さて、どうしましょう?
空に描かれた巨大な魔法陣。
発動と同時に十個の魔法陣に広がり、幹の様に繋がり合う。
出来上がった二十二本の光の道は美しく輝き、完成された巨大な図形は
そのまま大地へと降り立った。
一瞬の静寂。
そして大地から大小、無数の光球が浮かび上がる。
それを追う様に樹々が大地から伸びる。
気付けば、そこは巨大な森になっていた。
更に、生まれた樹々が森の中央に光を集めていく。
光球は色取り取りに変化し、混ざり、広がり、森中を包んでいく。
虹色のラメを纏った様な幹。輝く葉。
先程の聖域の池は森に取り込まれて膨れ上がり、湖に変わる。
森はソボックとヤバンの街の間に広がる巨大な平野の半分を埋め尽くし、
私達の立つ小高い丘の手前まで広がっていた。
森の中央、更に伸び続ける巨大な樹が一本。
どこまでも伸び広がり、丘よりも高く伸び続けた。
それは、高さ、直径共に二百メートルに到達する程だった。
美しい、精霊大樹を中心とする精霊樹の森。
その光景は・・・創世の瞬間の様だった。
・・・
「制御しきりました!私、凄い♪いや〜頑張りました」
いや、実際すごい大変でした。我ながら良く暴走させず制御しきったモノです。
滞りなくマナを循環させ森へと還元しました。
大地から供給される生命力も無駄なくしっかりと森に浸透させましたし、
これ程の制御は私以外には無理ですよ?きっと♪
一仕事終えて眺める。
美しい森ですねぇ・・・良い景色です。
「にゃ・・・・」
にゃ?
「ニャンじゃこれはああああ!?」
ラトが目を見開いて叫んだ後、固まりました。
「精霊樹の森?」
私は首を傾げながらラトに言います。それ以外に形容出来ませんねぇ。
「あれ程の数の樹々がもれなく、精霊樹・・・しかも中央の巨大な大樹はなんニャ!?千万なんてレベルじゃないのニャ・・・」
えぇ〜・・・?
いや、だって勿体無いから・・・漏れなく森にした訳ですが・・・。
どうやら100倍どころの騒ぎではない変換率で生命力が森へと注がれた様です。
もう、知りません♪全部リズが悪いです。
「じゃぁ、後はラト宜しくね♪」
私の仕事は終了です!そして、作戦は継続です。後は全部、妖精に何とかしてもらいましょう♪
「え・・・いやいや・・・。えぇ〜〜・・・ニャ・・・」
ラトは混乱している。
「あれって、あるだけで妖精の力が強くなる様なモノなんです?」
エビちゃんが冷静に話に入ってきてくださいました。
実際はかなり動揺している様ですが、あまりそれを見せないその姿は相変わらず美しいです。
レモはと言うと・・・
「なんだぁ〜♪夢だったんですね。龍に食べられたり、謎の猫のお姉ちゃんに、
光り輝く森。なんだぁ〜夢かぁ〜♪」
虚な目で一生懸命、現実逃避をしていたので放っておいてあげる事にしました。
「あんなのに私は挑んだのか・・・洗脳されていたとはいえ、何という愚かな・・・」
ツクヨミは私に怯えていました。
頼りにならん奴にゃ。
「一応、強力な妖精が森から生まれたり、森に住む妖精を補助したり、妖精は集合思念的なモノで繋がっていて、種族が一つの生命体の様な特性も持っていますので、全体に作用するんじゃないですかねぇ?」
私は『トラネコの図書館』で得た知識をもとに適当に推察する。
「おい・・・フェリ、いるよニャ?」
ラトがフェリに呼びかけます。
「いません。なにも見ていません。私は何も知りません!」
フェリは全力で関わらない様にしている様です。なんで?
「いるじゃニャいか!どう考えてもお前が何とかするしかないのニャ」
「いや、あれ二千万近い生命力ですよ?真ん中の大樹だけで千万。あんなの関わったら一生管理で苦労しながらストレスでハゲるに違いないです。嫌です」
妖精って正直ですねぇ・・・。とても好感が持てますけど。
「いや、だって他の奴じゃ無理だろ・・・最適なお前が当事者にいるんだからお前がやるしかないのニャ。あきらめろニャ」
「当事者じゃありませんよ!!あぁ・・・でも、既に世界に影響を与え出していますね・・・世界の中心と言っても過言じゃないですよ・・・あの大樹。はぁ・・・既に妖精も増え始めてるし・・・うわぁ・・・このままだと強い妖精が溢れて・・・面倒くさいですぅ・・・嫌ですぅ・・・」
なんかごめんね。
ん〜、しかしこの様子・・・フェリって実は凄い?
「フェリって実は凄い妖精だったりするんです?」
私は普通に聞いてみる。
「ギクッ!?」
口でギクッて言う人初めて見ましたよ?
「もう、バラして良いんじゃニャいか?どうせ今後、あの森のせいで関わらない訳にもいかないし、そのうちバレるのニャ」
お?フェリの秘密が明らかに?
「ピュアは丸投げするつもりみたいだけど、無理だからニャ?あの森の主導権はピュアだからどうやっても無関係にならんのニャ。でもフェリならある程度上手くやるかもニャ」
へ?
ええええぇぇ!?嘘でしょ?
嫌ですよ?面倒臭い管理なんて・・・。
フェリなら・・・なるほど。一緒に説得しろという事ですね。
私はラトと以心伝心の見事な連携を見せます。
神は言っている。巻き込めと・・・。
『拘束!』
巻き込み【物理】を強行する私。
私はとりあえずフェリを拘束します。
「ええええ!?無言ノータイムで拘束とか引きます!ドン引きです!」
植物のツルがフェリを捕らえて拘束しました。
逃がしません。
「いやぁ、逃げそうでしたので。森を引き取ってくれたらちゃんと解放しますよ?」
「あんなもの受け取れる訳ないでしょうが!分割して少しずつ溶かすしかありませんよ!」
「だニャぁ。でもフェリなら妖精達を纏めてある程度コントロール出来るのニャ。
なんせフェリは元妖精王だからニャ」
おぉ〜新情報。フェリはどうやら前の妖精王だった様です。
あれ?でも・・・
「妖精王って世襲制じゃありませんでしたっけ?」
私はポロッと溢します。
「・・・」
「・・・にゃ」
フェリは冷や汗をダラダラと流しながらも必死で目を逸らします。ラトは私は知らん、とでも言いたげですね。知ってたけど口止めされていたのでしょう。
そう。
私の母は妖精王らしいです。
つまり、フェリは・・・私の『おばあちゃん』ですね・・・。




