進む為に・・・
「ところで私は、トラネコの孫である以外に何か特別だったりするんです?」
結構、チートな存在だと自覚してきているのです。
妖精王とトリネコの子供な訳ですしチートも納得な訳ですが。
「妖精と獣人の子は別に今や珍しくないのニャ。生命魔法との適正がめちゃくちゃ高いけど、別にそれ以外は何もないはずだったんだけどニャぁ・・・このバグ娘め」
どうやら、私は本当にただのバグな可能性が出てきました・・・。
「本来は神はおろか、私すら消滅させる様な力は持つはずがないのニャ。血統や遺伝の要素よりもお前の『おこない』のせいだニャ。自業自得ニャ」
自業自得の意味、あってますか?私の能力は私の行動による所みたいですね。
しかし、この子をどうしましょうか・・・?
「クプラの化身ですかぁ・・・どうしましょう?」
トラネコと同様に精霊大樹『クプラ』から生まれた化身。
人造猫神もどき。ラックと私の名前アナグラムで名前をつけちゃった事もあって色々と小っ恥ずかしいです・・・。
「認知して育てろニャ」
ラトが吐き捨てる様に言う。
その言い方はズルい・・・。
でも、生み出してほったらかすのはダメなんじゃないかな?
だめですよねぇ・・・。
「ご一緒の妖精さんはどちら様で?」
クプラの横にいる妖精さん。お陰で事情が分かったわけですが。
「クプラ様に仕える妖精です。名前はないです。お世話をするべく他の妖精よりも強い力を持って生まれました」
結局、世話をする妖精を『リピア』と名付けて、そのままお世話をしてもらいながらもみんなでクプラを育てる事になりました。これも本当に大変でした。
いや、大変です、なう。
子供を育てると言うのは、本当に大変ですね。それを痛感する日々がこれからも続いていく訳ですが、そのお話はまた別の機会とさせていただきましょう。
こうして、世界の成り立ちまで導かれてしまった私達ですが・・・
「もう、さすがにこれ以上はないですかね♪では、私は仕事に行きます。
帰ってきたらラトにはもう少し聞きたい事がありますので時間を下さいね」
と、普通に仕事に出勤しました。
「おい・・・世界の根幹を聞いても無視ニャのか?相変わらずバグっぷりだニャ」
とかラトが言っていましたが知りませんよ。
『私は出来る事をやるだけです。』
バグだろうが、なんだろう関係ありません。
管理者に多少の不安はありますが、どうやら過度な干渉はしない方針の様ですし、
放っておいても大丈夫でしょう。
何でも出来るのだとしても、私は義務に振り回されるつもりはないのです。
私は私の望んだ義務である道具屋の仕事に、この日も従事しました。
しかし、やはり色々と考えてしまいますね。
色々な事を考えました。
一人で考える時間が欲しかったので、その言い訳でもあったのは認めます。
今日も、フェリからの申請依頼はちょいちょい来ますが、道具屋は基本は暇です。
「色々ありすぎです・・・」
一人ボヤきながらも、問題を考えます。
「ん〜・・・。あれ?別に特に問題はないのでは?」
独り言なんですけどね。別に今までだって、神に管理されていた訳ですし。
他の人に、この話を伝えるべき?
領主様、今は国王となったアレス様にはある程度は伝えても良いかもですねぇ。
他は・・・伝えなくてもいっか。呪いの館のメンバーには伝わりましたし。
妖精の国『エレ・リピアラ』は今、フェリとうちのオカンを中心に上手く運営されています。クプラがある程度、成長して落ち着いたら二人の意志で関わっていけばいいでしょう。
精霊樹の承認も今まで通りでいいでしょう。
世界はある意味、未だかつてない程に安定していました。
「そもそも世界がどうとか、どうでも良いのですよ!」
私はようやっと、自分らしい結論に辿り着いたのでした。
柄にもなく悩んで、何をしていたのやら。
そして、やっと私は『私の問題』に取り掛かるのです。
それは・・・ラックの事。
「世界の問題よりも、色恋ですか・・・」
我ながら、馬鹿らしいったらないですね。
それでも私の知る神話の数々も、結局のところ色恋でウダウダやっては世界を天秤にかけるのです。不思議なものですね。
いつも感情が世界の命運を握る。
運命も感情が中心で語られる。
感情のない世界に、神々が感情を創った。
結果、人々は神へと近付く。
欲が、人を前に進める。
感情を手に入れた人々は、ただひたすらに歩を進め続ける。
それは、止まる事が出来なくなる呪いなのかも知れませんね。
私は逃げてすらいなかった。
感情に蓋をして・・・立ち止まっていた。
きっと、もっと、根本はシンプルなのです。
私は、何がしたいのか?
私は、どう思っているのか?
『私は・・・ラックが好きです。』




