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マザー

 話がひと段落した所で私たちはギルドから出る事にしました。

 暗くなる前に家を建てないといけませんし。

 自分で言っていても訳の分からない言葉ですね・・・。

 家ってそんなに簡単に建つものでしたっけ?


 とりあえず孤児院へやってきた訳ですが、諸事情があって距離を置いていたのでちょっと躊躇ためらわれます。子供達には家出同然で抜け出してきましたから・・・。


 しかし、吉報であり改めて未来を手に入れた私は子供達に関わりたいと願っているのです。諦めていた事態であり、こんな嬉しい悩みはありません。


 孤児院に到着して、迎え入れてくれたのはマザー、テレスでした。

 マザーは孤児院の院長であり子供達の母親、私達の母でもありました。

 優しく、そして時には厳しく私達を育ててくれた恩人です。


「おかえりなさい。リズ、そしてピュア」


 リズは実は今も、孤児院に住んでいます。本人曰く、


『家賃も浮いて超ハッピー♪』


 とか言っていますが、実は子供達の世話や孤児院の家事を手伝っています。

 家賃と言うていでお金も入れていて孤児院としては大助かりです。


「ただいま。マザー」


 私は少しバツが悪い気持ちを抱えながらも挨拶をします。


「ピュア。私は貴方に言いたい事が沢山あります」


 マザーは、少し怒った様子で言いました。


 なんで?


 私は、私が抱えていた問題が解決した事を既に事前に通達しました。

 マザーだけには、事情も説明していたのです。

 ここを去るにあたって説明する必要がありましたから・・・。


 その時も、マザーは怒っていました。

 自分を犠牲にする私のやり方を怒ってくれていたのでしょう。

 そして、全てを理解した上で送り出してくれました。

 必ず、戻って来なさいと残して・・・。


 そして、戻って来たんですから喜んでくれてもいいのでは?


 しかし、違っていました・・・。


「私は、貴方をずっと叱りたかった・・・しかし、子供達を思い、唯一の手段をとり自分自身を犠牲にする貴方を・・・叱る事が出来ませんでした・・・」


 マザーは目に涙を浮かべながら続けます。


「私は・・・貴方を大切にしない貴方を叱りたかった・・・。でも、何も出来ない私を頼る事など出来ない事を分かっていて何も言えない自分が許せませんでした・・・」


 ・・・私は、自分の事しか考えていませんでした。

 

「リズから、事前に貴方の問題が解決した事を聞きました。だから、私は最初に貴方を叱りたかった。ごめんなさいね、私の我儘です」


 そんな事はありません・・・。私は叱られて・・・感謝しています。

 マザーは、私に大切な事を教えようとしているのです。

 自分を大切にする事を教えてくれているのです。


 私が、生きる事に執着出来たのはマザーのおかげでもありました。


 だから・・・


「ありがとうございます」


 きっとこれが今、最適な言葉です。

『ごめんなさい』の謝罪ではなく感謝を伝えたい・・・。


「よく言えました。貴方は本当に優秀ですね」


 マザーは目に涙を浮かべながらも微笑みます。

 そして付け加えて、こう言って下さいました。


「私からも、ありがとうと言わせて下さい。貴方の苦悩を私は知っています。子供達の未来を守ってくれて本当に、ありがとう。貴方は自慢の娘です」



 私は・・・マザーの娘です。

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