5月23日 ミーティング
「じゃあ、今から始めます!」生徒副会長の藤原の透き通った声が生徒会室に響き渡っていた。藤原は緊張した様子でプリントを周りに手渡した。「まずは、資料に目を通してください」。おそらく、最後は私に判断が委ねられる。めんどくさいけど、緊張している藤原を見ると、なんだか落ち着けたくなる。生徒会長である私がなんとかしないと。私の方を見てきた。今がチャンス。私は、ニッコリと笑みを浮かべて藤原にサインをおくった。
少し落ち着いたのか。藤原は、話し始めた。「まず、今日ですが、聖淮戦について話した後、部活動の予算について意見交換をします」。堂々としたたたずまい。さっきとは少し違うみたいだ。ここに来ている大半の人たちは部費の話を聞きに来ていると私は思っていた。「問題なければ、聖淮戦について話していきますね!」。藤原の内容を止めるように、誰かが手を挙げた。手を挙げたのは、バレー部キャプテンの中田海。身長180cm以上。とてもスタイルがいい。「どうしました?」。少しスイッチを入れ話し始めた。"申し訳ないけど、俺この後、練習あるんだよ。先に部費の話をしてくれないか?"。藤原は、少し固まってしまう。
わざわざそんなこと言わなくてもいいのにな。コイツは、自分のことしか考えていない。昔の自分なら、見てみぬふりをしたけど、今の立場上それはできなかった。「それは、できないよ。部費の話で気になるなら、後で伝えてあげるよ。だから、部活行ってきなよ?」。一瞬、私の方を見て睨んできたように感じた。けど、私は怯むつもりは全くない。ここは、生徒会室。バスケ部のキャプテンかしらないけど、簡単に意見は変えさせない。「まぁ、南坂さんの言っていることもわかるけど、俺たちも忙しいんだよ。聖淮戦と部費の話が逆じゃないとダメな理由を教えてくれよ?」。中田に応戦したのは、野球部キャプテンの湯浅だった。相変わらず、コイツもめんどくさいな。私が口を開こうとした瞬間、声を上げたのは藤原だった。
「意見の違いは当然のことだけど、私たちはこの議題を生徒会の中で話をして順番を決めたの。今更、帰るつもりはないって言ってるでしょ?」。藤原は、とてもしっかりしていた。"だから、理由言えって言ってるだろ?"。ケンカ越しで言ってきたのは、テニス部キャプテンの首藤だった。ヤバいな、、、、。このままだったら、収集つかなくなってしまう。首藤は、不快感を隠せずまゆをひそめた。生徒会と部活動のキャプテン達の対立が深まりそうになった時、あの男が口を開いた。"仲良くいこうぜ、みんな"。藤森の声にみんな口を閉した。状況を察して、仲裁に入ったのだった。