おっそいんですよ!
「いま、この件で国同士の戦争に発展しようとしています」
リズがアホな事を言っています。正確には国のトップが・・・ですかね・・・。
「俺のせいで・・・。やはり、俺は森から出てはいけなかったんだ・・・」
森の民よ、鎮まりたまえ。
何でみんな気付かないのか・・・。頭文字の縦読みだけではないのです。
前回よりもまともになった様に見えて、実は以前より酷い。
そもそも内容が馬鹿げているのです。
「ラック、よく読んで下さい。何が問題ですか?」
私は問います。
「これでは、爆発的に感染してしまう。今やヤバンはクロスマス菌感染者だらけだろう」
まぁ、確かに増えそうですね。あの街は悪意に満ちていますし、悪意を悪意と感じれば感染るのですからイースター菌の比ではありません。
しかし・・・
「罹ったら何か問題はありますか?」
私は告げます。そこなのですよ。
「え・・・。不安感に襲われるんだろ?」
「そりゃ、悪意を向けられたら不安にもなるでしょう」
寧ろ、不安に感じなくなったら問題です。
「確かに・・・」
それは元々、罪悪感や危機意識として人に備わっているべき能力です。
イースター菌の件も含めて・・・。
問題はそこではない。それに乗じて、何かを企んでいる存在がいる、という事。
「リズ、いい加減に貴方の企みを話しなさい」
ずっと泳がせていましたが、そろそろハッキリさせないといけない気がします。
「え?何の事です?」
まだ白を切りますか・・・。
思えば、最初からおかしかったのです。
研究所で共に捕らえられていた時からもおかしかったのですが、リズは自分で言うのも何ですが私の事を好き過ぎます。
そんな彼女が・・・領主様に私に都合の悪い情報を流していた。
いえ、実際は私にとって都合の良い様にしてくれていたのですが・・・。
トラネコの図書館の件、そして神像の件も。
彼女は積極的に領主様に取り入り、私に都合の良い様に動いていた。
私の知らない所で・・・。
全てはきっと・・・私の為だ。そして、今回も。
「なぜ、わざわざ悪性変異の事を伝えたのですか?」
危険を知らせる為。
「ヤバン領の人達との、更にはヤバイ国との戦争に発展す可能性があります」
巻き込まないつもりなのですね。
「それは、領主様が望んでいる事ですね?」
今回の件は、とても都合の良い流れだったのでしょう。
「そうですね・・・」
勝てる見込みが、あると言う事なのでしょう。
では、なぜその事を言わないのか?
言えば反対されるから。
「貴方は自分を犠牲にするつもりですね。私はその考え方が大嫌いニャ!」
私がリズの事を嫌いなのは・・・『自分より私を優先するからです。』
私は怒っていた。
「偶然にもラックのおかげで救われましたが、貴方は自分を犠牲にしてでも私を救う術を探していた」
だから彼女は、その役目を私から奪った。領主様とのパイプ役。
「その為には自分を犠牲にする事も厭わずに。それには気付いていました」
その手段については分かりません。しかし、何か取引があったはずです。
でなければ、無理をする必要などないのです。
私以外の子の問題は解決していましたから。
「私の問題は解決しました。これ以上、貴方が関わる必要はないでしょ?」
それでも続けているのは・・・
「恩義がありますから♪それに勿論、極力被害を抑えるつもりではいるのですよ?」
それは、被害が出るという事じゃニャいか。
全くもってナンセンスです。
私は・・・リズが犠牲になる事を・・・望まない。
「その被害、ゼロにしてあげるから貴方が言うべき言葉は一つです」
手間のかかる子ですね。
「・・・」
「早くいいなさいよ」
・・・
真っ直ぐに彼女の目を見ます。
難しい事ではありません。が、出来ない人が存在します。
いや、出来ない訳ではありません。
しない。それは・・・プライドなのか・・・それとも・・・
「・・・手伝って下さい」
おっそいんですよ!私とラックとエビちゃんと・・・リズ。
ラトもフェリもいます。
どんな問題だって楽勝です。
なぜ、こんな簡単な一言が言えないのニャ?
私も・・・他人の事は言えないのかも知れませんね。
それでも・・・そんなものは棚に上げて、私はやるべき事をします。
問題は・・・今、解決されました。
「揚げパン一個で手を打ってあげますよ♪」
さぁ、忙しくなりそうです♪
ヤバンをコテンパンにして、ヤバイ国を黙らせます。
朝飯前ですね。朝食中ですけど。




