戦女神無双
俺は冷静に現状を見据える。
邪神龍様は何故か無力化されている。
千載一遇のチャンスだ!
俺達の隊は五十人。そして、おそらくはヤバイ国の精鋭であろう部隊が五十人。
俺の部隊も精鋭であり練度は他の部隊を圧倒するが、果たして奴らと渡り合えるだろうか?しかし、今を逃せばチャンスはないかもしれん。
俺達が謀反を企てている事はバレている。
・・・
この事態、奴らは俺達の仕業だと思っているのではないか!?
だとすれば危険な状態だ。
先に動かなければヤられる!
「全員臨戦体制!先手を取るぞ!我が部隊以外の侵攻軍を殲滅せよ!!」
俺は叫ぶ。と共に閃光が放たれる。
緊急時の打ち合わせ通りだ。我が隊は優秀だな。
「隊長の細か過ぎる作戦がまさか本当に役に立つとは思いませんでしたよ」
閃光を放った副隊長が軽口を叩く。
コイツは・・・だが頼りになる奴だ。
「死ぬなよ!」
俺は、言い知れない不安感を拭えなかった。
完全に先手を取ったはずだった。
目眩しを事前に把握していた我が隊は、謎の隊を奇襲する。
しかし・・・
「舐めたマネをしてくれるな。どうやったかは知らぬが、邪神龍様を無力化されるとは・・・。だが、貴様ら程度で我が部隊が何とかなると思ったか?」
俺は恐らくは謎の隊の隊長であろうと思われる男と対峙する。
マズい・・・コイツは・・・強い!
圧倒的だった・・・。
それなりの努力をしてきた。
自分は強いのだと自認していた。
剣の腕は誰にも負けた事はない。
しかし、目の前の男はそんな俺よりも数段強かった。
奇襲による斬撃は容易にいなされる。
逆に相手の攻撃は致命傷を避けるだけでやっとだ。
その時だった・・・
・・・
戦場に似つかわしくない甘い花の香りが鼻腔に触れた。
エメラルドグリーンの髪がなびくのを一瞬、見た気がした。
見惚れていた。
煌びやかなドレスを纏い、美しい刀身が流れる様にして敵味方関係なく次々と戦闘不能にされていく。そもそもに彼女にとってはどちらも敵なのかもしれない。
あれは刀だろうか・・・などと俺は呆けていた。
明らかに手を抜いている。でなければ俺は目で追う事すらできなかっただろう。
まるで確かめる様に、力量差のある戦闘から順に殲滅していく。
彼女が通った後には誰も立ってはいなかった。
俺と対峙していた男は・・・真っ先に膝から崩れ落ちていた。
何をしたのかすら分からなかった。
そんな中、俺だけが立っていた。
立たされていた。
まるで、見守れと言わんばかりに・・・。
全体を見渡せる戦場の先頭で、ただ一人立ち尽くす。
それは、一瞬であった。
しかし、数時間にもわたる様にも錯覚した。
それ程に鮮烈で・・・美しかった。
気付けば立っているのは、俺と・・・その女性だけだった。
夢の方が、まだ幾分かリアリティがあったかもしれない。
その光景は・・・想像を超えていた。
鬼神・・・否、戦女神だろうか・・・?
そして女神は俺の前に立ち、告げる。
「なかなかに勇ましい号令でしたね、素晴らしい判断でした。貴方は事情を聞くのに都合が良いと分かりましたから♪」
そうか・・・俺は事情を聞く為に生かされたのだな・・・。
死屍累々の光景。
しかし・・・皆、生きている?
「部下の命は奪わないで欲しい・・・俺はどうなってもかまわん」
俺は女神に懇願する。
「え?殺しませんよ!?」
女神は困惑している?手をヒラヒラとさせながら戸惑う様な仕草を見せている。
俺はてっきり皆殺しにされるのかと思った。
人の所業ではなかった。神が裁きに来て下さったのかと・・・。
「むしろ、あのままでは死者が出そうでしたので無力化させて頂きました」
女神の慈悲・・・。そうか、皆助かるのか・・・。
俺は跪き、女神に最大の敬意を示し剣を捧げた。
騎士の忠誠の証のポーズをとる。
「え・・・えぇ〜・・・?ま、まぁ、とりあえずお話を聞きましょう。ね♪」
女神はそのまま立ち尽くす。
そして、そこに先程の猫獣人の少女と、メイド服の女性。そして布の服に鉄パイプを持った謎の男と猫が集まってきた。
「無双でしたねぇ」
「なんだか味方っぽい人も混ざってなかったか?全滅させてたが・・・」
「ちゃんと一人残しましたよ!」
「まぁ、誰が味方かわかりませんでしたし・・・」
「100人斬りの瞬殺だニャ」
「殺してませんよ!?」
「明らかに新しい武器の試し斬りしてましたよね?」
「素晴らしい出来です♪刃こぼれ一つありませんし」
「うわぁ・・・オリハルコン製の付与付きまくり。伝説の武器並みニャ」
「ラック、絶対触らないでくださいね♪」
「お・・・おう。気をつける」
和気藹々としている・・・。
一体、どういう集団なんだ?
というか・・・
猫が、シャベッタァァァ!?




