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結局、最後はパンのせい

 しかし、リズの奴・・・なんだかしてやったりな感じが腹立たしいです。


「私もマザーと同じ気持ちですよぉ♪」


 悔しいですが、何も言い返せませんね・・・。

 でもリズに言われるとちょっと腹が立ちます。


・・・


 とりあえず、孤児院の横に家を建てる件を伝えた私達は空き地に来ました。

 早速、家を召喚するかと思いきやラックは、


「まずは束石を置く」


 あ、そこはいきなり『バーン』じゃないんですね。


「俺の鑑定は、空間を鑑定すると座標が表示される。これを利用して正確な座標を記録してあるからここでそれを再現する。家が傾いていたら生活に支障が出るからな!」


 なんで、そんな所ばっかりリアルなんですか・・・。

 と言うか実はラック、かなり頭良いですよね?

 緻密に計算された座標を再現していきます。


・・・


 1時間程、置いたり掘ったり置き直したり叩いたりと高さ調整などを行い準備が整いました。


 なんというか・・・地味ですね。私とリズは眺めているだけでした。

 エビちゃんは力持ちなので色々と手伝っていましたが。


「基礎が大事なんだ!置いてみて沈みや歪みがなければいいんだが・・・地盤はしっかりしてる様だし大丈夫だとは思うけど・・・」


 ラックは職人という言葉が似合いますねぇ。

 知識が極端に偏っている気がしますが。

 こうして、家が立ちました・・・。

 大工さんが見たらきっと腰を抜かす事でしょう。


 Yeah・・・家ですね・・・。

 

 束石の範囲から、ある程度予測はしていましたが大きな家ですねぇ・・・。


「んー、沈みはなさそうだな。様子を見ていいレベルだろう」


 何やら、満足そうです。

 家の下に潜り色々と点検して納得いく出来だったらしいです。

 もうこの人、絶対に冒険者にならなくて正解です。

 どう考えても生産職向きです。


 現れた家は・・・大きいですけど思っていた程、規格外ではありませんでした。

 いや、ちょっと感覚がおかしくなっていただけな気もしますが。

 城でも出てくるんじゃないかと警戒していましたもので・・・。


 普通に考えれば異常です。家は二階に8畳間が6部屋。

 一階は、玄関ホールから客間。そしてリビングが広がりダイニング。

 隣接して厨房。大きめの書庫兼書斎。水回り。

 そして、大きなパン工房と大きな食品庫。

 シンプルですが使いやすそうな間取りです。


 これが、突如出現しました・・・yeah。

 

「一人で住むには広すぎですねぇ」


 リズが溢しました。


「部屋は5部屋余ってるから住むか?」


 ん?なんですとぉ!?

 もしや、ラックはリズの事を・・・!?


 いや、でもリズはエビちゃんの事を好きな訳で・・・


「なんだったら四人で済まないか?部屋は余ってるし、それに一人で住むにはこの家は広すぎてな・・・」


 あ、そう言えばラックはこの広い家で、ずっと一人だったんですよねぇ・・・。

 そもそも、恋愛なんてものを理解しているかも怪しいです。それは、純粋な善意によるものの様でした。疑った自分がちょっと恥ずかしいです。


「エビちゃん、今は宿住まいですよね?どう考えてもこっちの方がいいですよね?」


 リズがエビちゃんに強力プッシュ。下心が透けて見えますねぇ・・・。

 少しはラックを見習うべきなのでは?


 しかし・・・

 

 結論、四人一緒に住む事になりました・・・。

 どうしてこうなったのか・・・それは、必然だったのです・・・。


 ここは孤児院の隣です。孤児院と再び懇意にしたい私には最高の立地です。

 しかも家賃はタダ。設備は充実、家は年期は入っていますがしっかりしていて魅力的です。家具は今はありませんが、各々で持ち寄り、調達すればオッケーです。

 我々は各々に色々と抱えています。勝手知ったるフレンズである私達は、言うなればお互いが唯一の理解者と言ってもいい訳です。はい、言い訳ですよ。


 ラックに恩返しする上でも、近くにいるのは現時点では都合がいい気もしましたし・・・。


 エビちゃんは、この姿ですし色々と周りに気を使う事でしょう。

 しかし、私達なら問題ありません。事情を全て知っていますし、なんなら私は主犯です。


 リズはリズで孤児院は今、子供が一杯で部屋を開けたかった。お金も節約したい。孤児院から離れたくもないのですから最高の物件です。


 三者三様に、好都合だったのです。


 極め付けは・・・


「ベッドは、俺が『パーン』してしまうから持ち運べなかった。だから代わりに『食べられないパンverベッドサイズ』を置いてある。ソファーもこれだ』


 これが、ヤバかったです・・・。

 私達はリビングに置かれた『食べられないパン』に座りました。


 いえ、包まれました。


 ひんやり、もっちり、沈んで・・・もう、働きたくないでござる・・・。


 これは・・・人をダメにするクッションです・・・。


 もう、私達は『食べられないパン』のとりこでした。


 そう、この家に住むのは必然だったのです。

 もう、この食べられないパンなしでは生きていけない体になってしまったのです。


・・・


 こうして私達は、パンに導かれ・・・

 奇妙な共同生活を始める事になったのです。

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