれなかったの?」

「エレナは小さい頃は知っていたはずだよ。アルテアが亡くなってから落ち込んでしまってね、その時に色々と塞ぎこんでしまったんだよ。だから、私もウィルもアルテアの話をエレナの前では話さなくなった。……エレナは何でこの質問をしたのかい?」

「あのね、今日お母さまの夢をみたの! それで色々気になって。そっか……2人ともありがとう! 今日お母さまに会えて本当にうれしかったの。だからもう大丈夫! 心配かけてごめんね? イリスも教えてくれてありがとう。子供のころの記憶は覚えていない事も多いからまた教えてね」

 イリスは頷いた後夕食を食べ始めた

 すると、今まで黙っていたウィルが真顔でこちらを向いた

「エレナは……魔法を使いたいのか?」

 ドキリとしたが、首を横に振った

「使いたいと思ったことはあるわ。でも実際に使い方も分からないし、お母さまとも約束したの。だから使わないわ」

「そうか……我が妹も明日18歳になるから少し大人になったのかー。お兄ちゃんは嬉しいなぁ」

「もうすでに立派な大人よ」

どうだかな~と笑いながら皆で夕食をたべ進めた



 就寝前、ウィルのドアを叩く

「ウィル、まだ起きてるかしら?明日の話をしたいの」

「起きてる。入っていいぞ。どうした?」

「あの……明日、2週に1度の街に行ける日でしょ?お誕生日だしいつもより早めに行きたいなって。少しでも長く居たいの」

「うん、わかった。誕生日くらい可愛いわがまま聞いてやるよ」

「本当?ウィルありがとう!じゃあおやすみなさい!」

「ああ、おやすみ」

 エレナは明日を楽しみにとても幸せな気持ちのまま眠りについた

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