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【おまけ】神々の悩み

「おーい、食神のフーよ。ちょっと相談があってのぉ、少し時間よいか?」


 小柄で立派な髭を蓄えたまさしくドワーフと言った風貌の技術神テクニは、神界で仲の良い食神フーに呼びかけた。


「ん?珍しいわね。何か面倒ごとかしら?」


 落ち着いた黒髪の女性、食神のフーは察しよくテクニの面倒ごとの気配に気付く。


「そうなのじゃ・・・困った事があってのぉ。力を貸して欲しいんじゃ」


 するとそこにムキムキの男がやってきた。


「おっす!テクニ、呼ばれて来てやったぞ。俺とお前の仲だ、暇だしある程度の事なら力を貸すぞ?」


 彼は武神ファイだ。テクニと仲のいいファイは積極的に相談に乗るつもりの様だ。

 三人は、テクニに促されて『常世とこよの鏡』を覗き込む。

 そこには一人の小さな子供が一心不乱に神像を殴る姿があった。


ファイ「ん?こいつ何やってるんだ?」

テクニ「ワシの神像を無心で殴っとるんじゃよ・・・」

フー 「え?なんでそんな事してるの?テクニどれだけ恨まれてるのよ・・・」

テクニ「いや、ワシなにもしとらんよ?こいつの目が問題でのぉ」

フー 「あら、魔眼持ちじゃないの!しかもこれ・・・加護無しじゃ色々不自由しそうね」

テクニ「ファイおぬし昔、武神像を殴って修行した奴に強い加護をやったじゃろ?」

ファイ「あぁ、見込みのある奴だったしな。確かあいつは英雄と呼ばれたはず」



「こやつ、それを真似とるらしいんじゃが・・・目が悪くて武神像と間違えて技術神像を殴っとるんじゃ・・・」


「マジかよ・・・呪われるんじゃね?」


「悪い奴ではないし、止めてやりたいんじゃがなぁ・・・」


「お?他の神像もあるじゃねぇか。祈ってるしお告げでもくれてやれば・・・って俺の神像だな」


『食神様、今日も貴方の恵みで生きながらえることに感謝を捧げます』


「ん?・・・フーと間違えてね?最近変な祈りが届くと思ったらコイツかぁ・・・」


「もう一個あるわよ?って私のね」


『技術神様、今日も貴方のもたらした技術により豊かに暮らせる事を感謝します』


「また相手を間違えてるし。これじゃ、お告げも届かないわね・・・」


「せめておぬしらから、出来る限りの加護をやってやれんか?良い子なんじゃ・・・。

 真面目でのぉ。このままだと生きる事すら難しい呪いがこやつを襲う」


「俺からは、それ程強い加護は無理だぜ?ぶん殴ってるの、お前の神像だし。

 視力ぐらいはなんとかしてやれるかもしれんが・・・魔眼だし」


「私からは・・・ってこの子が食べてるのしんパンじゃない!?」


「こやつ、それしか食べとらんよ?」


「真面目に書物も読んでるし、神話を特に好んで読んでるわね。写本までしてるし。

 質素な食事、祝福の糧のみを口にして、毎日人違いとはいえ真面目に祈ってますし・・・武神像への祈りも、まぁ近いから食神像から見えてるし有効で良いでしょう!このまま真面目に成長すれば私から最上級の加護をあげれますよ」


「本当かっ!すまん、恩にきるのじゃ。しかし、これ程強力な神像はそうはないぞ?

 一体、此奴の親はどうやって手に入れたのやら・・・おかげで呪いも酷そうじゃ」


「本当ですね。かなり高位のゴーレムから取り出した素材を一刀彫ですか・・・。彫り師の腕も凄まじいです。国宝級ですよ?ってこの素材パンツァーゴーレム!?」


「伝説級の魔物じゃの・・・」


「もしかしてこの子ってブラン地方『ソボック』の街の外れ、食神の祠の近くに住んでるんじゃ・・・?」


「その通りじゃ!なんじゃ、此奴の親を知っとるのか?」


「多分この子、トリネコの息子ですよ・・・」


「おぉ!アイツかぁ!なら魔眼も納得だ。神パンも神像もアイツの家ならわかる」



「語られぬ救世の英雄、トラネコの孫ですか・・・なんとも数奇な運命ですね」

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