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6月6日 秘密

 


 私 「準備はできた?」

 春助「まぁまぁかな」


 あの表情は、完全なる自信ではなかった。春助にしては珍しい。


 私 「余裕なんだ」

 春助「余裕じゃねぇよ。向こうは強いし」


 実際のところ、どう思っているかはわからない。でも、私は数ある男の人のなかから、この人に決めたんだ。


 私 「そんなに?」

 春助「そりゃあな」

 私 「どうやって勝つの?」


 勝てるかどうか。私は、スポーツしたことないから勝ち負けをそんたに意識したことがなかった。


 春助「そんなの俺がゴール3点くらいとれば勝つでしょ?」

 私 「ハハハハ。3点ってそんな簡単ではないでしょ」


 前にも話したけど、なんで春助はこんなに勝ちたいのだろうか?


 春助「なんでだよ?」

 私 「だって、そんな簡単に点とれたら淮南高校は全国クラスでしょ」


 残念ながら、淮南高校は全国クラスではない。このあたりの地域では聖徳高校と海美高校がいてそんな簡単には勝てない。


 春助「俺は、全国クラスだ。覚えとけ」

 私 「何よそれ。凄い自信だな」

 春助「自信じゃねぇよ」

 私 「え?」


 そこには深い想いがあるようだった。私にはわからない深い深い想いが。その想いを理解してあげるのが彼女の役割の気もするけど。今の私には、それができなかった。なんだろう?なんて言っていいかわからないけど、私と春助はお互い秘密がある気がしていた。私は病気のこと。春助にどんな秘密があるかは知らない。でも、きっとあるそう思う。


 春助「萌音!」

 私 「ん?」


 カバンを肩にかけなおした。


 春助「俺が1番だってこと見せつけてやるよ」

 私 「どういうこと?私にとっては春助がいつも1番だよ」


 恥ずかしいけど、照れずに伝えてみた。


 春助「そうじゃねぇよ。俺はな、誰にとっても1番であることを証明するよ」

 私 「誰にとっても?」


 きっと何かがある。きっと。


 春助「向こうには、沢田、宝来、工藤。タレント揃いだろ?アイツらに主役は渡さないよ」


 絶対負けないという強い想い。それは、横にいるだけで十分伝わった。


 私 「まぁ、そんなに熱くならないでよ」

 春助「楽しみにしといてよ、"聖淮戦"」


 腕をあげて、手はピースの形をしていた。春助が言葉を話す時は、逆に自信がないということ。付き合ってみてわかった。だから、誰よりも近くにいたいんだ。

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