そうしてこうなった
『ライフドレイン』
無慈悲に唱えられる私の生命初級魔法。
「グハァ!?き、貴様!どう言うつもりだ!?名乗りもせず唐突に魔法を龍に打ち込む気狂いがどこに・・・、ってこれキッツ!?え?ムリ・・・もう・・・マジ・・・ムリ」
邪神龍ケイオス・ファフニールはその場に崩れ落ちました。
なんか・・・御免なさい・・・。
『拘束』
そして不条理に邪神龍に植物の蔓が絡み付き締め上げ、自由を奪う。
「う・・・動けぬ・・・。こんな、拘束ごとき・・・こんな・・・むりぃ・・・」
ちょっと可哀想になって来ました。
「ピュア・・・あの黒い竜は悪い奴だったのか?なんだか可哀想な感じだが・・・」
ラックは、拘束の経験者ですからねぇ。
「あれ、キツイんだよなぁ・・・」
へぇ〜・・・。
***
突如現れた少女。
少女は朗らかに挨拶をしたかと思うと、邪神龍様は警戒を始めた。
只事ではない様子で威圧し、名を名乗る。
そして、次の瞬間には・・・邪神龍様は瀕死で縛り上げられていた。
俺は・・・夢を見ているのか?
・・・
俺は、ヤバンの街に流れ着いた荒くれ者の冒険者から成り上がった騎士団長。
その実力はSランク冒険者に到達するともてはやされていた。
名誉ある昇進であった。
しかしヤバンの、そしてヤバイ国の行いには疑問を感じていた。
妖精との条約を無視して精霊の森を切り拓き、侵略を繰り返す。
何故、奴らはこれ程に強気に出られるのか・・・?
その答えが目の前にいた。
邪神龍ケイオス・ファフニール。
勝てる訳がない。人類に勝ち目などないのだと、その存在感が示していた。
まず、膂力が違いすぎる。蟻と象ほどの力量差を感じる。
その姿は、恐怖を具現化していた。
何故、ヤバイ国に邪神龍様は手を貸すのか?
俺はその情報の一端を入手してしまった。
邪神龍が信仰する上位存在である邪神カオス様。
それは、伝説の冒険者トラネコによって封印されたとされている。
だから邪神龍は人族、特に獣人族の猫獣人を嫌い、加えて封印に手を貸したと言われている妖精族を恨んでいるようだった。
そこで都合よく、妖精族に牙を剥きトラネコに縁のあるソボックの街を敵対視するヤバイ国のに味方をしたのだ。
味方と言っても制御出来るはずなどない。
そんなある時、邪神龍が突如告げた。
「奴の気配がする・・・」
ソボックの街を侵攻する準備は進んでいた。
しかし、そんな準備や戦力など邪神龍様は粉砕する。
これまでは、気長に自らの手は汚さずに傍観していた邪神龍様だったが突如、自らの侵攻に乗り出した。
邪神龍様の気まぐれ侵攻に付き合わされる事になったのが、我が部隊50名と謎の集団50名、合わせた100名だった。
私はソボックの街に恨みはない。むしろ、ヤバイ国は間違っていると思っている。
我が部隊は皆、口を揃えて言う。
「邪神龍様の力を借り、傍若無人に振る舞うこの国・・・神の裁きはないのだろうか?」
今回の侵略。それは、蹂躙となるだろう。
ソボックの人々は・・・死滅する。
なんとかして、犠牲を減らしたい・・・。
私は邪神龍様の侵略部隊に立候補した。
邪神龍様と行動を共にしたいなどと言う気の狂った部隊は他にはいなかった。
しかし、部隊の皆は私の考えに賛同し、命を懸けて参加してくれた。
なんとか足止めをし、その隙に早馬を出し街の人々に避難を促さなければ・・・。
しかし、チャンスは訪れなかった。
邪神龍様を足止めする事など不可能だ。
いや、しかし我々が参加する意味はあった。我々がいる事で邪神龍様は我々のスピードに合わせて進んでくれている。早馬は先に向かった。上手く行けば逃げる時間くらいは・・・。
「そう言えば先に向かった阿呆がいたが、可哀想になぁ。命令を無視した愚か者の処分はして置いてやったぞ?お前の仕事なのになぁ。どう言い訳する?」
全てバレていた・・・。
「お前には、街を蹂躙する際に先陣を切ってもらおう。しっかりと戦果を上げろよ?そうすればお前の部隊は生きて帰れるやもしれん」
絶望だった・・・。
我々などが刃向えるはずなどなかったのだ・・・。自らの浅はかさに絶望した。
部隊の皆を巻き込み・・・。
せめて・・・皆の命だけでも・・・。
しかし、出来る事など・・・。戦果を上げる事。
それは・・・ソボックの住人を・・・殺す事。
・・・
絶望の中の進軍。
そんな我々の姿を見て邪神龍様は上機嫌だった。
そんな時、目の前から陽気に話す四人組。足元には一匹の猫。
不味い!こちらに気付いていないのか!?
そんな訳はない。五メートルはある龍がいるのだぞ!?
アホの子でも全力で逃げ出すはずだ!
「どうも〜。良い天気ですねぇ♪」
アホの子だった。
獣人族の娘がかる〜く言う。
邪神龍様に・・・。
しかし・・・気付けば、邪神龍様は崩れ落ち縛り上げられていた。
一体、何がどうなっているんだ?
俺は・・・どうしたら良いんだ??




