竜を飼う事になりました
綺麗になった邪神竜様は、じっと伏せていらっしゃいます。
「どうやら我は・・・操られていた様です」
うん。意味が分からないので全部、ラトのせいです。
締めましょう♪
「ぎゃ〜〜!止めるのニャ!!ちゃんと何とかするのニャ!出る、なんか出るニャぁ!!」
仕方ないので任せましょう。
とりあえずラトは一度、解放しました。
「あ〜あれだニャ。憎悪の増幅やヤバイ国に都合の良い暗示なんかをかなり時間をかけて、洗脳されていた様だニャ。こやつを洗脳する程の魔力。一体どれだけの犠牲を払ったのやら・・・」
どうやら、邪神龍は高位魔術師達の命を賭けた術により洗脳されていたとかなんとか。で、ラックがそれを粉砕したらしいです。
「情けない限りです・・・」
神竜様は、完全に身を伏せて戦意がない事を示しています。
「ちょっとカオスと変わるから、直接話せニャ」
ん?どゆこと?
「そ、その気配は・・・カオス様!?」
なんとかファフニールさんがラトに向けて、カオス様と呼んでらっしゃいます。
ん〜。ん?
「事情を説明せず居なくなって御免なさいね。私は封印された訳ではなく、自分の意志で彼と同化しました。貴方には事情を説明して置くべきでしたね・・・」
ラトの声がいつもと違いました。この流れからすると、カオスはトラネコと同化して今も存在している、という事でしょうか?
「憎悪を利用された醜態、カオス様に合わす顔もありません・・・」
どうやら、ケイオスさんはヤバイ国に利用されていた様ですね。
「洗脳が解かれた今、彼が人族にあだなす事はありません。どうか御慈悲をいただけませんでしょうか?」
ラトの格好で、多分カオス様っぽい人が私にお願いしているっぽいです。
えぇ〜?私、ただの道具屋なんですけど?
神様にお願いされてるんですけど?別に無益な殺生をするつもりはありませんよ?
「いや。別に絡んできたから拘束しただけで、なにもしませんよ?」
私は、正直にそのまま答えるしかありませんでした。
しかし、そろそろ自認しなければいけないようですね・・・。
どうやら私はバケモノすら可愛い、神をも超える存在になってしまったたのだと。
・・・
「ん?なんだ?俺が壊したのは良くないものだったのか?」
空気を読まず、ラックがいつものトーンで乱入しました。
今はそれがとても助かりました。ちょっと自分の異常さに凹んでいたので。
「そうですね。おかげで邪神竜ケイオスは正気を取り戻しました」
カオス様が丁寧に説明して下さいました。
「そうか、正気じゃなかったのか。でもピュアに攻撃したのはダメだな」
ん〜、そこが重要ですか?
「どの様な処罰も受け入れる所存です」
邪神竜様は、今も伏せたままに最大限の贖罪を望んでいらっしゃる様です。
そろそろ、許してあげてもいい気もしていますが・・・そもそも洗脳されていた訳ですし。
しかし、何もなしでは納得しそうにない雰囲気です。
どうしたものか、と思っていたらラックが言いました。
「いや、悪い事をしたら、まずゴメンなさいだろ?」
・・・
いやいや・・・子供じゃないんですから・・・。
私は呆れてしまいました。が、もうどうでも良くなってきました。
むしろ、私はきっと今、笑ってしまっていますね。
でも、そう言う事なのかも知れません。
意思表示が大切と言う、シンプルな最低限の前提。
「大変申し訳ございませんでした。いか様な処罰も受け入れる所存です」
神竜様が丁寧に私にゴメンなさいをして下さいました。
どうしましょうかねぇ・・・別に気にもしてませんが何もなしともいきませんし・・・あ。
「では、こうしましょう♪」
私は、物語を描きました。
英雄ガルブの英雄譚。
ヤバイ国の行いに疑問を持ち、ヤバイを裏切りソボックの味方をするトール率いる正義の軍団。
彼らはガルフの説得により共に手を取りソボックの平和の為に立ち上がる。
妖精族達に認められた彼らは、邪神竜様の力を借りて邪神龍を打ち倒した。
後は、このあと使う魔法で起こる事を、彼らのせいにすればオールオッケーです♪
我ながら素晴らしい筋書きです!
私はみんなにそれを伝えました。
「私はソボックに味方すれば良いのですね?」
「そうです♪とりあえず呪いの館の庭に住んで貰いましょう」
こうして、家で神竜を飼う事になりましたとさ。
・・・
そこで、私はふと思いました。邪神竜様・・・呼びにくいですねぇ。
そこはどうでも良い事なのでしょうが気になると何とかしたくなります。
見た目は黒いですがお美しい姿。流線形のフォルムがカッコいいです!
邪の文字が入っているのがなんとも印象が悪いのですよ。
「思い切って改名しちゃいませんか?」
私はかる〜く言ってみる。
「カオス様から頂戴したお名前なのですが・・・」
「私はもうこの世界に極力干渉せず彼と共にひっそりと平穏に過ごしています。
貴方には、これから新しい生き方を模索して欲しいのです。なので是非に」
竜は、最初こそ渋りましたがカオス様に諭されて納得しました。
ここからは大喜利大会でした・・・。
「黒いからクロちゃん!」
「イメージが悪いです」
なんでとは言いませんが・・・。
「邪神竜の名前も伏せる訳ですが、どう見ても神竜様ですし・・・他の神竜と被らない様にもしないとですねぇ・・・」
「パン神竜」
「却下!!」
「存在しないけど存在しそうなのが良いですね・・・闇・・・夜・・・月」
月神竜ツクヨミ。夜の闇から生まれた新しい神竜となりました。
リズが孤児院周辺の土地を全部貰ったらしいので住む場所には困りません。
しかし、いよいよ持って謎の集団すぎですね・・・。英雄と正義の軍団を裏で操り、神竜を従え、神を二人取り込んだ語られない英雄ネコに、パンオバケに・・・パンダンジョンもあそこにはありますし・・・エビちゃんに、リズも・・・そして私ですか。
一周回って、誰も信じないんじゃないですかねぇ?




