ペンがパーン
どうしてくれましょう、この危険ブツ・・・あ、いえ危険人物。
この世界は『死神』『生命神』『技術神』『武神』『美神』『食神』の六人の神様がいらっしゃいます。六神様の加護によって人々の生活は成り立っているのです。
私達、人は五歳から十五歳までの素行により六神様から付与される加護が決まります。
そして、その加護の中で最も最低値を叩き出したものが・・・呪い。
何故そんなに詳しいのかと言われると・・・私も無関係ではないのですよ・・・。
泣けて来ます。
勝手知ったる呪いではありますが、鵜呑みに信用は出来ません。
私はポーチバックから古くなった要らない羽根ペンを取り出します。
削れば使えるし要らない訳ではないんですけどね・・・勿体無いけど試さないと信用出来ませんし、他にこれより安い物を持ち合わせておりません。
「このペンで試して頂いてもいいですか?」
「わかった」
私がペンを差し出すと男はそっと手を伸ばした。
そして、男の手がペンに触れるか否かの瞬間・・・
『パーーンッ!』
ペンがパーンしました・・・。
ペン イズ パーン・・・。HAHAHA。
呪われてらっしゃる・・・。
まごう事なく呪われていらっしゃる様です。
それも触れただけで弾け飛ぶなんて、未だかつて見た事も聞いた事もない程に、とびっきりに呪われている様です。相手は神様です。誤解や間違いで呪ったりはしません。
つまり目の前にいる男は正真正銘、まごう事なき危険人物です・・・。
普通だったら誰も相手をしないどころか、裸足で逃げ出すレベルです。
私も逃げ出したいんですけどねぇ・・・ただ、目の前にいる男性がそこまで悪い人には見えなかったのです。
だって、今もずっと正座をしてらっしゃいますし・・・。
足痛くないですか?
そんな姿を見ていると思ってしまったのですよ・・・。
事情次第では、少しくらいは助けてあげてもいいかなぁ、と。
私も呪われてますし。