次々と明かされる真実
とりあえず、欲しい情報は貰えました。
あと、聞いておきたかったのは・・・
「クプラは異世界からの転移者なんです?トラネコさんは異世界から来たって言ってましたけど・・・」
精霊樹の化身として、異世界から呼び出された『人造猫神降臨計画』の産物。
トラネコさんはどんな世界から来たんだろうか・・・?
「どうだろうニャぁ、それこそ本人に聞けニャ。私は地球と言う星の日本と言う国にいたらしいけど、正直もうあまり覚えてないし良い思い出もあまりなかったからどうでもいいのニャ」
心底どうでも良さそうに言ってました。
「ラックの魔眼の能力はトリネコさんと関係があるんです?」
相手の心情まで見通す謎の鑑定を可能にする魔眼。
やはり普通の人とは思えないのですが・・・。
「この世界に元々いた人々では、それほど珍しい能力でもないのニャ。ただ、あれがあると感情が根付きにくい。それもあって森にいさせてたみたいだけどニャ・・・」
相手の心情を見通す力。
それはきっと、とても便利で・・・感情のある世界には適さない。
分からないから、人は確かめ合うのだろう。
そこで、ふと一つ気になる事が浮かびました。
時を同じくして発生したラックが起因の事象・・・
「パンミミック・・・?」
「ギクッ!?ニャ・・・にゃんでいきなりそのワードが・・・ニャ?」
あ、これ何か関係ありますね。
ラックに出会ってから起こった出来事。パンミミック。
あれは果たして偶然だったのだろうか?
神々のイタズラ。目的が分かりませんでした。
ただ、幸福に名前を付けて拡散して混乱を呼ぶ。
そしてその後、変異し悪意を認知させるトリガーとなった。
・・・娯楽神と邪神の干渉、そのモノじゃないですか?
違和感がスーっと晴れました。
あれは、娯楽神ミューズが起こした感情のない人類にもたらしたキッカケ、
そして、それに便乗して更に悪意を創った邪神の行い、そのモノです。
「あれは・・・ミューズが創り、邪神が便乗したシステムですね」
・・・
「正解ニャ♪」
開き直っておどけて笑顔を見せるラト。
殴りたい、この笑顔♪
「ホーリー・・・」
「ま、待つのニャ!?悪意はないのニャ。
それにあれは誤作動で仕方のない事だったのニャ!」
誤作動?
ん〜よく分かりませんねぇ。
「どういう事です?」
私はラトに問いかけます。
別に実害はなかったから、それほど気にしてはいなかったんですけどね。
「あれは、人々がまた心を失ってしまった時に再び心を持つ為に仕組まれたトリガーにゃ。ミューズとカオスは私と同化してしまったから干渉にも限界があるのニャ。
だから、いざという時の為に人々に残した善意の残滓なのニャ」
心を持たなかった、この世界の人々が二人によって感情に目覚めた。
それが、また失われてしまう事を危惧していた。
もしもまた失ってしまった時の為にキッカケを残したのです。
「なるほどですね・・・あなた達も大概、お人好しですね♪」
悪意どころか善意に近いのだと私も感じました。ただ、それは見方を変えれば洗脳とも言える、強行手段でした。善意とも言い切れない、だからそっと隠したのです。
それでも私は、それを善意と呼びたいのだと思います。
心ある私達にとって、それはとても大切なものなのだと思うから・・・。
「しかし、まさかラックがトリガーに引っかかるとはニャぁ。いや、ん?上手くいきすぎじゃニャいか?」
ん?あっ!そう言う事ですか!?
心を持たないラックが食神の祠に侵入し、パンミミックが発生した。
パンミミックの発生条件は、心無い成人がダンジョンに侵入する事。
食神の祠がある、あの森の館にラックを残したのは・・・。
パンミミックも含めてラックは心を手に入れた。
そして、神パンを創るラックが私と出会った。
全てが繋がっていく。
予見眼を持つトリネコさんの導き?
しかし、トリネコさんは結果しか見通せません。
それに自分の意志に自由に見れる訳ではありません。
ふと、それ以上の存在の関わりを疑ってしまいますね・・・。
しかし、それは私達には関係のない事だと思いました。知りようのない事ですし。
必要な疑問は晴れました。だから、もう十分です。
急速に心を手に入れたラック。
彼の想いがいか程なのか・・・などには結局のところ関係ありませんね。
私と彼は、ある種の共生関係です。
ラックのパンは文字通り生命線で、私は常識を知らない彼の協力者です。
しかし、神パンはもうすでに一生分頂きました。
そして彼はそれに対する対価を望んでいません。
彼は私以外の協力者を既に得ていますし、私達以外とも上手くやれています。
これからも、もし私がいなくても上手くやっていけるのかもしれません。
そもそもに、互いの恩を軸にして互いに縛り付ける型は正しいのでしょうか?
共依存の関係性。それも、一つの強固な在り方の気もします。
決して、間違いではないのでしょう・・・。
でも・・・なんか、違うんですよねぇ・・・。
「あ、そう言えば言い忘れてたのニャ♪ラックの目はもうすぐ見えなくなるのニャ」
ん?
・・・
はい?
「バカ猫、最優先事項でしょうが!!何をサラッと最後に言ってるのニャ!?」
「世界の仕組みより好きな人の心配が優先かニャ?そっちこそ色ボケ猫にゃ」
う・・・言い返せないのニャ・・・。
「対処方法は?」
「お前なら知ってるだろう、図書館の本をほとんど読んだお前ならニャ」
「・・・あぁ、あれですか。あれでいいなら別に大した問題ではないのでは?」
「そう言えるお前は、もう答えを出しているのニャ」
・・・
そう言う事ですか・・・。
そういう事ですね。
私も流石に覚悟を決めましょう!
何も問題ありません♪
ラトの言う通りでした。
私はとっくの昔に・・・答えを出していました。




