6月26日 聖淮戦(視線)
先生から渡された進路希望調査。これからの進路として、私はどうするのがいいのだろうか?お母さんからは、大学に行けばいいと言われていた。でも、大学に行っても、途中で終わればお金がなくなるだけ。意味のないものになってしまう。そんなことをわかっていて提出できるほど、私はおかしくはない。でも、提出しなければそれはそれで追及されてしまう。こういうことを経験して大人になっていくのだろうか?私の葛藤はどこまででも続いていくのだった。
ー6月19日ー
聖徳高校のグラウンドは、いつもと異なるということもありみんなの元気さがなかった。ベンチについた私は、今日のスターティングメンバーを見ていた。フォーメーションとしては、3-4-2-1。ワントップには、春助。2列目には、玉波、山根が控えている。3列目には、狩野、佐藤、勢野、加藤が入って守備を固める。そして、キーパーの前には、笠間、長尾、林を構え、キーパーの島崎という布陣だった。サッカーに詳しいわけではないから、これが完璧な布陣かどうかはわからなかったけど、みんなが勝てることだけを願っていた。グラウンドでは、春助、玉波、林たちが大きな声を出している。ジョギング、ストレッチ、ダッシュを終えた選手たちは、パス回しを始めた。
対する聖徳高校は、各々が練習というような感じ。まるで、一匹狼のような人たちばかりだった。噂では、沢田、工藤、宝来という三人が凄いと聞いていたけど、この感じだとチームとしては機能しなさそうだなと素人ながら思ってしまう。淮南高校の選手たちは、体が少しずつ温まっていったのか少しずつ激しい動きへと変わっていく。すると、春助が声をかけ全員が集合したのだった。どうやら、今日の戦略を話しているみたいだ。春助、玉波が指示を出すと、短い沈黙となる。すると、お互い円陣になり、お互いの肩に手を置く。これが最後かと言わんばかりの真剣な目をしている。みんなは、何を考えどういう心境なのだろうか?すると、チームのムードメーカーである長尾が前に出る。「いくぞー!!」。あまりにも大きな声すぎて、全員の視線が一点に集まる。しかし、みんなは続かない。まるで、お笑いを見ているかのような沈黙が起こったのだった。みんなは笑いあいながら、拍手をし円がバラけていった。なんだったんだろうか?みんなは、再びボールまわしを行うために散らばっていく。その足取りはとても軽く、試合前の緊張感はなかったのだ。




