sideリズ リズの過去②
そして、ついにあの時が訪れました。
何もない個室に研究員の一人と、私と・・・ピュア。
子供を子供に殺させると言った研究員。
ピュアは何も聞かされていない様でした。
私に下された命令は・・・『ピュアを殺す事。』
私の手には・・・毒の付いたナイフ。
当然、出来る訳がありません。
私にとって、ピュアは希望でした。
彼女のおかげで私は人でいられた。
しかし、何もしなければここから出して貰えないのだと言う。
・・・
出来る事、それは・・・
・・・・・
私は・・・手に持ったナイフで、研究員の腹を刺し、『殺しました。』
そして、そのまま・・・自分の腹部に・・・ナイフを突き刺しました。
これでいい。この方が・・・まだ、マシです・・・。
薄れる意識の中で、叫び声が聞こえました。
「にゃああああああ!?お前はアホにゃ!最っ強のアホにゃ!!死んだら絶対に許さないからニャ!ふざけるニャよ!私は、絶対に、お前を許さないからニャ!!」
『治癒!』
『治癒!』『治癒!』
何度もこだまするピュアの詠唱。嗚咽混じりで繰り返される回復魔法。
私は意識を失う・・・。
・・・
・・
・
私は目を覚ましました。
どうやら、私は生き残ってしまった様です。
よかったです。ピュアに許して貰える可能性が少しは残った様です。
私の、死神様の加護素養は・・・格段に上がりました。
恐らく、生命神様には丁寧に呪われるでしょうけど・・・。
どうやら、研究員は即死に近かった様です。
『私は人を殺しました。』
どうやら、彼を刺した際に毒はほぼ無くなっていた様です。
そして自分で自分を刺すのはなかなかに難しいらしく・・・死にきれなかったみたいですね。とは言え、ピュアの回復魔法がなければ死んでいた事でしょう。
彼女は私の恩人です。この命に懸けて、私は彼女を守ると決めました。
それ以来、彼女は私と口も聞いてくれませんでしたけど・・・。
そして、私が回復した数日後、研究所に商人を名乗る騎士の軍勢を連れた集団によって研究所は取り潰された。
商人の名は、トリネコ。私達は彼に救われて、ソボックの街へ連れて来られました。
私はコッソリと、死神像を収納に仕舞い込んできました。
神像はとても高価だと聞いていたので今後の役に立つと思いました。
後に知った事ですが、商人が私達の存在に気付いたのは、ピュアが様々な方法で外に自分達の存在を知らせる策を講じていたおかげででした。
その策は実に多岐に渡り、彼女の聡明さがそこにも窺えました。
アホの振りをして、研究員を騙して、必死で自由に生きる事を諦めなかったピュアの勝利です。
ただ、私達には『悪魔の呪い』が残っていました・・・。
それもまた、ピュアによって解決されました。
ピュアの犠牲によって。
あ、ちなみに死神像は隠していた場所をピュアに見つけられてしまい、そのままピュアに奪われて破壊されてしまいました。多分、ピュアは私が持ち出した事を知らないと思います。
そして、ピュアは・・・ラックに、パンに救われました。
私は彼に心から感謝しなければなりません。
そして、最近やっとまともに口を聞いてくれる様になったピュア。
辛辣な言葉がたまりません。もう・・・堪りません。
しかも、同居中。更に憧れのエビちゃんも・・・。
ここは天国ですか?いいえ現実です。最高です!
生きてて良かった♪




