エピローグ
このお話の主人公、ラックはとても真面目な青年だった。
彼は冒険者だが、街のみんなはパン職人と呼んだ。
一応、冒険者登録自体はできましたし・・・。
この世界には、ダンジョンが存在する。
それは娯楽神ミューズが創った感情を生み出すシステムでした。
冒険者ギルドすらも。
その中でも一際、個性的なダンジョン。
『パンダンジョン』
その真実は『食神の祠』。
それが彼の仕事場だった。
パンストを謎の金属の棒で打ち返すお仕事です。
意味が分かりません。
***
「今日も美味しいパンをお願いしますね♪」
彼女はピュア。彼の恩人であり、彼が恩人です。
彼らは惹かれ合い寄り添い生きる。
獣人族であり可愛い耳と尻尾が特徴的な彼女は道具屋、兼治癒師であり、そしてパン屋だ。超可愛くて、神様よりも強い、語られない英雄トラネコも恐れる無敵の美少女です!
「あぁ、いってくるよ」
彼はいつもの様に、パンダンジョンに向かう。
でも、その前に・・・
「そう言えば、うちの父が挨拶に来たいらしいんですが・・・。
ちなみに魔王を名乗ってます」
レモが言います。好きにして下さい。
「よし、渾身のパンを焼いておこう」
ラックよ、なんでもパンでなんとかなると思うニャよ?
「そう言えば、クルセがヤバイ国で悪魔信仰者の集団を見つけて手伝って欲しいって言っていましたよ。無視して良いですか?」
リズが訳の分からない事を言っています。クルセがエビちゃんに近づくのが嫌だからって露骨過ぎませんか?
「いや、手伝ってあげて・・・主にクロエとトールさんが頑張ってるけどしんどそう」
アオイが心配そうに言っているので、なんとかしないとですねぇ・・・。
「よし、パンを届けよう」
パンは万能ではありませんよ?
パンってなんだっけ?
「ツクヨミ、行ってあげてください」
彼女は庭で飼っている邪神龍あらため、月神竜ツクヨミに指示を出します。
「え!?ツクヨミお出かけしちゃうんですか!?じゃぁ、レモが守ってね。午後から孤児院で一緒にパンを焼きましょう♪あと魔王《お父》様が来られる時は国をあげて歓迎しますね!」
領主様の娘、あらため王女のモニア様が遊びに来てました。
アオイが凄い形相で睨んでいますけど大丈夫ですか?
「エビちゃんは今日の予定は?」
今日も美しいエビちゃんはどうやら、ダンジョンへ行くつもりらしいです。
「さっき話に出てた怪しい集団の本拠地が近いのでついでに見てきますよ♪」
どっちがついでですか?無敵すぎです。
「クプラは予定は?」
精霊大樹の化身。そして、私の子供?であるクプラは、
「妖精達とチョコ作りに再挑戦してきます〜♪」
チョコってなんだろう?やっぱり異世界からの転移者な気がします・・・。
毎日クプラの森にある妖精の国『エレ・リピアラ』で遊んでいます。
「前回のは、ほぼ毒物でしたからねぇ」
クプラのお世話妖精リピアはクプラに毎日振り回されています。
彼女が一緒だから安心して好きにさせられています。
あ、私も一応、育児はしてますよ?
手がかからない子なので少しお恥ずかしいですが。
「ラトは今日はどうするんですか?」
トラネコであり、邪神カオスであり、娯楽神ミューズでもあるラト。
彼も呪いの館を拠点に自由に動き回っています。
「ガルブとリーナが結婚するらしいから祝福に行ってくるのニャ」
えっ!?聞いてませんよ!?そうですか。めでたい事です。
私達からもお祝いをしないとですねぇ♪
「よし、特別なパンを届けよう!」
うん、それが良いかもですね!
ラックのパンなら十分お祝いになる事でしょう。
しかし、当初の予定より随分と賑やかになったものです。
沢山の出会いを経てラックは心を手に入れて、
彼女は本当に大切な事に・・・近づきました。
最高以上の結果と言えるでしょう。
彼女が望んだ以上の結果がそこにはありました。
それをもたらしたのは、間違いなく彼らが選び取った成果です。
出会いを大切に、優しくあろうとし支え合おうとした結果。
彼女はこの結果を・・・とても嬉しく思います。
***
パンダンジョン、そこで出会ったレアモンスター『パンミミック』。
そして、引き起こされる汎発性流行・・・。
この出会いが彼の人生を大きく変えていった。
それは、私の予想を超えた物語。
これは、どんな事があってもラックがパンを届ける、そんな話だ。
様々な困難に立ち向かいながらも・・・パンを届ける、そんな話だ。
私の描いた物語だった。その主人公ラック。
ヒロインは、私の意志を継ぐピュア。
偶然にも私の因子を持ちリンクした彼女。
私ではないピュア。
もはや私とは程遠い彼女は、きっとただのピュアですね。
私の描いた物語ではなくなった、この世界はこれからもずっと続いて行く。
猫神が世界に干渉したのは、創世の時と無機質なプロローグだけ。
最初に創ったその時から、世界はずっと独立していた。
そこに一滴の結果を流した。
その結果は、世界に思いもよらない物語を描いた。
これからはもう干渉しません。
過去も未来も彼らが創った。
これからも・・・。
私の創った世界は・・・いかがだったでしょうか?
私はとても、楽しかったですよ♪
世界はどこまでも拡がっている。
そしてこれからも拡がっていく・・・
ーーーーーおしまい♪ーーーーー




