新しい日常、それは幸せの味
「えぇー!?さしぶりのピュアの野菜スープ・・・楽しみにしてたのに・・・」
ガチ凹みされてしまいました。昔、よく作って上げていたのですよ、野菜スープ。
懐かしいですね・・・。みんな美味しそうに食べてくれていました。
生命力の回復は出来ませんが私も食べれますし。ただ、食べる理由がないので普段は食べない事が殆どでした。さしぶりに腕を振います。
備え付けのキッチンはあるにはあるのですが、どうやら魔道具の類はない様です。
魔道コンロを空間収納から取り出そうと思いましたが・・・
「加熱は俺に任せろ!俺に焼けない食材はない」
ドヤ顔で言ってますが、そのセリフあまりカッコ良くないですよ?
食材はしっかりと火を通さないと私は食べれません。
それを知っての発言なので、なかなかの気遣いで嬉しのですけどね。
ちなみに鍋は私の持ってるのを使いました。
基本的に私は私物をほぼ全て持ち歩いています。
明日、賃貸の部屋を解約すれば引っ越し完了です。
リズもモノはあまり持たないので今日から普通にここで住めてしまいます。
そもそも、隣の孤児院に住んでましたし。
こうして私達は夕食を始めます。
「「「いただきます♪」」」
こうして誰かと顔を突き合わせてご飯を食べるのはいつぶりでしょうか?
孤児院を出て以来です。それは・・・なんだか心がむずむずしました。
テーブルはレッサーモノリスの素材をそのまま床に置き、ローテーブルとして使用しました。手持ちの物を上手に利用して食卓を囲むのはまるでキャンプの様ですね。
床に座り、気の合う仲間とパンとスープを食べる。
なんて事ない出来事なのに、それがなんだかワクワクして・・・嬉しかったのです。何気ない会話がとても楽しく、これからこんな生活が続くのかと思うと・・・悪くないと思いました。
そんな会話の中・・・
「このスープ!めちゃくちゃ美味いな。パンによく合う」
ラックは何でもかんでもパン基準ですねぇ。
「普通のスープですよ?」
色々工夫はしていますし、不味くはない自信はありますが。
「パン以外初めて食べた」
そりゃ、さぞ美味しいでしょうね。なんでも美味しいんじゃないですか?
改めてラックの高尚な生活に驚かされます。
「お粗末さまです♪」
それでも、これだけ喜んでくれると嬉しいものです。
「毎日、食べたい」
それ、プロポーズの常套句ですよ?まぁこの人は、そんな事、意識せず言っているんでしょうけど。
「キャー、素敵ですねぇ♪」
リズがアホな事を言っています。
「私はラックに一生分の恩がありますから、喜んで作りますけどね」
私は冗談めかしながらも、割と真剣に言っています。
それだけの恩が彼にはあります。
「あぁ・・・それなんだがな。俺は、本当にパンを食べて貰っただけだ。事情は分かったし、それがピュアの為になった事を凄く嬉しく思う。でも、俺はピュアとフレンズがいい。パンを贈ったお礼は・・・スープで充分だ。スープがいい。対等でいたい・・・」
フラれてしまいましたね・・・。でも、それは気遣いのこもった素敵な言葉でした。彼の想いが伝わります。彼に恋愛感情はまだまだ分からないのでしょうし。
『対等でいい』それはきっと・・・彼の誠実さです。
救ってくれた人が、この人で本当によかったです。
この人だから、私も誠実にこの人を見守りたい。力になりたい。
「そうですね。では、これからも一緒に晩御飯を食べましょう♪それはきっと楽しいです」
「そうだな。誰かとご飯を食べる事がこんなに楽しいとは思わなかった。パンもいつもより美味しく感じるな」
この人はいつもパンですね。
「これから、なんだか楽しくなりそうですね」
エビちゃんは嬉しそうに微笑む。眩しいです。
まじゴッデス。
「食費も浮いて超ハッピー♪」
リズ、あなたは有料です。




