トリネコ本質
ラックは、この世界の最果ての街『デニッシュ』の出身でした。
神の干渉を受けず独立して平穏に、感情を持たず生きる人々。
そこで生き残った人の中で当時たった一人の子供、それがラックでした。
両親は亡くなったそうです。
母親はラックを産んだ時に、そして父親は悪魔によって・・・。
『デニッシュ』は悪魔に支配されていた。
その悪魔を倒し救ったのは、トリネコさんでした。
両親を亡くしたラックはトリネコさんに引き取られたのです。
成人した者は、神の干渉した世界になんとか馴染む事が出来ました。
色々と苦労はした様ですが・・・。しかし既に多くの干渉を受けたこの世界に、
まだ子供だったラックは適合出来ませんでした。
段階を踏む必要があったのです。その為にラックはこの世界の成人である十五歳になるまで森の中で保護されていた、と言うのが真実でした。
虐待ではなかったんですね。
「私の事の事情も、実はなにかもっと知ってたりするんじゃないですか?」
「・・・にゃ〜ぉ♪」
「ホーリー・レ・・・」
「ちょ!?まつのニャ!!お前は本当にトリネコの子供ニャ!」
素直に話せばいいのに。
「ただ、あいつはいつもゴタゴタに巻き込まれていたからニャ。お前はそんな中で行方不明になった子供の一人ニャ」
「子供は他にもいるんですか!?」
新情報ですよ!?
「あ・・・まぁいっか。お前とラック、それと妖精族のお前の双子に当たる子が一人。あと他に三人、養子がいたはずだニャ」
うわぁ・・・情報多い〜・・・。
「詳細を知ってたり?」
「知らんにゃ。名前も知らんのニャ」
「育児放棄しすぎじゃないですか?」
私はトリネコさんが自分をほったらかしにしている事も気にはなっていました。
ラックの件も事情は分かりましたがそれでもやっぱり、もっと干渉を、と・・・。
「それも仕方ないのニャ。あいつは『予見眼』と『巻き込まれ体質』の称号を持ってるからニャ」
ナニソレ不穏・・・。
『主人公』は良くも悪くもトラブルに巻き込まれる体質らしいです。そばに居ると不幸にする事も少なくないらしいとか・・・。それで遠ざけたのですね。
更に、この『予見眼』がくせものでした。
なんでも、詳細不明な能力らしく、ただたまに未来を見せる。
その未来は、干渉しなければそのままになる事が多く、干渉すれば変わる。
誰かに話せば、高確率で未来は変わる。そんな未来予測を可能にする能力。
なんとも使い勝手の悪い能力です。
「お前の幸せな姿でも予見したんじゃニャいか?難儀な能力ニャ・・・」
なるほど・・・。
どうやら・・・トリネコさんは・・・相当なお人好しの様です。
トリネコさんは、きっとラックの未来も・・・。
大切な人を遠ざける能力・・・なぜそんなモノを彼に授けたのだろうか・・・?
「あれは複合的に自然発生した能力みたいだし神々も関係ないみたいだニャぁ。
猫神が関与してるかは謎だけどニャ」
なるほど。
「でもあいつは、その能力に感謝してたけどニャ」
「なんでです!?」
自らの運命を呪ってもおかしくない能力だと私は思いました。
「『不幸にせずに済む、沢山の幸せに出会えた』と満足そうに言っていたニャ」
ラトは・・・トラネコさんは少し寂しそうに、そしてどこか満足そうでした。
・・・どうやら、私の父は、
底抜けのお人好しの様です。
私はなぜかそれが少し、誇らしく思えました。




