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5月21日 藤森春助

 淮南のイケメン。これが藤森の愛称だった。エースかつキャプテンの藤森は、チームの常に中心にいた。彼は、サッカー部だけでなく、学校全体にも大きな影響を与える存在だった。淮南高校3年で有名なのは、大体4人くらいだろうか。3年生で一番友だちが多いと言われている堂林直生。「fours」というヤンチャな奴らとつるむ山下達也。可愛くて成績優秀な牧田郁。女子人気一番で私の友だちでもある尾川怜。その中あたりに、藤森もいたのだった。

 そんな藤森から、私はこのサッカー部に誘われたのだった。たしか、高校1年の5月くらいだっただろうか?部活に入っていない私に声をかけてくれたのは、今思えば何かあったんじゃないのかと思っていた。藤森は、マネージャーがいないサッカー部に入ってくれたらとても助かると話してくれていた。当時、淮南高校のサッカー部は、とても弱かった。1年、2年ともに一回戦負けという状況にみんな悔しがっていた。私が入った頃は、玉波、林、島崎たちがチームを盛り上げていたが、2年たった今はだいぶ違う。私も含めて、全員でサッカーをするんだという藤森の熱い想いでチームが変わったのを見せつけられたのだった。

 私は、女の子が一人だったこともあり、なかなかチームに馴染むことが難しかった。けど、サッカー部で唯一の知り合いであった林がめちゃくちゃ声をかけてくれてチームに溶け込むことができた。しかし、それは林に藤森が強く要望したことだったということがわかった。その時、私は完全に藤森の見方が変わってしまったのだった。ただ、カッコいい奴ではない。ホントに私のことを考えてくれる人だと。そして、生徒会長に推薦してくれたのも藤森だった。私が2年の時、私たちの代に誰も生徒会に立候補する人がいないという事件が起こってしまったのだ。その時に、メンバーを集めたのも藤森だった。私自身も、まさか自分がなるなんて思ってもいなかった。けど、藤森の頼みならということで私は、生徒会長という役割をうけおったのだった。

 私は、ラインをわったボールを取りに行っていた。ボールは、ゆっくりと止まっていく。私がボールにたどり着いた頃には、また新しいボールが転がっていくみたいだった。まだ、5月だというのに汗がすごい。それだけ、必死にやっていることが伝わってくる。淮南高校サッカー部は、6月19日の聖徳高校との一戦に向けてとてもモチベーションが上がっていた。

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