情報整理と次の予定
反省した私達は懇切丁寧に経緯を敬意を込めて話しました。
ケイイは大事ですね。
結局、食神の祠についても話しました。と言うのも・・・
「そう言えばピュア。君が『トラネコの秘密の書庫』を所有している件と、死神像を破壊した件は調べがついている」
なんですとぉ!?私はリズを睨みつけます。
リズはそっと視線を逸らします。コラッ!
領主様がその件を知っているとすれば原因はリズしか考えられません。
「別に追求するつもりはない。トラネコの神像については、むしろ破壊して貰って感謝している」
領主様はどうやら私達の知らない情報も含めて様々な事を把握していた様です。『トラネコの神像』について出て来た事に驚きました。そして、秘密の図書館についても・・・。
神像は、役割を終えたが処分に困っていたと言う裏事情があった様です。
トラネコ七つの神像。六人の神様に加えて、存在すると思われる一体の神像。
私は図書館である程度の情報を得ていましたが、その真意は知りません。
領主様は何か知っている風でしたが教えてはくれませんでした。
技術神像はラックが破壊しました、美神像はエビちゃんが、そして死神像は私が・・・。
食神像と武神像はラックのパン工房に。生命神像は教会に祀られています。
これで六体の所在がハッキリした事に領主様はホッとしていた様です。
それ程に危険な代物だったらしく、破壊はむしろ歓迎する所であったらしい。
「書庫については、君が保管しておいてくれて構わない。存在自体は知っている。情報は口外できないものも多く含まれるだろうから、あまり触れ回らない様にしてくれ。君なら大丈夫だろうけどな」
秘密にしていた事がバレていたのは何ともバツの悪い話ですが、後ろめたい気持ちがなくなってスッキリした事を喜ぶ事としましょう。
更に、領主様は語られない英雄『トラネコ』がラックの祖父にあたる事、そしてその偉大な人生の一部を語ってくれた。
これについては、また機会があれば、ちゃんと語ろうと思います。
ラックの問題については、一応ある程度は顔パスでツケを出来る様に、ギルド側で融通を効かせつつも可能な限り私達が同行する方向でまとまりました。
パンの販売については、孤児院と連携して行う事に。
孤児院はパンを焼き販売する事で生計を立てています。
ラックのパンが出回れば、孤児院は困窮する可能性がありました。
それは避けたかったのです。
ラックには申し訳ないですが、ラックが焼いたパンは最上級品として生産量を抑えて、孤児院の人達で焼く量産品をメインで流通させる運びに。
ラックに依存しすぎない様に、パンスト産のパンダネと通常流通の小麦で作るパンを両方作る。当面はパンスト産比重を増やして、小麦は備蓄にあてたり外交に使う。
難民受け入れに積極的になれる事を領主様はとても喜んでいた。
それでも、ラックはこの街、屈指の高給取りになりそうでした。
ラックはラックで、
「これでは貰いすぎだ」
と言っていました。安いくらいなんですけどね。
貯蓄に回して助けたい人を助けれる様にするべきだと諭したら納得した様です。
ラックは不動の地位と安定した収入を得たと言えます。
孤児院へのパン作り指南も請け負う形になりました。
「人に教えるのは初めてだが、他の人とより美味いパン作りについて語れるのはワクワクするな」
と心躍らせていました。そう語るラックの顔は少年の様でした。
頭だけじゃなく心もパンでいっぱいですねぇ。
概ねの伝達と情報の擦り合わせを終えた私達は、もう一つの問題へと移行します。
「領主様、娘さんの悪魔の呪いについて、今日こそ終止符を打ちます」
今の私なら出来るはずです。
「ありがとう・・・。娘を・・・助けてくれ」
深々と頭を下げるアレス様。
以前は、生命力を出し惜しみしたせいで逃げられました。
今度こそ、打ち滅ぼして見せます。
正直、生命力の不安がなくなった私は、ラックも凌駕するチート性能です。
この時、私は悪魔なんて楽勝で倒せると思っていたのですよ・・・。




