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6月13日 スローガン

 聖淮戦まで、残り6日。昨日、聖徳高校では、横断幕を作ることを教えてもらった。もし可能なら、体育館に飾りたいから淮南高校にも作ってくれないかと先生から言われたのだった。正直、今からなんて、、、、、、と思う気持ちはあったが、みんな手伝ってくれると言ってくれたため、今日から作ることにしたのだった。横断幕自体は、当日に持ってきてくれたら言われている。まだ、6日あるから頑張れば間に合う。私たちは、横断幕に使う材料を買いに行く班と文字やデザインを考える班に分かれたのだった。

 私は、横断幕に書く文字を考えていたけど、サッパリ思いつかない。聖徳高校の横断幕は、「挑戦〜夢の向こうへ〜」というものだった。横断幕に書くくらいだから、中途半端なことは書けない。どうせなら、力強いスローガンがいい。また、見る人にに感動を与えるメッセージならもっといい。でも、そんなスローガンなんてな。夏目からは、聖徳高校が二文字だから、同じように私たちも二文字にサブタイトルみたいなカタチでいいじゃないかという案が出た。希望、未来、応援、熱血、友情、栄光などいくつかの候補があるけど、どれも学校のカラーに合わない。

 私は、静かに紙とペンを手に取り、文字を書き込んでいた。古びた会議室の窓を見ながららいい文字がないか必死に頭をめぐらせる。あっ、、、、、、。そっかぁ。私は、「挑戦」という言葉の意味を確認し始めた。なるほど、この手があったか。たしかに、この文字だといい塩梅になるんじゃないだろうか。私は、ゆっくりと文字を紙に書いていく。うん、これがいい。自分の中で納得できる答えに辿り着いたのだった。みんなに考えた文字を見せ、次にサブタイトルとなる。聖徳高校が、〜夢の向こうへ〜だから、、、、、、。再び、案を考え始めた。ふと我にかえると、私はこういうクリエイティブな作業が向いているんじゃないかと思ったのだった。

 もし、私がこの先ずっと生きれるならクリエイティブな会社に就職したい。そして、文字や絵で人々を魅了させたい。私は、いつしかそんな気持ちを抱くようになっていたのだ。私のこの先は長くない。今の一瞬一瞬を大切にしたい。余命を宣告されてからずっと考えていた。みんなにとってありふれた時間は、私には限られた時間。日を追うごとにそれを実感してしまう。だから、できるだけ目を背けて、なかったことにするような気持ちになってしまう。最後の一文字を書き加え夏目に話しかけた。

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