本当に大切な事は・・・
暫くすると、みんなが帰ってきました。
「ただいま〜♪ちゃんと話は聞けたんです?」
リズが満面の笑みで、エビちゃんと帰ってきます。
楽しかった様で何よりですね。
「スッキリした顔をしてますねぇ。答えは出た様で何よりです♪」
エビちゃんが微笑みかけてくれました。相変わらずお美しいです。
「ただいま帰りました!今日のパンは僕の焼いたパンですよ♪」
レモが元気いっぱいで帰ってきました。
うん、可愛い。同い年なんですけどね。見えません。
「今日のは、モチモチ、新食感。自信作」
普段はあまり喋らないアオイですがとても機嫌が良さそうです。
レモと一緒でしたし、アオイは食神様に丁寧に呪われています。なのでパン作りには関われませんが、だからこそ普段は関われなかった料理に強い興味を持ち、見ているだけでもすごく楽しいらしいです。そう語るアオイの笑顔は破壊的に可愛かったです。年上なんですけどね。
微笑ましいです。守りたい、この笑顔!
「今日のパンはバターも卵も牛乳も使わなかったんだ。アオイの発想だった、俺にはない引き算の発想、これは革命かもしれない!パンの可能性は無限大だ!!」
ラックも相変わらずですね♪熱く語っていらっしゃいます。
これが私の新しい日常。
・・・
すぐに夕飯の支度を始めます。
ラックやエビちゃんも手伝ってくれました。
リズは、配膳役。手際よく準備を進めて行きます。
いつもの野菜スープにパン。パンの名前はベーグルと言うらしいです。
ラトが言ってました。なぜか、妙にしっくりきたのでそのまま定着。
和気藹々とした食事、みんな朝の事は気を遣ってか、あえて話に出しませんでした。皆お食事中に空気を悪くしたくはありませんよねぇ・・・。
そして食事を終えた後に、私はみんなに席に戻って頂きました。
いつもはみんな個人で好き放題に色々とやってるんですけどね。
さて、どうして伝えたら良いものかと悩みました。
先程のラトとの話、色々と新情報もつまっていてみんなと情報共有しておいた方が良い事も沢山ありそうです。
・・・
どこからお話しましょうかねぇ・・・。と少し考えて、ハッと我に帰ります。
ウジウジと色々と悩むのは、性に合わないのですよ!
だから、端的に、結論を、ハッキリと・・・。
「ラックは、私とこれからもずっと一緒にいます。決定事項です♪」
そう。これが私の出した結論です!
「えっと・・・、ラックの意志とかそういうのは無視ですか?」
エビちゃんが心配そうに言いました。
さすがエビちゃん♪そこは私も一応、悩んだんですよ?
「無視です♪私が本気を出せば逃げるのは不可能です」
だって、神すら滅するこの力ですしぃ。神竜も楽勝で拘束しますしぃ。
妖精族は私の意のままですしぃ、やりたい放題です♪事実です。
「俺に異論はない。俺はもとよりピュアと一生添い遂げるつもりだ」
ぐふぅっ!!ラックが良い顔で言い切りました。
キリッ!という効果音すら聞こえてきそうです。
「その関係性はいかがなモノなのですかねぇ?愛情とは違う気もしますが・・・」
リズが言います。ですねぇ。それも悩みました。でも・・・
「関係ありませんね。そもそも愛情なんてよく分かりません!一緒にいたいからいます。永遠に続いて欲しいと思うから決定事項です♪」
そう、誰も分からないのですよ。
分かるなら教えて下さい。それが私のこの気持ちと同じなら、問題ありません。
違っていたなら・・・、それが正しいと証明されたなら・・・それを目指します。
それはその時、考えます。
今告げて捕まえておかないと、もし失った時に私は一生後悔します。
私は、初めて彼のパンを食べた時に言いました。
『これは・・・ナンですか?』
彼は言いました。
『パンだ』
うん、これじゃないですね。
・・・
『貴方に何か困った事があれば、私は全力で何に変えても、命以外は全てを賭けてでも貴方を助けます。だから、何かあったら必ず相談して下さい。これが条件です』
これですね♪
最初から結論は出ていたのです。
何があってもそばにいます。
愛情がどうとかは、もちろん大事です。
ラックの事が好きです。
彼の答えはこうでした。
『そ、そうか、分かった。ありがとう。今日、君に会えた事を幸運に思うよ。これから宜しく頼む』
何も問題ありませんね♪
その後、
『あぁ・・・それなんだがな。俺は、本当にパンを食べて貰っただけだ。事情は分かったし、それがピュアの為になった事を凄く嬉しく思う。でも、俺はピュアとフレンズがいい。パンを贈ったお礼は・・・スープで充分だ。スープがいい。対等でいたい・・・』
そんな事を彼は言っていました。
これは彼なりの誠実さだったのでしょう。
神パンによって命を救って貰った事、それをなしにして私は彼を好きなのか。
それを試されていたのでしょうね。
なのに私は・・・。
問題は、言うべき事はシンプルだったのですよ。
「私はラックの事が好きです。ラックは私が好きです。だからなにも問題ありません♪」
未来の事なんて誰も分かりません。
だからこそ、今ここで確認するべきは、告げるべきはこれだけなんです。
「その言葉が聞ければ、私からは何も言う事はありませんよ・・・」
リズは・・・少し寂しそうで、嬉しそうでした。
お節介なやつです。
「なんと言いますか・・・素敵ですね♪」
レモが目を輝かせながら言いました。
それを横目にアオイが考え込んでいます。
貴方達も上手くいくと良いですね♪
「ラックは何か問題ありますか?」
私は問います。
彼は言います。
「何も問題ないな。凄く・・・嬉しい」
私は問い続けます。きっとこれからずっと。
それで良いと思いました。
問題が起こったら・・・その時の最善を考えましょう♪
「バグ娘は相変わらず、自由だニャぁ。ラック、何かあったら相談していいからニャ?」
ラトが皮肉を言います。
どういう意味ですか!?
「そうだな。俺も一緒にいれる様に努力するよ」
その為の相談ですか、良いですね♪
この人となら、きっと大丈夫だと思いました。
みんながいれば、きっともっと大丈夫です♪
「話は以上です!ご清聴ありがとうございました♪」
こうして私はお話を締めくくります。
え?パンミミックの真実?世界の事やこれからの事?
そんなのは問題になった、その時にみんなで考えれば良いのです。
ラックの視力の件?そう言えば忘れてましたね。
「あ、ラック。あなたこのままだとまた視力を失うらしいのでなんとかしますね」
『移植!』
互いが信用している事を前提に、生体移植を行う生命魔法。
距離や気持ちが遠く離れると解除される制約と誓約が必要な魔法。
私のエメラルドグリーンの右目と、ラックの琥珀色の右目が入れ替わります。
私達は鏡写しのオッドアイに。
「おい・・・それ、失敗したら大変な事になる魔法ニャ!!
何をしれっとやってるのニャ!?」
知ってますよ?
「成功したから良いじゃないですか♪」
ラックの魔眼はその力を強め、加護では視力を補いきれなくなりつつありました。
だから、私は彼から魔眼を奪ったのです。片目なら効果はありませんから。
「ラックはこれで、もう心情の鑑定はできなくなります。パーンするかはこれまで通り分かりますし問題ありませんよね?」
「あぁ、問題ないな。ピュアの想いは聞けば教えてくれるんだろ?」
彼は即答でした。そして、彼の言う通りです。
私達は互いに問い続けます。
それがあるから、私達は個でいられる。
個を持ち寄って、新しい何かを見出せる。
魔眼は必要ありません。




